• リンク
  • About

アーカイブズ工房 

~ Archives Studio 記録を活かす

アーカイブズ工房 

タグアーカイブ: 公文書管理法

一橋大学に大学文書館(アーカイブズ)を

29 土曜日 4月 2017

Posted by archivesstudio in Uncategorized

≈ コメントする

タグ

アーカイブズ, 公文書, 公文書管理法, 大学, 大学アーカイブズ, 大学文書館, 一橋大学

以下の記事は、一般社団法人如水会発行『如水会々報』2017年3月号より、同会の許諾を得て転載するものです。


一橋大学に大学文書館(アーカイブズ)を

松崎裕子 (63社)

『如水会々報』2016年11月号「ラウンジ」欄に掲載された大久保秀典様の「貴重資料の宝庫・学園史資料室の有効活用を!」を拝読させていただいた。筆者は2004年から公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターで企業アーカイブズの振興に取り組むとともに、株式会社アーカイブズ工房代表取締役として企業史料の整理・活用の実務・コンサルティング・教育研修業務にも携わっている。日頃より一橋大学における歴史的に価値ある文書の保存・管理・公開状況が、他大学から大きく遅れている状況を憂慮してきたため、大久保様のご提案にいたく心を動かされた。この小文では、他大学における歴史的な文書や資料の保存、管理、公開の現況について、企業アーカイブズの状況を交えながら、ご紹介させていただく。

さて、アーカイブズとは何か。それは組織が作成したり、組織外から収受した文書記録のうち、歴史的に重要で長期に保存する必要があるものを管理・提供する部署や施設であり、文書館とも称する。歴史的に重要な資料自体もアーカイブズと呼ばれる。私が専門とする企業アーカイブズの場合、企業活動を通じて会社が作成するさまざまな記録・資料それ自体と、これらを保存、管理、提供・活用する部署を指す。企業のアーカイブズは、今日までの事業の証拠(エビデンス)としてアカウンタビリティを支え、それによって会社への信頼を高める。さらに、企業文化を伝えるメディアとしての役割を果たし、企業活動に永続性を与える。激しい環境変化にさらされる今日、企業がサステナブル(持続可能)であり続けるために、アーカイブズはますます必要なものと認識されつつある。

日本では、明治以来、図書館、博物館の制度は社会に根付いたが、アーカイブズ(文書館)の発達は遅れた。国のレベルでは英国で1838年に、米国では1934年に国立公文書館が設置された。日本の国立公文書館の場合、1971年に開館したものの、公文書管理について定めた法令(公文書等の管理に関する法律)が初めて制定されたのは2009年、ごく最近のことである。この法律の制定によって、国の行政機関と独立行政法人等(国立大学法人を含む)では、業務の過程で作成・収受した公文書(正確には国の行政機関の場合は「行政文書」、独立行政法人や国立大学法人などの場合は「法人文書」)を適切に管理し、歴史的に価値ある文書に関しては国立公文書館に移管し、永久保存し、一般の国民に提供することが定められた。国立大学法人もこの法律に従う必要が生じた。

この法律では、歴史的に価値ある文書を国立公文書館に移管せず、各大学の中に「国立公文書館に類する機能を有するものとして、公文書管理法に基づき定められた施設」において管理するオプションも用意された。旧帝国大学をはじめ、一橋大学と縁の深い、東京外国語大学や東京工業大学はこちらを選択し、自分たちが作成・収受した文書記録を自校内で、法律に定められた適切な施設において、また多くの場合、文書管理についての専門的教育を受けたアーキビストを配置して、管理している。国立公文書館のウェブサイトによれば、2016年11月6日現在、こちらのオプションを選択した機関は次の通りである。

宮内庁宮内公文書館
外務省外交史料館
日本銀行金融研究所アーカイブ
東北大学学術資源研究公開センター 史料館公文書室
東京大学文書館
東京外国語大学文書館
東京工業大学博物館資史料館部門公文書室
名古屋大学大学文書資料室
京都大学大学文書館
大阪大学アーカイブズ
神戸大学附属図書館大学文書史料室
広島大学文書館
九州大学大学文書館

(注─旧帝国大学のうち、北海道大学は現在内閣府に指定申請中)

これらのアーカイブズでは、総務課をはじめとする事務組織から文書の移管を受けてこれを管理・公開するほか、大学史上重要な役割を果たした過去の学長や著名な研究者等に関する資料も寄贈・寄託を受けて管理・公開している。

