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アーカイブズ工房 

~ Archives Studio 記録を活かす

アーカイブズ工房 

投稿者アーカイブ: archivesstudio

イエズス会聖三木図書館OPAC

21 月曜日 10月 2019

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https://seimiki.opac.jp/opac/Top

東京四ツ谷にあるキリスト教の専門図書館聖三木図書館のOPAC(オンライン蔵書目録)が公開されています。同館の館報『みき』第7号(2019年7月31日)に「蔵書検索サービス開始 九月より聖三木図書館のホームページから聖三木図書館の蔵書検索ができるようになります」という予告がありました。今日、すでにサービスが開始されているのを確認しました。

https://seimiki.opac.jp/opac/Top

聖三木図書館ホームページ
http://www.jesuits.or.jp/~j_seimikibun/

聖三木図書館フェイスブックページhttps://www.facebook.com/%E8%81%96%E4%B8%89%E6%9C%A8%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8-109279983121068/

「実務セミナー 資料管理の現場でデジタルアーカイブを位置付ける」メモ(2019年6月22日)

23 日曜日 6月 2019

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非会員でも参加可能だったので、社会・労働関係資料センター連絡協議会と東京大学経済学部資料室共催の表記のセミナーに参加してみました。
https://sites.google.com/site/rodoshiryokyo/sokai/semina

プログラムはリンク先にあります。講義3つと見学、ワークショップ、実習+質疑、という内容濃き3時間半でした。

●講義「デジタルアーカイブ入門:歴史と課題」
報告「エル・ライブラリーの事例から教訓を学ぶ 労働組合旗、労働史オーラルヒストリー、産業映画フィルムのデジタル化について」
講師:谷合佳代子(エル・ライブラリー〈大阪産業労働資料館〉館長)

●講義「東京大学経済学図書館の蔵書管理におけるデジタル化の位置づけ」
講師:矢野正隆(東京大学経済学部資料室助教)

●講義「東京大学経済学部資料室における撮影システム構築の考え方」
講師:小島浩之(東京大学経済学部資料室講師)

●見学「東京大学経済学部資料室の撮影室」

●ワークショップ「資料のデジタル撮影のポイントと注意点」
講師:岸剛史(東京大学経済学部資料室学術支援職員)

●実習+質疑「デジタル化のプロセスについて参加者と考える」
講師:矢野正隆(東京大学経済学部資料室助教)

以下、特に注目した部分の簡単なメモです。

東京大学経済学部資料室ではデジタル化の目的は、「保存管理(preservation)の一環としてのデジタル画像作成」。所蔵資料のうち「貴重」資料は「利用のための代替物作成」のためにデジタル化、「一般」資料の場合は、「保存のための代替物作成(代替保存)」のためにデジタル化する(この部分は矢野先生のお話)。

過去様々な資料デジタル化の取り組みを経て、現在資料のデジタル化は外注ではなく内製しています。どうしてこの仕組みで行くことにしたのか、という点について、以下は小島先生のお話の一部です。

講義によると、資料保存のための教育は誰も受けていない。デジタル化のための写真撮影についても、同様の問題がある。デジタル化の撮影とは、資料所蔵機関からすると、修正などをほどこされない、現物のありのままのデジタル代替品を作成することが目的。でも、実は日本での写真撮影に関わる教育は、ずっと芸術作品(著作権が生じる)撮影の教育しか行われてこなかった。そこに流れる価値観は「写真はキレイであるべき」という価値観。どの業者さんも同じ。

入札を行う場合は、価格を下げるために人件費を下げる、これによって撮影のクオリティ、デジタル代替品のクオリティが下がる。色々大変な目にあった(例えば納品された正副2setのデジタル画像数と原本の画像数が合わないとか)。

様々な試行錯誤(?という言葉は使っておられませんでしたが)の末、ブックショットという資料撮影機材を導入を決めた。ただし、求める品質の画像を得るために色々工夫した。さらに、岸さん、前任者タケウチさんという写真撮影の専門家(岸さんは芸術学部出身)に学術支援職員としてチームに加わってもらい、東大経済学部資料室のニーズと目的(保存管理の一環としてのデジタル画像作成)という考え方を共有し、ワークフローを整えて、現在の資料室における撮影システムを構築した。

