記録管理学会『レコード・マネジメント』No.70 目次(2016年3月)

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記録管理学会の会誌『レコード・マネジメント』70号が刊行されました。
目次をご紹介します。

発行 2016年3月

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記録管理学会『レコード・マネジメント』 No.70

[目次]

報告
■記録管理学会2013-2014年度理事会メンバーによるブレーンストーミング成果報告書 小川 千代子

論文
■イギリスと日本におけるビジネス・アーカイブズのための戦略に関する研究:全国ビジネス・アーカイブズ登録簿構築を目指して 金 甫榮

■公文書と地域資料の保存・利活用:香川県旧本島村製錬所設置計画の「意思決定過程」に着目して 嶋田 典人

研究プロジェクト
■研究開発における文書・記録の管理にかかわる調査と提言:研究者が誠実な科学者であるために 山﨑 久道ほか

共同提言書
■「公文書等の管理に関する法律」施行後5年見直しに関する共同提言書

書評
■岡本 真・柳 与志夫 責任編集『デジタル・アーカイブとは何か:理論と実践』 松崎 裕子

■日本図書館情報学会研究委員会編『情報の評価とコレクション形成』 山﨑 久道

■柳 与志夫『文化情報資源と図書館経営:新たな政策論をめざして』 下田 尊久

文献紹介
■ジャネット・バスティアンほか『図書館の中のアーカイブズ:図書館員とアーキビストが協働するために知っておくべきこと』 古賀 崇

 

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記録管理学会
http://www.rmsj.jp/

 

記録管理学会『レコード・マネジメント』誌 NDL書誌情報
https://ndlopac.ndl.go.jp/F/?func=find-c&amp=&amp=&amp=&amp=&amp=&amp=&ccl_term=001%20%3D%20000000069597&adjacent=N&x=0&y=0&con_lng=jpn&pds_handle=&pds_handle=

 

 

2016-03-21 15.51.33

 

 

 

ARMA東京支部会誌最新号(第30号、2016年2月)

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ARMA International の地域支部のひとつARMA東京支部の会誌最新号の目次です。

[目次]

■RIM News

◎海外News

オーストラリアは行政サービスで紙文書の使用を禁止
青木延一訳(ARMA International 東京支部)

調査レポートが予測する2016年のサイバー脅威トレンド
青木延一訳

米国連邦民事訴訟規則(FRCP)修正案が前進
青木延一訳

NISTのプライバシー・リスク・マネジメント(ドラフト版)
青木延一訳

調査によると、ヒューマンエラーがデータ遺漏の最大の原因
青木延一訳

国境を超えたディスカバリーのチャレンジ
青木延一訳

■海外論文

一貫性のあるリーガルホールド・プロセス構築のステップ
Richard Vestuto, J.D., and Bill Piwonka 著/青木延一訳

ビックデータを使いこなすためのRIMの役割
Kevin L. Dale, CRM 著/青木延一訳

■国内論文

日本の地方公共団体における公文書管理条例の制定要因
株式会社データ・キーピング・サービス常務執行役員、渡邊健著

■RIM広場

CUNA Mutual Group訪問レポート:コバルト賞受賞企業の文書情報管理
公益社団法人日本文書情報マネジメント協会 特別研究員/ARMA International 東京支部
木村道弘

『「公文書等の管理に関する法律」施行後5年見直しに関する共同提言書』の全文掲載について
2016年2月7日
ARMA International 東京支部 会長 西川康男

■トピックス:ARMA International 東京支部 Webニュース2016年1月号から

<Global POlicy Brief>
・eディスカバリー関連の製品とサービスのグローバル市場が100億ドル超え
・セーフハーバー協定の無効化にもかかわらず米国クラウドプロバイダーは利益を出している

<Washington Policy Brief>
・議会はサイバーセキュリティ情報共有法を施行
・議会は国務省が速やかに連邦記録法に準拠することを要求

<NewsWire>
・フォルクスワーゲン社は文書の提出をドイツのプライバシー法を根拠に拒否
・調査レポート:従業員は退職時に会社の機密データを持ち出す
・EUは16歳未満の子供のソーシャルメディア利用の禁止を含む新データ保護規則を承認した

 

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この号は、渡邊氏の「日本の地方公共団体における公文書管理条例の制定要因」をはじめ、ARMA International 東京支部・記録管理学会・日本アーカイブズ学会・学習院大学人文科学研究所共同研究プロジェクト「情報基盤としてのアーカイブズ制度を構築する戦略的研究」が共同で作成して、安倍晋三内閣総理大臣・有村治子内閣府特命担当大臣・宇賀克也内閣府公文書管理委員会委員長・大島理森衆議院議長・山崎正昭参議院議長・寺田逸郎最高裁判所長官・谷垣禎一「世界に誇る国民本位の新たな国立公文書館の建設を実現する議員連盟」代表・政党党首宛に共同提出した『「公文書等の管理に関する法律」施行後5年見直しに関する共同提言書』全文など、公文書管理に関わる重要な文献が掲載されています。