一橋大学の場合、残念なことにアーカイブズの整備が大幅に遅れている。国民の求めに応じて公文書を開示するにあたっては、情報公開法で対応している。情報公開という趣旨では問題はないものの、歴史的に価値をもつ文書の長期保存と公開・利用のためには、本来であればアーカイブズ(文書館)に移管して管理・公開するのがよりよいモデルである。実はすでに小平の旧図書館はリモデルされて大学文書館に即対応できるよう整備済みである。にもかかわらず、現在のところ内閣府からの「国立公文書館に類する機能を有するものとして、公文書管理法に基づき定められた施設」の指定に向けた動きはまったくなされていないようである。

また、国立大学に限らず、私立大学・公立大学を含めた大学における大学史の編纂と資料保存に関する情報交換や交流の場として、1980年代から、全国大学史資料協議会が活動している。先に上げた国立大学のほか、早稲田、慶應義塾、上智、明治、法政、立教、学習院、青山学院、立命館、同志社をはじめ、全国で60以上の大学が加盟している。残念ながら、一橋大学はここにも未加盟である。

企業アーカイブズに目を向けてみると、フォーチュン500に登場するような欧米の企業にはアーカイブズ部署が設置され、過去の文書記録や情報を確実に保管・管理・提供し、アカウンタビリティと企業文化継承・ブランディングのための情報基盤としている会社が数多くある。筆者が業務上頻繁に交流している企業アーカイブズには、イングランド銀行、HSBC(香港上海銀行)、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド、ロスチャイルド(以上英国)、コカ・コーラ社、マッキンゼー社、IBM社(以上米国)、ホフマン・ラ・ロシュ社(スイス)、マースク社(デンマーク)、ゴードレージ社(インド)などがある。

日本のビジネス界では、1981年に当時の経団連の花村仁八郎副会長・事務総長が音頭を取り、企業史料協議会が結成された。現在の会長は歌田勝弘元味の素会長である。会員企業は社内における過去の歴史的な文書資料やモノ資料の保存、整理、活用に熱心に取り組んでいる。同協議会にはトヨタ自動車をはじめとする、各業界を代表する企業のアーカイブズが加わっている。

さらに近年は、社史編纂のために収集した資料を基に、アーカイブズを整備し、社員教育やブランディング、あるいは企業ミュージアムに役立てるほか、グローバリゼーションに伴い、ガバナンス強化や情報開示を進めていく基盤にしようという動きも活発化している。

グローバル化は一方でデジタル化を伴っている。諸外国の企業・大学は、自分たちの過去の歴史に関する情報、場合によっては歴史資料自体をインターネットで世界に提供し、組織の広報・マーケティング・情報開示のツールとしている。大学も世界中から優秀な学生を集めるために、自分たちの過去のヘリテージを活用している。日本国内の例であるが、2016年度に内閣府から前記の指定を受けた東京外国語大学文書館のアーキビストによると、同大における文書館設置は「大学の広報機能の強化のため」と明確に位置付けられているという。そのため展示やフェイスブックなどを通じて積極的に大学の歴史情報を発信している。

大学も淘汰の時代に入っている。過去において輝かしい栄光と持つ組織といえども、永遠に盤石ではありえない。大学という存在もゴーイングコンサーンであり続ける意志を明確にする必要がある。企業の第一線の方々の目にはなかなか触れない分野であるが、アーカイブズの視点から眺めてみると、一橋大学の学園史資料関係のリソース(歴史的に価値ある法人文書、歴史資料等)の保存・管理・活用は、変化の激しい今日の環境の中で生き残っていくための情報基盤としては、まことに心もとない状況であると言わざるを得ない。

(日本アーカイブズ学会登録アーキビスト、(株)アーカイブズ工房代表取締役)

*国立公文書館に類する施設
http://www.archives.go.jp/links/#Sec_01

*全国大学史資料協議会
http://www.universityarchives.jp/membership.html

——————————-

(補記)

上の記事の公開後、北海道大学大学大学文書館公文書室と筑波大学アーカイブズが内閣府からの指定を受けました。

 

安丸良夫先生「社会学部の学問を振り返って」(2006年6月3日)

02 水曜日 11月 2016

Posted by archivesstudio in Uncategorized

≈ コメントする

タグ

著作権, 公文書管理法, 廃棄, 情報公開, 法人文書

以下に掲載するのは、2006年6月3日に一橋大学で開催された第1回ホームカミングデーにおける講演「社会学部の学問を振り返って」で配布された資料です。講演者は、本年(2016年)4月4日にお亡くなりになった一橋大学名誉教授安丸良夫先生です。本ブログに掲載を快諾してくださった、ご遺族で著作権継承者の安丸彌生様に感謝いたします。