きっちり頼れる体系的な理論・方法・知識・・・が存在しない。なので、自分たちはデファクト・スタンダードを作っていくつもりである。「何を残すのか」「何を撮りたいのか」が大切。これによってデジタル化の考え方や方法が変わってくる。

以上のようなお話でした。

利用(とくに学術利用、と私は理解しましたが)可能な品質を備えたデジタル化画像を作成できる人的な能力・リソースは限られており、過去潤沢なデジタル化予算が付き短期間で大規模デジタル化が行われたことがあったが、その品質、持続性については精査しなければならない、という趣旨のお話も大変参考になりました。

 

 

松崎裕子「日本におけるアーキビストとレコード・マネージャーのキャリアパス形成に向けて」(2019年)

02 水曜日 1月 2019

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一般社団法人情報科学技術協会発行の『情報の科学と技術』2019年1月号が昨日(2019年1月1日)からJ-STAGEで公開されています。半年間のエンバーゴ期間があるため、アクセス権がないとまだ読めません。とりあえず自分で紙からスキャンしたPDFをこのブログにおいておきます。

松崎裕子「日本におけるアーキビストとレコード・マネージャーのキャリアパス形成に向けて」(PDF)

J-STAGE『情報の科学と技術』2019年1月号 (目次)


【2019年1月8日追記】

昨日、編集部よりいただくことができたPDFをこちらに置きます。

松崎裕子「日本におけるアーキビストとレコード・マネージャーのキャリアパス形成に向けて」(PDF:編集部より)

平野泉「ダッチ・マニュアル120年」(FB連載へのリンク)

13 金曜日 7月 2018

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立教大学共生社会研究センターのアーキビスト兼学習院大学大学院科目「アーカイブズ学理論研究3:海外文献講読」(*)講師の平野泉さんがアーカイブズの編成・記述に関する古典的文献Dutch Manual(1898年,**)の日本語訳と注釈の解説をほぼ毎日フェイスブックのNotesにアップロードしておられます。わたしは2004年の国文学研究資料館主催アーカイブズ・カレッジ長期コースで、はじめてこの文献について教えられました。しかし、自分で原文(英訳版なら読めるのに…)にあたることのないまま2018年に至ってしまいました。今年のゴールデン・ウィーク明け以降、平野さんによる本文の訳と注釈解説(ご本人曰く「注釈をネタにした漫談」!)で勉強する日々です。FBはアーカイブ、過去記事の検索にはあまり向かないので、公開されている回へのリンク集を作成しました。たくさんの人に読んでいただけるといいな、と思います。アーカイブズに関する理解も深まりますし、なによりも、平野さんの楽しい、そして巧みな文章に魅了されるでしょう。

FBの連載はほぼ毎日更新されています・・・。このブログページには、たぶん毎日ではなく、数日ごとにリンクを付け加えていくことになりそうです。

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*シラバスが自習にも非常に参考になります。学習院のG-Portでは個々のシラバスへのダイレクトリンクが貼れないので、科目一覧 とシラバス検索をご利用ください。

**正式なタイトルの英訳はManual for the arrangement and description of archives / drawn up by direction of the Netherlands association of archivists by S. Muller, Fz., J. A. Feith and R. Fruin, Th. Az. Translation of the 2d ed. by Arthur H. Leavitt. 本文はこちらから。

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◎関連文献に関するページへのリンク

『アーカイブズ学研究』第18号目次
『アーカイブズ学研究』第17号目次

Archives 101 — 図書館基礎特論「アーカイブズの基礎」

28 月曜日 5月 2018

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タグ

アーカイブズ, ICA, 公文書, 公文書管理

2018年度の春学期、司書課程の授業を行っています。選択科目の図書館基礎特論です。わたしの授業のテーマは「アーカイブズの基礎」。図書館基礎特論については、これからの図書館の在り方検討協力者会議 「司書資格取得のために大学において履修すべき図書館に関する科目の在り方について」(2009年2月)の最後のページに説明があります。

