タグ

, , , , , , ,

昨年7月の企業史料協議会(BAA)資料管理研修セミナーのテーマは「資料活用のための目録作成のヒント:資生堂企業資料館での資料整理を事例として」、そして二つの講演のタイトルは「目録の標準化とは何か」と「アーカイブズ資料記述および目録作成の一例:資生堂企業資料館所蔵資料を例に」でした。

しかし実は、アーカイブズに関する英語文献では「目録」catalogue、「目録作成」cataloging、という言い方はあまりせず、もっぱら「検索手段」finding aidsという用語を目にします。そしてこれは記録(レコード)の組織化のための行為である「編成」arrangement、「記述」descriptionという用語と密接に関係します。

これらの用語について、上述のBAA資料管理研修セミナーで講師を務めてくださった東京大学文書館准教授の森本祥子先生にうかがってみました(2016年5月14日)。以下、森本先生のお話です。

—————-
まず、「目録」「編成」「記述」に対応する英語は次の通りです。

目録 = catalogue / list
編成 = arrangement
記述 = description

そして、編成と記述はセットで行われると考えられているので、英語圏だとA & D(arrangement & description)といったように省略して使われたりします。

検索手段 = finding aids

は、文字通り、情報を探し出すためのツール全体を包括的にいう呼び方です。

日本は伝統的に表形式の目録だけが検索手段でしたが、例えばイギリスだと、index(トピックスや固有名詞など、ものを探す手がかりになるキーワード一覧)とかcalendar(個々の資料の内容を詳細に説明したもの)などが伝統的に作られてきたので、そうしたものも含めた、すべての「情報検索ツール」を指す意味合いです。

それでは、なぜ「目録」ではなく「編成・記述」という言葉が(アーカイブズ学・実務関係者に)好まれるようになったかということですが、要は、「目録」というのはいわば「単なる形」をさすものであって、それがどのような作り方をされたものであれ、情報が書き連ねられていれば、目録である、ということになります。

他方、「編成」と「記述」は、資料の分析を経るものであって、結果としての「形」よりも、その過程に注目した言い方です。日本での定着としては、そうした資料分析が重要だという議論とともにそれが従来の「目録論」というような言葉から、「資料の編成・記述」という言い方に変わってきたという経緯があります。

資料の特徴を引き出していようがいまいが、とにかく「リスト」があればいい、というのではダメで、資料群を分析し、ひとつひとつの資料の関係が見えるように、それがどのように作られたのかがわかるようにきちんと分析しよう、というのがarrangement & descriptionにこめられた意味合いということですね。

—————
森本先生ありがとうございました。

2015-11-27 15.34.38