筆者は2004年末より企業史料・ビジネスアーカイブズへのアクセス、利活用向上にかかわる仕事にたずさわることになりました。どの国でもそうですが、アーカイブズにかかわる制度や社会的意識のありようによって、その国の企業のアーカイブズの水準というものが左右されることは普通のことです。そこで、企業アーカイブズの振興のために、企業にとどまらず、公的機関における公文書管理や教育・研究機関のアーカイブズの状況も広く見渡すように心掛けてきたつもりです。

2006年6月に開催された一橋大学の第1回ホームカミングデーでは、同大学附属図書館・学園史資料室による創立百年記念事業学園史関係刊行物の展示が行われました。主としてこの展示を見学する目的で同大学を訪れ、安丸先生のご講演も拝聴させていただきました。

最近手元の文書資料を整理している過程で、上に述べた講演配布資料を改めて手にとる機会がありました。短い文章(一部は箇条書きのまま)です。他にも関心を持つ人がいるかもしれないと思い、ご遺族にブログ掲載についてうかがってみたところ、快諾していただいた次第です。

一橋大学の沿革ついては、同大学附属図書館サイトに掲載されている年表が見やすいです。
http://www.hit-u.ac.jp/guide/organization/pdf/16_55-57.pdf (PDF)

本文の後に、国立大学の行事と公文書管理に関する短い文章を掲載しています。

—————————————————————————–

安丸良夫先生「社会学部の学問を振り返って」

 

<目次>

はじめに
1. 社会学部の成立; 理念と実態
(1) 新制一橋大学の成立と社会学部
(2) 発足時社会学部の学問の特性
(3) 後知恵の感想
2. 福田徳三の学問と学風
(1) 生涯(1874〜1930)
(2) 学説の大要
(3) 学制改革で急進的
(4) ラディカルな批判的リベラリズム
(5) 福田と田口卯吉
おわりに; 卒業生の活動に拾う

—————————————————————————–

[本文]

 

PDFファイル(書き込みあり)

「社会学部の学問を振り返って」

 

2006. 6. 3. 安丸

はじめに

1. 社会学部の成立; 理念と実態

(1) 新制一橋大学の成立と社会学部; 3学部1研究所で出発、社会学部の独立が認められなかった。2年後に法学部と分離独立。本学の歴史を大きく振りかえると、はじめに実学的性格の強い商業教育があり、そのなかから経済学系が自立化してきて、大学昇格運動の原動力に、しかし法学部系は商学・経済学の法的側面として小さいながらも早くから充実。1920年、商科大学昇格にさいして、学生の受講科目の構成を見ると、必修科目・選択科目ともに「商業学に属するもの」「経済学に属するもの」「法律学に属するもの」に分けられており、ほかに「語学に属するもの」が必修科目となっている。のちの社会学部に連なる線は、選択科目の最後に「四、その他、外交史、社会学、人種学、高等数学(Aニ)」とあるうちの社会学・人種学だけ。
ところが社会学部独立にさいして上原構想が全面に出されて、「本学部は、社会科学の総合的研究を必至とする新時代の要求に応じ社会諸科学に基礎理論を与え、それと他の人文諸科学との関係を明らかにし」(以下に教育学関係の記述が続く)、と社会学部に総合的で高邁な大理念が与えられ、「社会科学の総合大学の構想は同時に社会学部をもつことなしには成立しない」とされた。上原はまた、「教養としての文学、哲学が、実は他の専門諸科学にとって欠くことのできない基本的な創造性となるものであることを自覚し、教養と専門研究の総合を志して」いるのだとも述べている。

(2) 発足時社会学部の学問の特性; 上原・高島らの高邁な理想主義的理念に基づく、総合的な全体性、批判的な原理性、現代的な問題関心に立った実践意欲などがうかがえる。この時代の上原・高島の学問はそのようなもので広い社会性をもって発信されており、2人とも、退職後もそうした立場を貫き、思索を深めた。高島は、高齢になってからも重要な理論的著作をつぎつぎと発表。
発足時の社会学部の研究状況を表現するものとして、上原専禄編『社会と文化の諸相』(1955年)がある。11論文中、中国関係2篇以外はすべてヨーロッパの文学や思想など、その当時の社会学部が実際にカバーしえた領域が表現されている。
上原の世界史、高島の社会思想史と社会科学論は、こうした状況を越えようとする意欲的なもので、戦後日本の学問史のうえでも重要。たとえば上原の世界史の提唱は、歴史学・歴史教育に大きな影響を与えた。欧米と日本に中心をおいた一国史的な歴史学を批判し、「世界史的現実の生きた動きそのものは日本の歴史学の進歩よりもはるかに前にいってしまっている」として、「世界史的なものの見方」「現代史的なものの見方」を力強く主張。しかしこの論文で彼が世界史の新しい現実としてあげている事例は、バンドン会議(55年)で、現代の研究者の関心とは大きく異なっている(上原『歴史学序説』)。