司書課程での授業なので、「司書としての価値を高める(そしてそれによってパブリック=公共に寄与する)ための、アーカイブズの知識と考え方」という視点で毎回授業を行っています。アーキビストの養成やアーカイブズ学の授業というよりは、司書としてアーカイブズを利用するために知っておくとよい、とわたしが考えていることをお話しています。

アーカイブズの仕組みは、原理的にレコード・マネジメントを含むものです。この部分は、どのような職業につくにせよ、あらゆる職業に関わってきます。司書として働く場合以外でも、企業であろうと、役所であろうと文書管理、記録管理は知っておく必要があります。

当初の計画ではガイダンスの次の回(第2回目)で基礎的な話をして、以後10回にわたりさまざまな種類のアーカイブズ(公的な文書館、企業アーカイブズ、その他)、デジタル長期保存について1回、デジタル展示・キュレーションとしてのデジタルアーカイブとコミュニティアーカイブに関して1回、というシラバスにしました。

しかし実際に行ってみると、基礎的な部分は1回で終わらず、もう1回費やすことに。その次の回に小テスト(20180507)を行いました。ここまでは理解してほしい、という部分に関する内容です。(PDFの4ページ目は、アーカイブズ管理に関するセミナーなどでは言及したくなる部分ですが、これは興味があったら読んでみてね、という位置づけです。)

内容は以下のようなものです。(PDF)

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2018年5月7日

図書館基礎特論「アーカイブズの基礎」復習テストと補足

1. (    )に授業で学んだ用語(カタカナ)を入れてください。

レコードとは・・・ある活動の記録された証拠(        )すべて

【出典】エリザベス・シェパード、ジェフリー・ヨー〔共著〕 森本祥子ほか〔編訳〕
『レコード・マネジメント・ハンドブック:記録管理・アーカイブズ管理のための』(2016年)21ページ

2. 授業で学んだ「アーカイブズ」の意味に含まれるものに○をつけてください

(    ) 業務遂行の過程で個人又は組織により作成・収受されて蓄積され、並びにその持続的価値ゆえに保存された文書。

(    ) アーカイブズを保存し、閲覧利用できるようにする建物又は建物の一部。アーカイブズ保存所とも呼ばれる。

(   ) 文書の出所に関わりなく、何らかの特徴(たとえば、取得方法、作成者、主題、言語、媒体、形式、収集家の名前)に基づいて集められた、文書の人工的まとまり。

(    ) アーカイブズを選別、取得、保存、提供することに責任をもつ機関又はプログラム。アーカイブズ機関、アーカイブズ制度、アーカイブズ事業とも言われる。

【出典】ICA(国際アーカイブズ評議会)オンライン多言語用語集日本語ページ http://www.ciscra.org/mat/mat/termlist/l/Japanese

3. 図書館司書、レコード・マネジャー/アーキビストがそれぞれ扱う対象について線で結んでください。

図書館司書・                                        ・レコード・               ・証拠(     )

レコード・マネジャー/アーキビスト・      ・情報プロダクト・       ・インフォメーション

【出典】『レコード・マネジメント・ハンドブック:記録管理・アーカイブズ管理のための』35, 43-45, 142, 160, 169, 179-187ページ

4. レコードの一生(ライフ)について、説明に当てはまる用語を(  )に記入してください。

「組織の現在の業務で日常的に使用されるレコードで、作成された場所で保管され続けているものである」
・・・(         )レコード

「現在の業務遂行にあたってはほとんど必要とされないので、オフィスからレコードセンターに移送し、そこで最終的な処分を待つべきとされるものである」

・・・(         )レコード

「現在の業務にはもはや必要とされないレコードである」

・・・(         )レコード

【出典】『レコード・マネジメント・ハンドブック:記録管理・アーカイブズ管理のための』27ぺージ

5. アーカイブズ機関には2種類の機関があります。(   )の中に用語を入れてください。

「組織内で作成されたものや、その組織と外部との間でやりとりされた通信といったアーカイブズ(記録資料)を保存・管理・提供する」

・・・(         )アーカイブズ

「あるテーマ・主題の下にさまざまな組織で作成されたアーカイブズ(記録資料)を収集して保存・管理・提供する」

・・・(         )アーカイブズ

【出典】企業史料協議会編『企業アーカイブズの理論と実践』(2013年)6ページ
公益財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター編『世界のビジネス・アーカイブズ:企業価値の源泉』(2012年)6-8ページ