一方、企業における文書情報管理、記録管理の観点からは木村道弘氏による「CUNA Mutual Group訪問レポート:コバルト賞受賞企業の文書情報管理」がたいへん参考になりました。コバルト賞とはARMAが記録管理・情報ガバナンスで最も優れたと認める企業に送る賞で、CUNA Mutual Group(金融・保険サービス提供、従業員4500名規模)は同賞を2013年に受賞しています。7年前に開始した文書情報管理改革の目的は「法的に義務付けられた記録には何時でもアクセス出来るようにし、必要とされないもの(ジャンク)は確実に廃棄し(背景には、Eディスカバリ対策)、早めに捨てることにより、リスク低減、ストレージ容量削減をはかること」(39ページ)にあるとのことです。業務分類は250→150に簡素化し、セントラルストレージとしてはDocumentum、Sharepoint、シェアドライブ(ファイルサーバ)を持ちます。「法的に保存が求められている文書情報はDocumentumで10年保存、その必要のない文書情報はSharepointまたはシェアドライブに保存」(同)、上司の承認のもとに廃棄するということです。改革プログラムを確立するのに5年を要し、これへの投資額は総額400万ドル、実現された便益が210万ドル(情報全体の20%相当の159テラバイトを処分)、今後10年で投資を回収できる見込みだそうです。

法的に保存が求められているものを10年保存した後、評価選別してアーカイブズとして管理するものがないのかには特段の言及がなく、非常にもどかしくも感じました。この種の調査を行う場合には、アーカイブズへの移管の有無なども調査事項としていただけたら、と希望します。

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以前にも書きましたが、

ARMA東京支部会誌最新号(第25号、2014年2月)


HPではRecords Information Journal (略称 「RIMジャーナル」)とあります。
http://www.arma-tokyo.org/rimjournal.htm

NDLの書誌情報では下記の通りです。
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008915828-00

Records & information management journal : the information management professionals

別タイトル:レコード&インフォメーションマネジメントジャーナル
別タイトル:RIM journal
別タイトル:Records and information management journal
別タイトル:RIMジャーナル

2010-08-14 01.12.36

 

JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)ECM委員会主催「ECMサミット2016(冬)~ECMのミライ~知識・協働・ディスカバリーの先へ」(2016年2月19日)に参加

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JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)ECM委員会主催「ECMサミット2016(冬)~ECMのミライ~知識・協働・ディスカバリーの先へ」(第21回ECM研究会)に行ってきました。ECMサミット・研究会に参加するのは今回が初めてです。

ECM(Enterprise Content Management)とは、JIIMAが運営しているECMポータルサイトによれば「組織の部門を越えた情報共有と運用・管理を実現する統合的な文書情報マネジメント」を意味します。

欧米のレコード・マネジメントやビジネス・アーカイブズ関連文献から、ECMはレコード・マネジメントとも密接に関係があるらしいことは分かっていたのですが、日本ではどのような取り組みが進んでいるのか見当がつかない状況でした。JIIMA ECM委員会によるこのイベントは、ECM関連のブロダクトやサービスを提供する(その多くはライバル関係にある)企業が多数参加するというもので、日本におけるECMの動向を知るにはよい機会と思い、参加を申し込みました。

最初に、ナビゲーション役であるJIIMA ECM委員会委員長の石井明紀氏から、キーノート的なお話がありました。石井氏によると、ECM導入の必要性として「新しい価値を創造するため」「変化に対応するため」「事務処理能力の向上のため」という言い方がよくなされるのだけれども、英米企業などに比べて日本企業でECM導入が進まないことに関しては、日本の特殊事情がある、とのことでした。日本での傾向としては、「プロジェクト単位のIT投資の決定」「SIに丸投げ」「レコード・マネージャーが不在である」「紙信仰・捨てられない」という気質が指摘されました。これらをひと言で言い表すと「サイロ作りをやめられない」(写真参照)とのこと。ECMは組織の全体最適を目指すためのツールであるわけで、サイロ作りに励んで部分最適で終わってしまう日本の組織にはなかなか導入が難しいということでした。いったい日本のどこがどう英米などと違っているのか、という観点から、石井氏は梅棹忠夫『日本語と事務革命』 とエリン・メイヤー『異文化理解力』 の2つの文献をあげて、すでにワードプロセッサー導入以前からホワイトカラーの生産性の低さが指摘されてきたこと(『日本語と事務革命』)、日本の組織文化が階層主義と合意志向を特徴とするものであり(『異文化理解力』)、日本の組織のこういった特質が、全体最適志向をある意味で妨げてきた→ECMがスムーズに導入されずにきた、という説明でした。