(3) 後知恵の感想; 全体性、批判性、実践性への強い意欲とそれを具体的研究のなかで具体化することの困難さ、志あって力足りず、専門に特化しきれない素人っぽさ?こうした特徴は、歴史学に関してはある程度まで自覚されていたらしい。増田四郎によると、一橋歴史学の黄金時代は大学昇格運動の時代から商科大学時代までにあり、その特徴は、日本、東洋、西洋の垣根を取りはらった”素人の歴史”、在野精神、日本社会の学問的位置付けという実践性にあり、「三浦(新七)先生の一番好きな言葉は”素人の歴史”」だった(『一橋の学風とその系譜 2』)。山田欣吾はその増田を、増田は「自らの歴史を好んで「しろうとの学問」と称んだが、これぐらい適確に教授の学風を言いあてている言葉はない」とする(『一橋大学学問史』)。称賛の意味だが、山田の立場からの自分と増田の区別化?

 

2. 福田徳三の学問と学風

全体性、批判性、実践性を一身に体現したのが福田、大学昇格運動以降の一橋の学問は、福田の系譜を引くものが多い。こうした包括性のゆえのエネルギーと情熱、またその故の学生への説得力。

(1) 生涯(1874~1930); 東京神田の刀剣商の家に長男として生まれる。85年、母信子の意向で植村正久より受洗、信子は明治女学校創立者木村鐙子の親友、その弟が田口卯吉、福田は小学生のころ『日本開化小史』を読み、田口を慕って経済学者になったとする。98年ドイツ留学、主としてミュンヘン大学でL・ブレンターノに学ぶ。同年12月、「欧米商業教育の近況」を同窓会々誌に寄せる。1901年1月、福田ら8人、ベルリンに会し「商業大学設立の必要」を草し、同窓会々誌に発表、大学昇格運動はじまる。同年9月帰国。1904年1月、会計官の公金横領事件についての学生大会で、福田、松崎校長を罵倒、公金不正流用の名目で同年8月休職、慶應教授となる。しかし休職中も学生とのかかわりは持続し学生には圧倒的人気、1910年、講師として復帰、19年教授。同年吉野作造らと黎明会組織、1925年、モスクワ学士院200年祭に招かれ、ケインズの講演を批判、ソヴィエト側とも論争。1928年、3・15事件とのかかわりでの河上肇辞任問題で京大当局などを批判。

(2) 学説の大要; 生存権を根本におく厚生経済学、「財産を中心とする私法はこれに対しては助法…私法の原則の発動は根本権と矛盾するものは徐々に改更せらるるをうべし」(「生存権概論」)。市場原理、それによる生産力発展が前提だが、しかしそれ自体が自己目的ではなく、「資本主義社会に於ける共産原則の展開」(『厚生経済研究』)が福田の立場、そのためには生存権の尊重と労働組合運動など労働者階級の闘争が重要。現代の福祉国家論につらなるが、マルクス労働価値説を含めた階級闘争の積極的肯定で異なる。ソヴィエト社会主義は流通の正義を否定した配分の正義の立場で、生産力発展を阻害していると、労農ロシアを見る。
福田の経済学説は、社会問題と労働問題が重要な意味をもつようになり、体系化されはじめたあたりでマルクス主義の影響力の拡大に遭遇した。福田はこうした状況から当時の日本では少数派となったが、それは当時の思想状況からいはば割を食ったもので、むしろ現代によくあてはまるか。

(3) 学制改革で急進的; 「大学の本義とその自由」という論文で、徹底した大学自由論。大学とは、「研究者の研究の為めにする自由、自治、独立なる団体是なり」、この研究者には学生も含まれる。エスケープ、カンニングなどは「専門学校の宿弊」、「如何に厳重に取締るとも此等の悪習は決して已むものにあらず、其故は専門教育を授くるに研究を本位とせざるの一事にあり、教ゆる者に研究なくして何ぞ清新溌剌たる英気あらんや」。