6. アーカイブズの組織化・整理を考える上で最も重要や考え方について述べた文章です。これを表す用語(日本語、漢字2字)を(   )に書き入れてください。英語は下に記したものです。

「業務遂行過程で記録を作成し、管理し、利用してきた組織や個人」

・・・(         ) provenance

【出典】全国歴史資料保存利用機関連絡協議会監修『文書館用語集』(1997年)58ページ

7. レコード(そしてアーカイブズ)にとって大切な「コンテクスト」とは「記録が作成された際、それが誰によって作成されたのか、どのような組織における機能や活動のもとで作成されたのか、その記録は他の記録とはどんな関係にあるのか、といったことを意味する」ものです。

レコードとして意味を持ち、証拠として利用することができるために必要なモノ/コトをあげてください。

【参考】『レコード・マネジメント・ハンドブック:記録管理・アーカイブズ管理のための』33, 108ぺージ
アメリカ・アーキビスト協会用語集 context の項目 https://www2.archivists.org/glossary/terms/c/context
“1. The organizational, functional, and operational circumstances surrounding materials’ creation, receipt, storage, or use, and its relationship to other materials. – 2. The circumstances that a user may bring to a document that influences that user’s understanding of the document.”

8. アカウンタビリティとは「個人、組織および集団が責任を負っている行動や決定に関して、その行動や決定についての疑問に答えたり、説明したり、あるいはそれらが正当であると主張できる能力」(アメリカ・アーキビスト協会用語集日本語訳)です。通常「説明責任」とも言われますが、アーカイブズ、レコード・マネジメントの文脈では「説明責任」の前にある用語を補うことが必要です。それはなんですか。(  )の中に入る用語(漢字2字)を記してください。

・・・(         ) 説明責任

【参考】アメリカ・アーキビスト協会用語集 accountability の項目 https://www2.archivists.org/glossary/terms/a/accountability
“The ability to answer for, explain, or justify actions or decisions for which an individual, organization, or system is responsible.”

9. アーキビストの基本的な業務/職務には「移管・収集」「評価選別」「整理」「目録作成(編成・記述)」「保存(配架等)」「利活用(・公開)」といったものがあります。このうち、アーキビスト(レコード・マネジャーの場合もある)に特有で、非常に難しい業務/職務とみなされているものの一つが「評価選別」です。どのような点に注意して、この業務/職務に取り組む必要があるでしょうか。

10. レコード(そしてアーカイブズ)を保存・管理・提供する(つまりマネジメントする)目的を図中に書き込んでください。
【参考】『レコード・マネジメント・ハンドブック:記録管理・アーカイブズ管理のための』16ぺージ

齋藤歩「日本における『近現代建築資料』の特性把握:統計的仮説検定とアーカイブズ学を用いて」(2018年)

17 土曜日 3月 2018

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齋藤歩「日本における『近現代建築資料』の特性把握:統計的仮説検定とアーカイブズ学を用いて」をご恵送いただきました。

著者である齋藤さんの研究は、1970年代以降米国で急速に発展を遂げた建築レコードのアーカイブズ管理技法を、日本の資料に適用する場合、どのようなケースが有効か、を特定することを目指しています。そのために、日本の建築分野の資料の特性を把握する必要があるのですが、これまで行われてきた建築関連資料の所在調査(2013年度と2014年度に文化庁が日本建築学会に委託した事業)は、資料群の質的な分析にとどまり、量的な分析を欠いていると著者は述べています。この論文では、上の所在調査の結果を量的に分析して、「日本の『近現代建築資料』に関する多様性の内実を把握することを目的と」しています。これを行うことによって、著者は「日本における米国型技法の利用可能性が検討可能となる」と述べています。

