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神戸大学大学院人文学研究科地域連携センター編『「地域歴史遺産」の可能性』(岩田書院、2013年)の続きです。
同書所収の「地域文書館論」(辻川敦)もまた、企業アーカイブズ・アーキビストを考える上で参考になる論考でした。
ポイントは2つです。
(1)アーカイブズが社会的認知を受けるために展開されてきた「展示」や「講座」主体の文書館啓蒙普及運動に対して、「まず論じなければならないのは、既存の文書館事業が本当の意味で社会が必要とする公的サービスを十分提供できているのかどうか、必要とされるサービスを提供する努力や、そのために施設やスタッフには何が求められるのかといったことが、本当の意味で厳しく問われ実践されてきたのかどうか、という点ではないだろうか」(同書、386ページ)
(2)辻川氏が館長を務める尼崎市立地域研究史料館はレファレンス・サービスを事業の中心に位置付けています。このサービスを担当する人に求められるのが「文書館学一般への知識・理解とともに、その地域固有の歴史や地域課題、ならびに史料への幅広い知識と理解にもとづく調査・整理・公開能力である」(同書、397ページ)と言います。同じ個所で「市民サービスへの献身的な意識・意欲」といった点の必要性にもふれられています。
企業アーカイブズで求められる人材に関して、現場の方々のお話をうかがうと単に記録資料の専門家であることより、むしろ会社の歴史や社内事情、現在の方針や戦略といったものをよく理解していることが大切である、とうかがうことが多々あります。地域の文書館が必要とする人材と、企業の必要とする人材には、あるレベルでは共通するものがあると考えられます。