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昨年12月に紹介した坂口貴弘さんの博士学位論文「米国型記録管理システムの形成とその日本的展開」の目次の詳細をご紹介します。学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻事務室にて閲覧させていただきました。いくつかの章については、すでに記録管理学会誌『レコード・マネジメント』誌他に発表されています。しかし一つの大きな論文としてみると、また別の価値を持ちます。日本においてレコード・マネジメントが未発達であり、アーカイブズが軽視されてきた経緯を、米国型記録管理システム生成との対比、日本における米国型記録管理システムの受容過程に注目してまとめたものということができます。一次資料に依拠した歴史学的手法による研究です。

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著者によると、この論文は近く公刊されるということです。米国型記録管理システムの形成過程を日本語で読めることになります。アーカイブズ学、記録管理学を学ぶ人たち、また教える側にとってもたいへん有用なテキストになるでしょう。
(2015.11.13追記)

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[著者・坂口貴弘さんについて]

以下のサイトをご覧ください。

Researchmapのページ
http://researchmap.jp/searchivist/

ブログ Daily Searchivist
http://d.hatena.ne.jp/searchivist/
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坂口貴弘「米国型記録管理システムの形成とその日本的展開」
(学習院大学大学院人文科学研究科 アーカイブズ学専攻 博士後期課程 学位論文)

[目次]

序章
第1節 研究の背景と目的
第2節 研究の今日的意義
1. 公文書管理制度の実効性確保
2. デジタルアーカイブの持続可能性
第3節 研究の特徴と視座
1. 歴史的視点
2. 欧米と日本
3. 研究史上の特徴
第4節 論文の構成
第5節 素材と用語
1. 使用する一次資料について
2. 用語について

第1章 記録管理システムの諸側面
はじめに
第1節 集中・独立型と分散・連携型
1. 集中・独立型
2. 分散・連携型
第2節 保管システム
1. レジストリにおける集中管理
2. 分散保管型施設としてのレコードセンター
3. 日本における保管単位論
第3節 評価選別システム
1. 外部独立機関による処分認可制度
2. 連携型評価選別法と処分スケジュール
3. 日本における評価選別論
第4節 探索システム
1. 集中・独立型探索手段からの展開
2. ファイリング法との連携とフォンド尊重
3. 日本における探索手段論
おわりに

第2章 情報探索システムとしての米国型文書整理法
はじめに
第1節 米国型文書整理法の形成とその前提
1. 19世紀末における文書整理法
2. ファイリング法の起源について
3. ローズノーと慈善組織協会
4. ライブラリー・ビューローの役割
第2節 文書探索システムの模索と図書館界
1. カード・システムと情報処理
2. 直接式探索手段の開発
3. 垂直式ファイリング用品の開発
第3節 文書整理法改訂の実際
1. 文書管理におけるファイリング法の位置
2. 鉄道会社における十進分類法
第4節 連邦政府における文書整理法改革
1. 陸軍省文書分類法の成立
2. タフト委員会の調査と勧告
3. 国務省の文書整理法
おわりに

第3章 文書整理者の拡大と学校教育
はじめに
第1節 探索システムから管理システムへ
1. 数字順からABC順へ
2. 科学的事務管理法の影響
第2節 専門化する事務管理と図書館界
1. ファイリング法とオフィスワーク
2. オフィスワーカーと商業学校
3. 図書館学校との関係
第3節 文書整理学校の誕生
1. 企業内部の研修制度
2. シカゴの文書整理学校
3. ニューヨークの文書整理学校
第4節 商業学校教育への展開
1. 商業教育におけるファイリング法
2. 『プログレッシブ・ファイリング』と実習教材
第5節 文書整理専門職の形成
1. コロンビア大学での教育
2. ファイル・クラークの独立と量的拡大
3. ファイリング協会の結成
おわりに

第4章 米国国立公文書館における資料探索システムの形成
はじめに
第1節 欧州型アーカイブズ原則の初期的受容
1. リーランドの「ガイド」と欧州の原則
2. 設立直後の「暫定的提案」
3. 目録部・分類部の試行錯誤
4. シェレンバーグの解釈と批判
第2節 国立公文書館資料の特性
1. 年代範囲
2. 数量
3. 利用件数
第3節 探索手段委員会の勧告
1. 探索手段の作成に関する指針
2. 探索手段の段階的精密化
第4節 出所の分散化とレコードグループ
1. 基本単位としての「局」
2. 省庁共通の「一般文書」
3. レコードグループの実際
第5節 原秩序としてのファイリング単位とシリーズ
1. シリーズ記述の原則
2. シリーズ記述の実際
おわりに

第5章 評価選別システムの成立と米国国立公文書館
はじめに
第1節 連邦議会による文書処分審査
1. 連邦議会による文書処分の統制
2. 議会図書館の関与
第2節 国立公文書館設立と評価選別手法の模索
1. 国立公文書館法の規定
2. 公文書に関する知見の蓄積
第3節 評価選別の制度化と変容
1. 連邦公文書の量的推移
2. 国立公文書館スタッフの資質
3. 1939年文書処分法の制定
4. 処分リストの改訂
5. 評価選別の実績と単位
第4節 共通処分スケジュールの開発
1. 1943年文書処分法の制定
2. 処分リストから処分スケジュールへ
3. 処分スケジュールから包括的スケジュールへ
おわりに