 

2016-02-19 14.01.01

こういった点を踏まえて、今回の研究会のテーマを「知識・協働・ディスカバリー」にしたということです。“いままでは紙の世界のイメージにとらわれて(引きずられて)、ある種完成した文書のみを管理するという心構えでよかったけれど、すでに実務の世界は電子的な文書・記録作成(講演で使われていた「発生」という言葉には違和感を感じました)がデフォルトとなっている”、“文書の完成以前の知識や情報、アイデアといったものをどのような仕組みによって連携させ、見つけるのか”・・・、サイロを壊して全体を結びつける考え方、ソリューションについて、4つの講演が行われました。4人に共通していた話題は米国のeディスカバリー制度です。これにきちんと備えておかないと莫大なペナルティを課される可能性が高く、備えとして大切なことは各種規定・ポリシー類の整備である、という点が最も重要であると感じました。

本日の講演のうち、公開可能なものは、今後JIIMAのウェブサイトに講演資料が掲載される予定とのことです。楽しみに待ちたいと思います。

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《プログラム》

「ナビゲーション」 JIIMA ECM委員長 石井明紀氏

「ECMが向かう場所 協創の時代の情報利用基盤へ」 株式会社富士通総研 小林潔氏

「クラウドの波 ECM領域にも本格上陸!」 日本アイ・ビー・エム株式会社 三ツ谷直晃氏

「従来型の管理と共有をいくら並べても企業は何処へも行けない」 オープンテキスト株式会社 大沢明広氏

「ECMの進化:完成文書管理から業務アプリケーションプラットフォームへ」 Hyland Software, inc. 新井拓哉氏

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なお、ナビゲーターの石井氏には九州大学附属図書館の林豊氏のご紹介で、以前一度お目にかかったことがあります。その時、石井氏より米国でのECM関連の会合にも参加した経験についてうかがいました。米国の場合、ECM関係の会合への参加者のかなりの部分がレコード・マネージャーであるということでした。一方、日本の企業・団体にはレコード・マネージャーもレコード・マネジメント(RM)もほとんど存在していない点に関して、「そこには日本の組織文化、グループとしての仕事のやり方、働く人々の気質(心性)といった要因があります。そこを見ずに“あるべき仕事のやり方は斯く斯く然々だから日本でのやり方もこうこうすべき”というアプローチではRMが受け入れられることもないし、根づかないのでは」という趣旨のお話をうかがいました。多くの組織は生産性を向上させたいと考えているはずなのですが、日本の場合、当人にはほとんど意識もされていないようなメンタリティによって、業務の改善をもたらすツールやシステムの導入が阻まれている、といえます。このようなお話を通じて、日本での仕事のやり方に関する石井氏の観察と、そこから引き出された洞察に、たいへん感銘を受けたのを覚えています。アーカイブズ学、記録管理学の研究者の立場からすると、「組織はレコード・マネジメント、アーカイブズの専門家を配置すべきだ」ということになるのですが、それがなぜ進まないかをよく考える必要があり、石井氏の観察は、その点で非常に示唆に富むものでした。

 

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ARMA東京支部第110回定例会(2016年2月4日)に参加して

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ARMA International 東京支部第110回定例会に参加しました。講師は長谷川俊明法律事務所代表の弁護士・長谷川俊明先生、演題は「内部統制と記録・文書管理」でした。昨年2015年はコーポレート・ガバナンス元年などともよばれました。企業内外でガバナンスの確立が強く意識されつつあります。

講演のレジュメには、1.コーポレートガバナンスと内部統制の関係、2.内部統制は、たんに静的体制をつくることではない。動的PDCAサイクルを回しつづけることに重点をおくべき、3.記録化・文書化を要求するグローバルルールづくりの進展、4.マイナンバー制度の導入で改めて問われる情報管理内部統制、とありこの順でお話が進みました。

講演では現在内部統制は総論の議論は終わり、各論が検討されている段階ということが強調されました。各論として上げられた事項のひとつが不祥事防止です。内部統制とは体制であって、不祥事を防ぐようなコントロールの効いた体制を作るためにはPDCAサイクルを回していくことだ、ということでした。お話はこの他にも多岐にわたりました。

また、配付された参考資料の「国際商事法務Q&A」(『国際商事法務』Vol.43, No.1, 2015. 質問は「OECDが2014年9月16日に公表した国際課税の新ルールは、日本企業の国際契約実務にどのような影響を及ぼすでしょうか。」)と『海外子会社の契約書管理』抜粋(いずれも執筆は長谷川弁護士)が、国際取引に関わる企業のグローバルな法的リスクを知る上で有用です。海外でビジネスを行うにあたってこれまで行われてきた慣行(ファシリテーション・ペイメントなど)に対する第三国(英米など)の規制が強化されつつあり、場合によっては日本人社員が日本法、現地法、第三国法の下で処罰される可能性もあるということです(『海外子会社の契約書管理』18ページ)。このような法的リスクへの対応が「文書化」なのです。レコード・マネジメントが現在いっそう必要とされていることを実感します。