並行講義、ゼミナール制、必修科目削減など。

(4) ラディカルな批判的リベラリズム; 立憲的国民国家日本の理念は前提、天皇へも穏和な敬虔さ?しかしそうした前提が共有されるべきだと確信しているため、その立場からの批判に徹底性。国民国家的公共圏の内部での最急進派?「笛吹かざるに踊る」はそうした立場の典型。28年4月、3・15事件とのかかわりで、河上肇は京大当局から辞職を求められ、依願免官、だが福田によれば、国体にかかわるということで京大当局は「神経興奮症に陥っている」、自分は学説上は河上に反対で今も論争中だが、この問題では自分は断固として河上を擁護するという。河上は「如何なる場合にも、国法に触るゝが如き行為を敢てする人でないことを、ニ十余年にわたる学交の間において熟知してゐる」。学生についても、彼らをこうした行為に進ませたことを深く反省すべきは官憲の側だ(『厚生経済研究』)。

(5) 福田と田口卯吉; 田口はアダム・スミス流の自由主義経済論をとっているので、ブルジョアジーのイデオローグとされやすいが(森戸辰男など)、日本のブルジョアジーはつねに政府の保護干渉を求め、自由放任を求めたことがない。田口はすべての特権に反対するために自由主義経済論をとったのであって、田口の思想の本質は平民主義、文明開化主義、自由民権主義。「旧幕臣江戸っ子」である田口の思想は、「始終一貫政治的被抑圧者のイデオロギー」、もっと長生きすれば、河上に代って日本一のマルキストになったかもしれない、という(『厚生経済研究』)。
「大不平から出づる大公平の論」(『経済学論攷』)とは、福田の田口評だが、福田本人にいっそう該当しよう。それを支える情熱と論争性・レトリック。

 

おわりに; 卒業生の活動に拾う

あ)三浦展『下流社会』(2005年、光文社新書)
い)津田眞澂『新世代サラリーマンの生活と意見』(1987年、東洋経済新報社)
う)『現代思想』と池上善彦

 

Copyright(C) YASUMARU, Yayoi 2016- All Rights Reserved.

 


国立大学の行事と公文書~一橋大学の法人文書ファイル管理簿

 

この講演は2006年(平成18年)6月に開催された第1回ホームカミングデーの一環として行われました。大学主催の行事については、この行事に関して作成した公文書の綴り、法人文書ファイルがあるはずです。同大学の公文書に関する情報は、大学のウェブサイトの「情報公開」のページで知ることができます。
http://www.hit-u.ac.jp/guide/information/index.html

第1回ホームカミングデーについては法人文書・個人情報ファイルのページを参照します。
http://www.hit-u.ac.jp/guide/information/disc_01.html

法人文書ファイル管理簿(平成27年度)が公開されています。(「法人文書ファイル管理簿の閲覧」)
http://www.hit-u.ac.jp/guide/information/pdf/hojin_file_kanribo.pdf (PDF)
PDFで259ページあります。

21ページ目の大分類:総務課、中分類:儀式・諸行事、法人文書の名称:第1回ホームカミングデー(平成18年度)、がこのイベントに関わる公文書のファイルになります。表によると保存期間は10年、保存期間満了は2017年3月31日、保存期間が満了したときの措置は廃棄、保存場所は総務課、といったことが分かります。このファイルはあと5カ月で保存期間満了を迎え、廃棄されることになっています。

公文書管理法制定以後、国立大学では文書館を設置して、原課での保存期間が満了したもののうち、歴史的な価値があると評価されたものを文書館(アーカイブズ)に移管して管理するという体制を整えつつあります。

国立公文書館リンク集 「国立公文書館に類する機能を有するものとして、公文書管理法に基づき定められた施設」
http://www.archives.go.jp/links/#Sec_03

独自の文書館を持たない一橋大学などでは、公文書を一般の国民が閲覧する場合は、公文書管理法16条に定められた利用請求ではなく、情報公開法による開示請求をして閲覧します。
http://www.hit-u.ac.jp/guide/information/system.html (制度の概要)
http://www.hit-u.ac.jp/joho-kokai/format_1.pdf (法人文書開示請求書。PDF)

なお、大学アーカイブズ関係の専門家の方に確認したところ、講演者(著作権者)が、講演資料は大学が出版する権利を持つ、といった契約・取り決めを事前にしていない限り、著作権者の許諾があれば公開できるということでした。この点、万が一、事前の契約・取り決め等があった場合はたいへん恐縮ですが、ご連絡いただけると幸いです。

森本祥子「アーカイブズ編成・記述の原則再考:シリーズ・システムの理解から」(2014年)

