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~ Archives Studio 記録を活かす

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月別アーカイブ: 2月 2014

レイノルド・M・ウィク「企業記録における冒険:消えゆくアーカイブズ」(1951)

26 水曜日 2月 2014

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This work is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.

Title: Adventures in Business Records: The Vanishing Archives
Category: Research Article
Journal: American Archivist
Issue: Volume 14, Number 3 / July 1951
Author: Reynold M. Wik
http://archivists.metapress.com/content/t8h17078p0782472/fulltext.pdf

著者はミネソタ州セントポールのべテル・カレッジ所属。研究テーマは機械化、その中でも特に米国農業における電力利用の重要性について、です。著者によると米国のビジネスにおける顕著な側面の一つが機械化にあるということです。

著者は動力機械に関する研究のために機械メーカーの記録資料を必要としたのですが、こういったものは一般の人々の予想とは裏腹に各地の歴史協会や著名な保存機関にはほとんど所蔵されていません。著者の調査によると、

(1) 1850年~1920年の間に約75の企業が農作業のために蒸気エンジンを製造していましたが、地域・州・国レベルのいずれの保存機関にもめぼしい記録は存在しませんでした。

(2) 過去半世紀の間少なくとも125の企業が農園用トラクターを製造していましたが、公的資金を受けた保存機関にはこれらの会社の記録は一切存在しません。

(3) 過去55年間、自動車もしくはトラックを製造していた企業は約1200社存在すると推定されますが、どのアーカイブズ保存機関にも、ある程度まとまった形ではこれらの会社の記録はまったく存在しません。かろうじて自動車会社幹部の個人文書が若干図書館に所蔵されているくらいです。

このような状況の原因は、歴史家も記録資料保存機関の担当者も、企業記録の価値を認識していないことによるものです。たとえその価値を認めたとしても、限られた予算、不十分な保管スペース、担当者をきちんと配置できない、企業人の無理解、といったよく知られた理由から、保存・利用には障害が立ちはだかります。

このように学術研究に利用できる記録資料が公の機関では見つけることができないため、研究者自ら記録の発掘に取り組まねばならない状況です。著者の経験では、農業用機械製造会社の記録が残っている場合は残すための計画によってではなく、もっぱら偶然に今日まで残ったということです。スペース確保のために屋根裏に放置される例などがそれです。1880年以前は事業が小規模で、家族経営的なものであったため、記録物も個人・家族のアーカイブズとして伝えられてきたものが多いという状況です。

19世紀から20世紀にかけて、米国では企業が大規模化したため、各社はファイリング方式を採用するようになりました。この方法は記録を定期的に廃棄するシステムのため、特定の記録(商標、法務、財務など)は永久保存とされますが、それ以外の記録はどんどん廃棄されていってしまいます。そのため社史や社内報などの社内刊行物のため、あるいは裁判における証拠として、過去の記録を集めようとしても集めることができない、という状況に至っています。

ほとんどのメーカーではアーキビストを雇用せずに、歴史にはほとんど関心のない社内の人々が記録を扱っているため、記録の保存利用は捗々しくありません。社内の安全上の理由(大量の非現用の紙の山は火災の原因となる)や、劣悪な保存環境(水漏れスペースに放置)、合併といったさまざまな理由から企業の資料はどんどん廃棄され、消滅しつつあります。

このような経験から著者は、研究のために様々な企業関係者とコンタクトをとる機会が多い研究者自身が、ビジネスマンに対して企業の記録保存の重要性を訴え、必要であるならば寄贈や寄託先になるような資料保存機関を仲介したり、保存機関が受入れることになった際には記録の評価選別にあたって専門知識を活かした助言を行うなど、積極的に記録保存に関わることの必要性・重要性を主張しています。

“In this the research scholar can aid materially by broadening his attitude toward his work. It is easy for him to become too much of an individualist. Traveling from one company to another, he often acts like a lone hunter searching out his quarry but never willing to share his game with others on the same hunt. This self-centered attitude should be displaced by one acknowledging the fact that research is a highly specialized job in a profession which involves definite responsibilities to other students, to education institutions, and to the general public.” (p. 199)