同論文は『日本建築学会計画系論文集』第83巻第744号353-363、2018年2月)に収録されているものです。
DOI http://doi.org/10.3130/aija.83.353

本文はエンバーゴ期間1年です。
https://gakkai.jst.go.jp/gakkai/detail/?id=G00013

目次をご紹介します。

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キーワード「近現代建築資料」「統計的仮説検定」「アーカイブズ学」

【目次】

1.はじめに
1.1.本稿の目的と対象
1.2.本校における研究方法
1.3.先行研究の把握

2.調査の概要と「近現代建築資料概要リスト」の構成要素
2.1.調査の目的と本研究との関係
2.2.「資料概要リスト」の項目
2.3.小括:量的な分析の欠如

3.「資料概要リスト」のデータ整理
3.1.データ・クリーニング
3.2.「公文書館等」の新設と「4.所蔵種別」の再選択
3.3.小括:整理の結果

4.調査結果の集計
4.1.「4.所蔵先種別」の集計
4.2.「5.一般への公開状況」の集計
4.3.「8.クライテリア」の集計
4.4.小括:資料の仮説的特性

5.統計的手法を用いた分析
5.1.統計的仮説検定(1)「4.所蔵先種別」と「8.クライテリア」の検定
5.2.統計的仮説検定(2)「4.所蔵先種別」と「5.一般への公開状況」の検定
5.3.小括:検定から明らかになった資料特性

6.考察:特性の背景を探る
6.1.「4.所蔵先種別」の特性:「9.調査範囲」による調査の課題
6.2.「5.一般への公開状況」の特性:①②の背景
6.3.「8.クライテリア」の特性:③-⑦の背景
6.4.小括:特性のまとめ
6.4.1.資料の特性:「時の経過」を鑑みて
6.4.2.調査の特性と限界

7.おわりに:資料の特性と調査の課題

——————-

5.3.にまとめられている資料特性は次のようなものです。(359ページ)

①「3.博物館・資料館」「4.図書館」「5.文書館等」は、「一般公開率」が高い(50%を上回る)
②「1.設計事務所」「6.行政・公的機関」「7.企業・団体」「8.個人」は、「一般公開率」が低い
③「a.設計者」は、「1.設計事務所」に顕著な特性が見られる
④「e.学術」は、「2.研究教育機関」「6.行政・公的機関」に顕著な特性が見られる
⑤「f.地域性」は、「2.研究教育機関」「3.博物館・資料館」に顕著な特性が見られる
⑥「c.時代性」は、「2.研究教育機関」に顕著な特性が見られる
⑦「d.対象物」は、「1.設計事務所」「6.行政・公的機関」に顕著な特性が見られる

こういった資料特性の背景を、著者は6.考察で探っています。6.1.では調査の課題として、市町村レベルの調査率の低さや国立公文書館等の主要なアーカイブズ機関への調査結果が現れないなどの、調査の偏りが指摘されています。

6.2.では著者は「『6.行政・公的機関』の『一般公開』の割合が高いとはいえない」と指摘するほか、何を持って「公開」とするのかが明確でないという指摘もあります。

この論文の最もユニークな着眼点は、アーカイブズにおける「時の経過」の考え方(この言葉は公文書管理法第6条、第15条、第16条にも登場する)によって、建築資料の特性

(i)多様な公開方法
(ii)地域性と文化施設(博物館・図書館・公文書館)の連関
(iii)特殊な保存年限(建築主による維持管理からの価値転換)

が変化する点を明らかにしたことです(361ページ)。その際、時の経過に従って、「現用と異なる価値を主張するには広い視野を備えた価値判断が求められるが、ここにアーキビストが専門性を発揮できるチャンスが潜んでいる」としている点もまた、今後さらに考察を深めていただきたい点です。