第6章 集中管理概念の変容とレコードセンター
はじめに
第1節 第二次世界大戦前の文書保管単位論
1. ファイリング法における集中保管論
2. 国務省文書管理の分散化
第2節 記録管理事業の開始とエメット・リーヒー
1. エメット・リーヒーについて
2. 国立公文書館の特別調査官
3. 米国アーキビスト協会の設立と調査活動
4. 記録管理事業の開始
第3節 レコードセンターの成立
1. 米国アーキビスト協会委員会の調査
2. 海軍省レコードセンターの設置
3. 第一次フーバー委員会の勧告
4. 連邦レコードセンターの整備
5. 第二次フーバー委員会の勧告
第4節 レコード・マネジメントにおける文書保管単位
1. 集中管理・分散保管方式の提唱
2. レコードセンターの位置づけ
おわりに

第7章 日本における米国型記録管理システムの受容
はじめに
第1節 西洋式文書整理法の初期的受容:欧州型から米国型へ
1. 西洋諸国の記録法に関する情報の入手
2. 国務省索引アーカイブズ局の文書編纂法取調べ
3. 民間における米国式ファイリング法の紹介
第2節 大正期外務省の文書集中管理強化策とディスマル式
1. 外務省における文書整理法改正と米国視察
2. 集中管理方式としてのディスマル式導入
3. 文書整理法の修正と改訂
第3節 科学的事務管理法の導入と文書集中管理論
1. 科学的事務管理における集中保管論
2. 占領下の行政改革と文書整理法
第4節 集中・分散併用方式の成立
1. 完全集中型から併用型へ
2. 米国における集中管理・分散保管論の受容
おわりに

第8章 日本占領行政の中の記録管理システム
はじめに
第1節 占領計画におけるアーカイブズの位置
1. ポズナー・リストの作成
2. ロバーツ委員会と国立公文書館
3. 民政ハンドブックにおけるアーカイブズ
第2節 GHQ/SCAPによる日本のアーカイブズ調査
1. コラス・ハリスの日本着任
2. 日本のアーカイブズ施設調査
3. 民間情報教育局における文化財保護活動
4. 史料館設置との関係
第3節 在外部隊のレコードセンターとGHQ/SCAP
1. 海外軍文書の「退役」と中間保管庫
2. 第8軍の横浜文書保管庫
第4節 陸軍省文書の処分と保管
1. 陸軍省における文書処分スケジュールの成立
2. GHQ/SCAP解散と文書処分プログラム
おわりに

第9章 戦後文書管理における保存と廃棄
はじめに
第1節 「文書管理」の登場と文書処分
第2節 公務能率研究会における文書管理
1. 人事院の発足と公務能率
2. 公務能率研究会議
3. 公務能率研究会
第3節 文書管理論の変容と国立公文書館
1. 米国の文書処分手法の受容
2. 行政管理庁とO&M運動
3. 国立公文書館設立計画と行政管理庁
4. 国立公文書館設立計画と各省庁
第4節 「レコード・マネジメント」の受容
1. 各省庁統一文書管理改善週間の開始
2. 実施要綱の分析
3. レコード・マネジメント研究会
おわりに

終章

謝辞
参考資料一覧

[図表目次]

表0-1 米国国立公文書館文書の編成
表0-2 コラス・ハリス文書の編成
表0-3 外務省記録分類表(ABC式)におけるN門

表1-1 レジストリ・システムとファイリング・システム
表1-2 集中・独立型と分散・連携型
表1-3 保管単位の比較

表2-1 ファイリング法の主な構成要素
表2-2 デューイ十進分類法とウィリアムズ式十進分類法
表2-3 国務省文書十進分類法

表3-1 英数字による主題表現方式の比較
表3-2 通信教育コースのカリキュラム構成
表3-3 オフィスワーカーに占めるファイル・クラーク等の比率(1940年)

表4-1 各国の国立公文書館における所蔵資料の数量(1975年)
表4-2 米国連邦政府各省の「一般文書」
表4-3 米国国立公文書館におけるレコードグループの規模
表4-4 米国国立公文書館における「クラスター」

図4-1 米国国立公文書館における受入資料の推移
図4-2 米国国立公文書館における来館者数と閲覧点数の推移

図5-1 米国国立公文書館における受入文書量と職員数の推移
図5-2 米国国立公文書館における評価選別業務の実績
図5-3 米国陸軍省の処分スケジュールの見本(一部)
図5-4 米国海軍省の処分スケジュールの例

表6-1 部門別ファイルと集中ファイルの比較

表7-1 外務省最初の記録局文書類別表(明治19年)
表7-2 外務省の八門式文書分類表と組織機構
表7-3 米国国務省と日本外務省の文書分類法
表7-4 外務省における八門式及びABC式文書分類表

表8-1 ポズナー・リスト一覧
表8-2 ポズナー・リストにおける日本のアーカイブズ施設
表8-3 民間情報教育局による日本のアーカイブズ調査
表8-4 民間情報教育局が調査した関西地域のアーカイブズ施設
表8-5 民間情報教育局文化資源研究班の調査結果(1947年7月)
表8-6 第8軍文書保管庫の活動
表8-7 陸軍省特別規則における文書類型と処分措置
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