15 日曜日 6月 2014

Posted by archivesstudio in Uncategorized

≈ 1件のコメント

タグ

シリーズ, シリーズ・システム, 目録, 立法, 編成, 記述, NDL, 公文書, 公文書管理法, 国立国会図書館, 森本祥子

88x31
This work is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
——————–

本ブログの「アーカイブズ目録記述例としてのNDL(国立国会図書館)の階層構造の考え方」末尾で

「アーカイブズの目録記述方法には「シリーズ・システム」という考え方もあります。シリーズ・システムについては下のtogetterを参照してください。
http://togetter.com/li/89658」

と記しました。togetterでまとめた2011年1月15日開催の日本アーカイブズ学会研究集会「アーカイブズの構造を読み解く-編成・記述論の現在―」での森本祥子さんの発表「オーストラリア・シリーズ・システムの可能性について」が論文として刊行されました。

**********************

著者:森本祥子

タイトル:アーカイブズ編成・記述の原則再考:シリーズ・システムの理解から
(国文学研究資料館編『アーカイブズの構造認識と編成記述』思文閣出版、2014年、所収)

出版者ウェブページ:
http://www.shibunkaku.co.jp/shuppan/shosai.php?code=9784784217366
http://www.shibunkaku.co.jp/shuppan/pamphlet/9784784217366.pdf

関連ブログページ:
https://archiveskoubou.wordpress.com/2014/06/14/nijl-archives-20140331/

 

**********************

[目次]

はじめに

一 シリーズ・システム

(1)前史:イギリスの伝統からの出発

(2)シリーズ・システム成立の経緯

(3)シリーズ・システムの基本的考え方

二 「恩給裁定原書」を素材とした記述例

三 「非」現代組織運営文書の管理におけるシリーズ・システムの有用性

おわりに

**********************

従来、記録資料(記録としてのアーカイブズ)の記述には、ICAが提唱する「国際標準記録史料記述:一般原則」(General International Standard of Archival Description: ISAD (G))に基づく編成記述が標準的なものと考えられてきました。

ISAD(G)に基づく編成記述の例を分かりやすく説明した文献として次のものをあげたいと思います。

牟田昌平「本格的デジタルアーカイブを目指して : アジア歴史資料センターの実験」
一般社団法人情報処理学会『情報処理学会研究報告. 情報学基礎研究会報告』 2003(112)、 33-44、2003-11-13

http://ci.nii.ac.jp/els/110002911492.pdf?id=ART0003258146&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1402737587&cp=

http://ci.nii.ac.jp/naid/110002911492/

小川千代子「ISAD(G)の実装 : アジア歴史資料センターの階層検索システム」
記録管理学会『レコード・マネジメント : 記録管理学会誌』 (45)、 10-25、2002-11-30

http://ci.nii.ac.jp/els/110003840749.pdf?id=ART0005051707&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1402754939&cp=

http://ci.nii.ac.jp/naid/110003840749

牟田論文の39ページ「図表4 各階層と各所蔵機関の目録構造比較対照表」、小川論文17ページ「第2図 資料の階層構成図」が示すように、ISAD(G)は出所である記録作成組織の階層性に応じた記録の原秩序を目録上で表現する方法と考えられます。

このような資料の編成記述・目録作成は、組織や業務が固定化されている場合には有効なのですが、記録を生み出す組織の改編が頻繁になってきた場合、階層構造の提示が困難となります。この点について森本氏は次のように述べます。

「組織変遷が頻繁に発生する現代の組織運営文書の場合には、文書の作成者と文書との関係は流動的であり、ある業務にともなって文書が作成され始めた時と、その業務が終わって文書のまとまりができあがった時とでは、作成組織が変わっている、ということは珍しくない。ある業務とそれにともなって作成される文書シリーズは一貫しているにもかかわらず、文書の直接的作成者(たとえば、課や係といった単位)はいうまでもなく、フォンド・レベルの作成者も変わる(省庁名が変わった、市町村合併が行われた、会社が吸収合併された、など)ことがある。このような場合は、作成者と資料とは「1対1」対応との前提に立ち、単一の出所のもとにすべての文書を関連づけるというツリー型の階層構造では、作成者と文書の関係を正確かつわかりやすく表現することはむずかしい。」
(森本祥子「アーカイブズ編成・記述の原則再考:シリーズ・システムの理解から」71~72ページ)

そこで森本氏が紹介するのは、オーストラリアで開発された「シリーズ・システム」と呼ばれる手法です。この方法では、文書の作成者(エージェンシー)に関する記述と、文書(シリーズ)に関する記述を別々に作成し、必要に応じて両者の記述をリンクさせます。この手法は森本氏によると、

「見かけ上、作成者と文書についての記述が切り離されるために出所原則が崩されたように見えるが、その本質は真の意味での出所原則を守れることにある」(同72ページ)と言います。