最初にこの論文を読んだとき、本論文は、米国で開発された建築レコードのアーカイブズ管理技法の普遍性検証研究の一部であり、もっぱらアカデミックな論文として読むべきものだろう、と理解しました。しかし、統計的仮説検定を受けての考察の部分をよく読んでみると、建築資料所在調査の方法論への提言、建築資料の評価選別におけるアーキビストの役割の指摘など、日本における建築アーカイブズに関わる実務にも非常に示唆的な論考、という風に私の見方は変わったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神山復生病院 復生記念館

29 金曜日 9月 2017

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一般財団法人神山復生会 神山復生病院 復生記念館を訪問しました(2017年9月19日)。

場所は静岡県御殿場市。わたしはその日のお昼ちょっと前に同県湖西市にある豊田佐吉記念館を出発し東名高速を御殿場方面に向かい、途中昼食休憩をはさんで午後2時半ごろに到着、学芸員の森下裕子さんに館内を案内していただきました。

神山復生病院は1889年(明治22年)にパリ外国宣教会のジェルマン・レジェ・テストウィド神父によって現在の地に開設されたハンセン病療養施設です。現在記念館になっているのは1897年(明治30年)に司祭館として建設された建物。

いただいた「神山復生病院のあゆみ」(年表)によると、同病院は1901年に財団法人神山復生病院となり、パリ外国宣教会の司祭、岩下壮一神父、千葉大樹神父、クリスト・ロア宣教修道女会のシスター方が運営に携わり、2000年にハンセン病療養所から一般の病院に転換、2012年に一般財団法人神山復生会となり今日に至っています。

ハンセン病療養施設から一般の病院に転換した翌年(2001年)旧病棟を解体し、2002年に聖堂と新病棟を竣工・開院するとともに、2004年には旧司祭館を転用して復生記念館が開設されました。

この度訪問した記念館は、昨年(2016年)11月に創建時の姿に復元してリニューアルオープンした施設です。リニューアルオープン後の記念館については、ハンセン病制圧活動サイトが写真入りの詳しい紹介記事を掲載していますのでそちらをご覧ください。

創建時の姿に復元してのリニューアルオープンに当たっては、建築の特徴がよりよく示されるように、それ以前よりは展示品を少なくしたというお話でした。

復生記念館の運営に関しては、クリスト・ロア宣教修道女会のシスター秋本が、現在館長を務めておられます。学芸員の森下さんは2004年(平成16年)に資料データベース化の仕事のために神山復生会で働くことになり、以来、資料整理のみならず、展示、復元プロジェクト等を担当し、現在は記念館に関わる実務を一人で担当しておられるということです。記念館横に立つ記念館別館の一部が収蔵庫になっており、そこで資料を管理しています。(資料に関しては、復生記念館に直接お問い合わせください。電話0550-87-3509、朝9時から受付)。復生記念館の仕事では、見学案内や展示、資料整理、資料研究など狭義の学芸員の仕事のほか、病院関係者や現在も病院内で生活を続ける5名のハンセン病元患者の方々、シスター方といったさまざまな関係者とのコミュニケーションがとても重要であると強く感じました。

いただいた名刺の裏には神山復生会病院の理念が記されていました。

《理念》
神山復生病院は
キリストの愛に基づいて
病める人も健やかな人も
神によって創られた人間として
喜びも苦しみも共にしながら
一人ひとりの命を大切にし
希望をもって医療と福祉に献身します

 

復生記念館は、日本ではじめてハンセン病療養施設として開設された、神山復生病院を中心とするコミュニティの記録と記憶を未来に伝える場所です。キリストの愛に基づいた医療・福祉の歩みを、広く社会に伝える場として発展していってほしいと願います。

 