“These suggestions, prompted by my experience in research, are presented in the hope that scholars can be alerted to full participation in cooperative programs pointing toward the solution of our records problem.” (p. 200)

このような考えの研究者(記録資料の利用者)とともに歩んでいけたらよいですね。

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スイス・バーゼルの街角で

トーマス・D・クラーク「小規模企業のアーカイブズ」(1949)

26 水曜日 2月 2014

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Title: The Archives of Small Business
Category: Research Article
Journal: American Archivist
Issue: Volume 12, Number 1 / January 1949
Author: Thomas D. Clark

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著者はケンタッキー大学歴史学部所属。この論文は1947年12月27日オハイオ州クリーブランドでアメリカ歴史協会(AHA)とSAAが共催した集会での報告。

中小企業(原文ではsmall businessですが、日本語としては「中小企業」が一般的なのでここではこちらを用います)は、人々の日常生活と密接にかかわるもので歴史(アメリカ史)にとって重要であるにも関わらず、これまでそれほど研究されてきていない。中小企業の記録自体の保存も行われてこなかった。中小企業の記録、そしてその歴史とは、経済的な領域ばかりでなく、社会的、政治的領域の研究に不可欠である。さらに中小企業の研究は、産業全体、あるいは大企業研究にも寄与する。

中小企業の記録によって究明が進むであろう分野・テーマ・産業として、農業不安、物価、信用取引、賃金、卸売業者、アヘン・アヘンチンキ・モルヒネといった問題のある医薬品、食品に関わる習慣、木材伐採・製材業、繊維業、包装業、鉱山業・・・を上げ、それらの分野における記録の収集保存利用が憂うべき状況であることを指摘します。

個別の産業や研究テーマに関わる記録保存の低調さに加え、中小企業が大企業に吸収合併されることも記録保存にはマイナスに働いています。

このように、著者は歴史学者の立場から、歴史研究のために、ライブラリアンや企業人と協力しつつ中小企業の記録資料保存に積極的に取り組まねばならないこと、その必要性・緊急性をこの論文で訴えています。

 

「ねんりん」(大日本印刷株式会社CDC事業部年史センター、1972~1988)に見る海外の会社史、海外向け日本企業の社史

26 水曜日 2月 2014

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社史, 会社史

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大日本印刷株式会社CDC事業部年史センターが1972年(第1号)から1988年(第30号)まで発行していた小冊子に「ねんりん」があります。
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000030636-00

創刊号(1972年4月発行)第1ページの同社取締役加藤美方氏による「発刊にあたって」には、「この小紙が、みなさま方の年史編集に多少とも参考になり、座右に置かれまして、ご活用いただければ、望外の幸せ」とあります。

「ねんりん」第30号の「『ねんりん』30号までの年輪:総目次を兼ねて」と「総索引」から海外における会社史と日本の社史の相違に関する記事を拾ってみました。

【1】「外国会社の社史」 小林薫(産業能率短期大学教授、経営評論家) 第6号(1973年7月)

日本の社史との違いとして
①海外では10年や20年のスパンでは会社史をまとめない。50年ぐらいのスパンで作る。
②筆者は海外の場合、第三者、あるいは第二・五者ぐらいの(会社との)距離感のある外部のプロに依頼する場合が多い。
③人間史に主眼を置こうとすることが多い。
の三つを上げています。

日本の社史は、「あまりにも中立的、あまりにも超党派(バイバーティザン)、そしてあまりにも、事実列挙に終始したのではなかったろうか」と指摘しています。海外の会社史は押し並べて明確な史観を打ち出しているということのようです。その理由に次の4つの要因を上げています。(原文のママ)

(1) 社史を単にセレモニーやお義理として作成する
(2) 濃厚なPR意識の欠如
(3) 社史担当部門を人事吹き溜まり的なものとして処理する
(4) 日本の企業経営そのものの総もたれ性と、あいまい性の反映

【2】「『海外向け社史』への期待」 中川敬一郎(東京大学名誉教授、経営史学会会長) 第25号(1985年11月)