**********************

さて、ここで再び国立国会図書館の組織を基にシリーズ・システムを考えてみたいと思います。現在の同館の組織図は下記の通りです。
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/outline/organizationtree.html

国立国会図書館では2009年度に「デジタル情報資源ラウンドテーブル」を設置しました。
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/roundtable.html
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/h21-h23roundtable.html

発足時から2011年9月まで関西館電子図書館課が、同年10月以降は電子情報部電子情報企画課が事務局を担当しています。これは国立国会図書館の組織の中に2011年10月電子情報部が新設されたことに対応しているようです。
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/pdf/h21-h23roundtable01.pdf
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/pdf/H23honkaigi_Tanaka.pdf (スライド4枚目)

シリーズシステムを考える(NDLを例に)

 

2009年度に関西館電子図書館課内に設置された「デジタル情報資源ラウンドテーブル」全体事務局は2011年10月に電子情報部電子情報企画課に移動しています。つまり「デジタル情報資源ラウンドテーブル」運営のための文書作成主体は関西館電子図書館課から電子情報部電子情報企画課に移動したと言えます。

シリーズ・システムでは、「デジタル情報資源ラウンドテーブル」運営文書(仮称)というシリーズに関して「名称」「シリーズ開始日」「シリーズ終了日」「内容開始日」「内容終了日」「機能」「数量」「物理的特徴及び利用上の技術的要請」「記述」「評価選別」「累積」「管理歴」「編成方法」「管理番号」「公開の可否」「著作権及び複写」「言語」「検索手段」「所在地」「複製」といった項目を記述します。一方、エージェンシー(この場合は、関西館電子図書館課と電子情報部電子情報企画課それぞれ)に関して、「名称」「開始日」「終了日」「権限根拠」「所在地」「記述」「機能」といった項目を記述します。そしてシリーズに関する記述と、エージェンシーに関する記述をリンクさせることによって作成者と文書の関係を正確に表現することが可能となります。

**********************

国際アーカイブズ評議会(ICA)議会・政党のアーカイブズ・アーキビスト部会(SPP)でも述べたとおり、現在の日本の公文書管理法は国の行政機関のみを対象としたもので、立法機関の一部である国立国会図書館には適用されません。法令に基づいた組織アーカイブズの管理と公開の実現がいつになるのかはわかりませんが、自らが生みだした文書とアーカイブズを、確実に未来の世代に残して行ってほしいと思います。そして利用を可能に、また容易にするための編成と記述、目録作成を実現してもらいたいものです。

IMG_1936

国際アーカイブズ評議会(ICA)議会・政党のアーカイブズ・アーキビスト部会(SPP)

14 土曜日 6月 2014

Posted by archivesstudio in ICA

≈ コメントする

タグ

立法, 議会, ICA, spp, 公文書, 公文書管理, 公文書管理法, 国会, 国会図書館, 政党

88x31
This work is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.

国際アーカイブズ評議会(ICA)には13の専門部会があります。
http://www.ica.org/?lid=2310&bid=171

そのひとつに「議会・政党のアーカイブズ・アーキビスト部会」(Section of Archives and Archivists of Parliaments and Political Parties: SPP)があります。
http://www.ica.org/792/about-section-for-archives-of-parliaments-and-political-parties-spp/about-parliamentary-and-political-party-archives-spp.html

会長はオーストリア議会アーカイブズのGünther SCHEFBECK氏。
http://www.ica.org/804/steering-committee/spp-steering-committee.html

ベルギー、フィンランド、デンマーク、スウェーデン、スペイン、スイス、ドイツ、イタリア、イギリス、ブルキナファソ、ギリシア、韓国その他の中央政府・地方政府、あるいは欧州議会といった議会アーカイブズ、議会図書館など現在120団体・個人がメンバーです。
http://www.ica.org/?lid=852&group1=32

SPPによる各種刊行物も公開されています。

「ガイドライン 議会組織:ドキュメントの評価選別基準」
Guidelines Parliamentary Institutions: The criteria for appraising and selecting documents
http://www.ica.org/download.php?id=52
http://www.ica.org/?lid=810&bid=200

「ウェブサイトのアーカイビングのためのガイドライン」
Guidelines for the archiving of websites
http://www.ica.org/3432/public-resources/guidelines-for-the-archiving-of-websites.html
http://www.ica.org/download.php?id=53

日本では公文書管理法が対象とするのが行政機関に限られているので、国会や国会図書館といった機関の組織アーカイブズに関する法律は存在しません。

国立国会図書館内の憲政資料室は政治家等の個人文書の収蔵先として知られており、それら所蔵資料の管理はもちろん行われています。これは国会図書館が収集したり寄贈を受けた資料の管理であって、国会図書館自体の組織アーカイブズとはまったく異なります。衆議院・参議院といった議会の公文書の管理を定める法律も存在しません。