《関連ページ》

一般財団法人神山復生会 神山復生病院 復生記念館のページ
http://www.fukusei.jp/memorialhall/

ハンセン病制圧活動サイト 神山復生病院のあゆみ・復生記念館の展示を通してみる
http://leprosy.jp/people/plus07/

ハンセン病制圧活動サイト 神山復生病院・復生記念館
http://leprosy.jp/japan/sanatoriums/sanatorium06/

「近現代アーカイブズにおける秘密情報保護と公開促進の両立に向けた研究」ニューオーリンズでのインタビューまとめ

19 金曜日 5月 2017

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創価大学創価教育研究所講師坂口貴弘さんの「近現代アーカイブズにおける秘密情報保護と公開促進の両立に向けた研究」の2016年度の調査(2017年2月実施)に立教大学共生社会研究センター・アーキビストの平野泉さんとともに協力しました。その概要は2017年5月12日開催の第76回デジタルアーカイブサロン「アーカイブズにおける秘密保護と公開の問題について」でお話いたしました。私の担当は2月20~21日に訪問した米国ニューオーリンズ市内のカトリック系宗教アーカイブズ施設その他です。

JSPS 科研費 JP15K00467 https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15K00467/

デジタルアーカイブサロン当日の配布資料改訂版の掲載に続き、インタビュー内容のまとめを掲載します。

(PDF)「近現代アーカイブズにおける秘密情報保護と公開促進の両立に向けた研究」ニューオーリンズでのインタビューまとめ

このまとめの基になったメモは、調査が終了して帰国直後の2月27日に平野泉さんが作成されました。私の手元のメモと付き合わせてみましたが、よくぞここまで、というほどに聞き取り内容が細かく記載されています(調査全体を通じて通訳はなし)。その平野さん作成メモのニューオーリンズ調査分に、必要な情報や説明を加え、ここでは不必要な部分は削除し、整理し直したものが今回アップロードした資料です。本資料の文責は松崎にあります。

Interviews-in-New-Orleans

 

第76回デジタルアーカイブサロン「アーカイブズにおける秘密保護と公開の問題について:カトリック系宗教アーカイブズを中心に」(配布資料改訂版)

14 日曜日 5月 2017

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タグ

アクセス, アーカイブズ, カトリック, カトリック教会, 秘密情報, 公開, 宗教アーカイブズ, 教会アーカイブズ, 教会法

5月12日に開催された第76回デジタルアーカイブサロン「アーカイブズにおける秘密保護と公開の問題について」のうち、私が担当した部分「カトリック系宗教アーカイブズを中心に」に関する配布資料の改定版を作成しました。

配布資料「カトリック系宗教アーカイブズを中心に」改訂版
https://archiveskoubou.com/wp-content/uploads/2017/05/catholic-archives-institutions-in-new-orleans2.pdf

今回の発表は創価大学創価教育研究所坂口貴弘講師の科研費の助成を受けた研究「近現代アーカイブズにおける秘密情報保護と公開促進の両立に向けた研究」成果の一部です。

JSPS科研費 JP15K00467  https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15K00467/

立教大学共生社会研究センターアーキビストの平野泉さんとともに、坂口さんの米国のアーカイブズ機関に関する調査に協力しました。

当日の配布資料の一部訂正(年号と人名)、紹介された文献に2件追加を行いました。見やすさを考えてレイアウトも若干変更しました。

配布資料「カトリック系宗教アーカイブズを中心に」改訂版

第76回デジタルアーカイブサロンのフェイスブックページ
https://www.facebook.com/events/1944392125837385/

大仙市アーカイブズ開館記念行事(2017.5.3) 参加記

11 木曜日 5月 2017

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タグ

アーカイブズ, 秋田, 自治体, 大仙, 東北

5月3日(2017 年)、秋田県大仙市で開催された大仙市アーカイブズ開館記念行事に参加いたしました。当日記念講演に登壇された全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)の定兼学会長から参加記執筆の依頼を受けました。同協議会サイトに本日掲載されたとの連絡をいただきました。ご笑覧いただければ幸いです。

クリックしてb20170510.pdf.pdfにアクセス

全史料協サイト・トップページはこちら
http://www.jsai.jp/

大仙市アーカイブズのページ
http://www.city.daisen.akita.jp/docs/2014040200045/

 

当日撮影した画像をいくつか掲載いたします。

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