著者はかねてより日本企業の真の姿を海外の人々に理解してもらうには社史を読ませるのがよいと考えてきました。しかし、海外の人々に社史を読んでもらうのも容易なことではない、なぜならば、海外では著者責任の明白でない刊行物(発行者が企業自身である社史もこれに含まれる)に対する信頼性が低いことが一つ。また、日本の社史がバランスのとれた記述を重視しすぎ、会社の発展のきっかけとなった重要な意思決定の過程とその意思決定にもとづく経営努力にあまり重きを置いていないことにあるとみているようです。

著者の親しい海運経済学者の提言が引用されています。

「有能な海運経済学者を育てるためには、若い研究者にまず海運会社の社史を執筆させるべきである」

年史作成の目的はいったい何であるのか考えざるをえません。

【3】「海外の社史」  第27号(1987年10月)

これは無署名の記事です。【1】の小林薫氏の文章と、米川伸一「社史の国際比較」(日本経営史研究所『経営と歴史』1983年)の二つの文献を参考にした記事です。

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東京・亀戸天神

小冊子「会社史への提言」(日本経営史研究所発行、1979?)

26 水曜日 2月 2014

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社史, 日本経営史研究所, 会社史

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財団法人日本経営史研究所発行の小冊子「会社史への提言」について記録しておきます。

奥付けがない、16ページほどの小冊子です。発行年月日も不明ですが、「はじめに」の文末に「昭和54年10月」とあります。おそらく1979年発行と推定されます。

「はじめに」によると「この小冊子では、分野の異なる七人の専門家に会社史にたいする期待や意見を率直に述べていただきました。会社史の最も熱心な読者でもあるこれらの方々の提言を、当研究所も真摯に受け止めて、今後の活動に生かしてゆきたいと考えております」という発行の趣旨が述べられています。

目次は以下の通り。数字はページ番号です。

「会社史への提言」目次

はじめに 1 
「社史」再々論 中川敬一郎 2
企業史への期待 土屋守章 4
三つの顔をもつ会社史 羽間乙彦 6
彼我の企業史に想う 米川伸一 8
執筆者としての経験から 柴垣和夫 10
社史雑感 森川英正 12
『日本窒素史への証言』が提起するもの 大野力 14
日本経営史研究所事業案内 16

ユネスコ世界遺産ベルラ(Verla)製紙工場跡

ユネスコ世界遺産フィンランド・ベルラ(Verla)製紙工場跡

国立公文書館によるICA策定「アーカイブズ所蔵機関に関する記述標準」記述実験

26 水曜日 2月 2014

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記述標準, ICA, ISDIAH, 国立公文書館

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ICAが策定した「アーカイブズ所蔵機関に関する記述標準」に基づいた機関情報の記述実験を行った結果が国立公文書館『北の丸』第46号に掲載されています。

中島康比古・水野京子「国際標準に基づくアーカイブズ所蔵機関情報記述の試み:国立公文書館を事例として」
http://www.archives.go.jp/about/publication/kita/pdf/kita46_p056.pdf

記録資料へのアクセス向上のためには目録情報の記述の標準化のほかに、記録資料を所蔵する機関に関する情報の記述も標準に則ったものであることが望まれます。

上記の記述実験を参考に、日本各地のアーカイブズ、とくに公文書館が、自館の機関情報を標準的なフォーマットで記述する試みに挑戦してほしいと感じました。

(参考)

『北の丸』第46号
http://www.archives.go.jp/about/publication/kita/046.html

「アーカイブズ所蔵機関に関する記述標準」(英語版)
International Standard for Describing Institutions with Archival Holdings (ISDIAH)
http://www.ica.org/download.php?id=1657

ISDIAH 日本語版「アーカイブズ所蔵機関に関する記述標準」
http://www.archives.go.jp/about/report/pdf/isdiah_jpn.pdf

オリバー・W・ホームズ「企業文書の評価と保存」(1938)

25 火曜日 2月 2014

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AA, American Archivist, SAA

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Title: The Evaluation and Preservation of Business Archives
Category: Research Article
Journal: American Archivist
Issue: Volume 1, Number 4 / October 1938
Author: Oliver W. Holmes

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著者のオリバー・W・ホームズはミネソタ州出身。1922年Carleton College卒業、1956年コロンビア大学にて博士号取得。1935年の設立時にNARAに採用される。SAAの設立メンバー。1958年SAAフェロー、1958-59年SAA会長。1972年NARA退職。