法制度の整備へ向けた準備とともに、国会・地方議会関係者によるSPPへの参加は検討に値するのではないでしょうか。

IMG_0523

東洋文庫にて

2026年5月
日 月 火 水 木 金 土
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  
« 3月    

アーカイブ

最近の投稿

  • 日本アーカイブズ学会の2024年度大会、SIGフォーラム
  • 企業史料協議会第9回ビジネスアーカイブズの日(2020年11月6日)
  • 柳沢芙美子「福井県文書館の行政組織上の位置付けと業務連携」(2019年12月)
  • 「原課」ということば(2020年7月)
  • 国立公文書館「アーキビストの認証」申請・認証スケジュールの公示(2020年6月)
  • 尼崎市の文書館専門職(正規職員)採用試験情報(2020年1月)
  • ISO9000シリーズにおける「文書」と「記録」に関するメモ
  • recordor(deponentia)に関するメモ
  • 国立公文書館「アーキビスト養成・認証制度調査報告書」(2019年11月)
  • recordに関するメモ- ISO14589とGDPR

最近のコメント

archivesstudio のアバター「なぜアーカイブズは必要なのか―文書保存の意義と実態」講演会… に archivesstudio より
amano_kaeru のアバター「なぜアーカイブズは必要なのか―文書保存の意義と実態」講演会… に amano_kaeru より
archivesstudio のアバター「なぜアーカイブズは必要なのか―文書保存の意義と実態」講演会… に archivesstudio より
archivesstudio のアバター「なぜアーカイブズは必要なのか―文書保存の意義と実態」講演会… に archivesstudio より
amano_kaeru のアバター「なぜアーカイブズは必要なのか―文書保存の意義と実態」講演会… に amano_kaeru より
小林年春 のアバターPDF公開 富田三紗子「博物館が所蔵する文献資料の整理におけ… に 小林年春 より
富田三紗子 のアバター富田三紗子「博物館が所蔵する文献資料の整理におけるISAD(… に 富田三紗子 より
archivesstudio のアバター富田三紗子「博物館が所蔵する文献資料の整理におけるISAD(… に archivesstudio より
富田三紗子 のアバター富田三紗子「博物館が所蔵する文献資料の整理におけるISAD(… に 富田三紗子 より
archivesstudio のアバター芳賀町総合情報館特別展「わが町学校のあゆみ─小学校編─」 に archivesstudio より

タグ

AA American Archivist archives Archon ARMA BAA BAC bank banking Bank of Japan business archives CSR EABH ECM ENC ESG evidence HSBC ICA ISDIAH ISO 26000 JSAS London NARA NDL NPO知的資源イニシアティブ NRA proof SAA spp TNA 『アーカイブズ学研究』 アーカイブ アーカイブズ アーキビスト シリーズ シリーズシステム シリーズ・システム デジタルアーカイブ デジタル・アーカイブズ ビジネスアーカイブズ フォンド 企業史料協議会 会社史 公文書 公文書管理 公文書管理法 勉誠出版 国会 国会図書館 国立公文書館 国立国会図書館 宇都宮 情報公開 政党 日本経営史研究所 日本銀行 日銀 東北 東日本大震災 構造 盛岡 目録 社史 立法 統合報告 編成 記述 記述標準 証拠 議会 遠野 銀行 階層構造 非財務情報

最近のコメント

archivesstudio のアバター「なぜアーカイブズは必要なのか―文書保存の意義と実態」講演会… に archivesstudio より
amano_kaeru のアバター「なぜアーカイブズは必要なのか―文書保存の意義と実態」講演会… に amano_kaeru より
archivesstudio のアバター「なぜアーカイブズは必要なのか―文書保存の意義と実態」講演会… に archivesstudio より
archivesstudio のアバター「なぜアーカイブズは必要なのか―文書保存の意義と実態」講演会… に archivesstudio より
amano_kaeru のアバター「なぜアーカイブズは必要なのか―文書保存の意義と実態」講演会… に amano_kaeru より

WordPress.com Blog.

  • 登録 開始日
    • アーカイブズ工房 
    • WordPress.com のアカウントをすでにお持ちですか ? 今すぐログイン
    • アーカイブズ工房 
    • 登録 開始日
    • 登録
    • ログイン
    • このコンテンツを報告
    • サイトを Reader で表示
    • 購読管理
    • このバーを折りたたむ

コメントを読み込み中…