この論文では次のようなことを述べています。

歴史家は記録の評価選別に反対するが、記録が非現用となり次第直ちに後世に残すべきものを選別するのは、経済の観点からも記録の原秩序保存の観点からも必要なことである。放置されることによって散逸したり、もともとの秩序が失われた場合、これを復元するには多くのコストがかかる。

人々の暮らしにとってワシントンとウォールストリートは二つの権力の中心地である。民主主義国アメリカにおいては政治に関する記録は広く国民にもたらされるべきであるという考えから印刷されて普及が図られる。しかしビジネスは異なる。ビジネスにおいては記録は関係者のみにとどめ置かれるのがふつうである。その記録も刊行物ではなく、手稿記録であろう。

しかし投資家、従業員、消費者にとって、さまざまな意思決定を行うにあたって企業の記録は欠かせない。

大企業における記録のリテンションと廃棄スケジュールについて特別注意を払う必要がある。いったんスケジュールが出来上がると機械的に記録の廃棄が行われる。州際通商委員会(Interstate Commerce Commission)では蒸気鉄道、電気鉄道、運送会社、水運会社、パイプライン会社、寝台列車会社、電報・電話・電信会社のために古い記録の廃棄規則を公にした。全国電灯協会は1923年に電力会社のために推奨される廃棄コードを発表、全国火災保護協会は「記録の保護」Protection of Records (1935) という貴重なパンフレットを発行している。

不要な記録は企業にとっても歴史家にとっても大体は同じであるが、必ずしも見解が一致しない場合もある。例えば、企業は歴史家よりも通信関係のファイルや経営上の覚書を廃棄するのに躊躇しないけれども、会計記録に関しては非常によく保存している。後者は歴史家にとっては必ずしも必要とは思えない場合もある。 企業に記録保存の大切さを説くために、経営史協会は企業向けに1937年10月、The Preservation of Business Recordsというパンフレットを発行した。

企業は成功するとばかりは限らない。失敗した企業の記録の保存の問題もある。また中小企業の記録の保存は大企業のようにはいかない。こういった企業の記録の整理を経済学や経営学専攻の大学院生にまかせるというアイデアも、ハーバード大学の経営史協会コレクションづくりのひとつの要因である。地域や産業といった単位で共同保存を行ったり、政府への納税者に関する記録という観点から連邦政府の保存機関に記録を委ねるという考え方もあろう。

いずれの場合も、評価選別を賢く行う(intelligent selection)ことが重要である。

いっぽう、SAAはイギリスのCPBA(Council for the Preservation of Business Archives, BACの旧名称、1934年設立)のような役割を果たすことを考えてもよいだろう。CPBAでは記録保存の相談にのったり、保存に適切な外部機関を紹介するといった活動を行っている。CPBAの報告には「企業記録に関する情報は待っていても得られない、カウンシル側が熱心に勤勉に情報収集にあたる必要がある。企業の記録の所有者からの自発的な申し出というのはめったにない」とあり、まさにその通りである。

この論文では企業記録の評価基準に具体的に踏み込むというよりは、保存の意義と企業記録をとりまく状況、保存に向けた考え方が述べられています。が、保存にあたって評価選別が絶対に必要である、という点は最初から最後まで一貫しています。

参考になるデータとして次のようなものが含まれていました。

  • 1870年以降業務の単位が拡大する。
  • 1890年以前は企業記録はすべて製本されて保存され、索引が別に作成されてこれも製本された。
  • 1890年以降、カード索引が用いられるようになった。
  • 1900年以降、記録自体がカード化されるようになった。
  • 1897年ころからカーボンコピーと縦型キャビネットが利用されるようになった。その数年後ルーズリーフバインダーが登場した。

大企業におけるファイリング担当者を file specialists who are the practical archivists of the business world と記述している部分があり、ファイリング担当者が実質的にはアーキビストの役割を果たしているという認識を確認することができます。

[参考]
Title: Oliver W. Holmes
Category: In Memoriam
Journal: American Archivist
Issue: Volume 45, Number 2 / Spring 1982
Author: Walter Rundell, Jr.

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