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三宅茜巳「デジタルアーカイブ教育カリキュラムの見直しに関する考察:企業アーカイブの観点の導入」(2014年)本文PDF

先日ご紹介した岐阜女子大学の三宅茜巳先生の論文「デジタルアーカイブ教育カリキュラムの見直しに関する考察:企業アーカイブの観点の導入」(『デジタルアーカイブ研究誌』2014, Vol.2, No.1, p.17-24)PDFファイルを、本ブログサイトでの公開のため、三宅先生ご本人からご提供いただきました。ありがとうございました。

本文PDF

みなさまのご参考にしていただけると幸いです。
Bairin_Park_02

https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3ABairin_Park_02.JPG
By Hide-sp (Hide-sp’s file) [GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html), CC-BY-SA-3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/) or CC BY-SA 2.5 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.5)], via Wikimedia Commons

 

 

 

 

三宅茜巳「デジタルアーカイブ教育カリキュラムの見直しに関する考察:企業アーカイブの観点の導入」(2014年)

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岐阜女子大学三宅茜巳先生(企業史料協議会会員)から「デジタルアーカイブ教育カリキュラムの見直しに関する考察:企業アーカイブの観点の導入」(『デジタルアーカイブ研究誌』2014, Vol.2, No.1, p.17-24)の抜き刷りをご恵送いただきました。

英文タイトル:Reconsideration of a Digital Archive Education Curriculum

国立国会図書館の書誌情報によれば、収録誌『デジタルアーカイブ研究誌』の団体著者標目が日本教育情報学会、出版者がデジタルアーカイブ研究会事務局です。

NDLサーチ
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024612841-00

本論文によると、岐阜女子大学では1994年に発表されたデジタルアーカイブ構想に呼応し、デジタルアーキビスト育成教育を開始し、以後常にカリキュラムの見直しを行ってきたといいます。近年の企業アーカイブズへの関心の高まりを受けて、本稿は、「従来のカリキュラムに欠けていた企業アーカイブの観点を導入しカリキュラムを見直すことの必要性について考察」(17ページ)しています。

【目次】

1. はじめに
2. 経緯
3. デジタルアーカイブ教育カリキュラム カリキュラム構成
4. 文化の理解
5. 企業文化
6. 企業アーカイブ
企業におけるアーカイブの価値
何をどのようにアーカイブするか
7. まとめと課題

以下では簡単に内容をご紹介いたします。

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【概要】

論文によると、岐阜女子大学では2000年4月に文化情報研究センターを設置し、デジタルアーカイブの開発と研究に着手したという。以後、2001年に文学部内に文化情報メディア学科を設置、2004年に「デジタルアーキビストの養成─文化情報の創造、保護・管理、流通利用を支援する─」が文部科学省の現代的教育ニーズ取組支援プログラムに採択され、デジタルアーキビスト養成教育のカリキュラムの開発と教育実践に取り組んできた。(2. 経緯)

同大学におけるデジタルアーカイブ教育プログラムは次の3つの分野からなる。すなわち、第1分野「文化の理解」、第2分野「情報の記録と利用」、第3分野「法と倫理」である。この分野に対応し、基礎科目とコア・カリキュラムとして以下の11科目を設定した。「デジタルアーキビスト概論」「文化情報処理」「マルチメディア」「デジタルアーカイブ」「メディアと著作権」「文化情報管理と流通」「文化情報システム」「文化情報メディア」「マルチメディア演習」「情報記録検索演習」「メタデータ情報処理演習」。(3. デジタルアーカイブ教育カリキュラム カリキュラム構成)

次に著者は第1分野「文化の理解」が想定している「各種文化」について検討している。それは「文学、言語、異文化理解、文化財、文化遺産、伝統文化、教育文化、博物館、図書館、文書館、学校教育といった言葉で表現される文化であり、そこに企業文化は含まれていなかった」(19ページ)と振り返っている。このような認識のあり方は、ひとり著者のみにとどまるわけではなく、実は文化庁サイト「我が国の文化政策」(平成26年度)目次を見てもほぼ同様であると本稿は指摘する。目次の細目で唯一「企業」が現れるのは、Ⅰ「文化行政の基盤」の9「企業等による芸術文化活動への支援」、すなわち企業メセナへの言及のみであるという。(4. 文化の理解)

ここから著者は、企業史料協議会創立30周年記念講演として行われた株式会社資生堂名誉会長福原義春氏による「経営者のバイブルとしての企業史料と社史」講演録(同協議会によって冊子化された)を参考に「企業文化」を考察している。著者は福原氏の講演から引き出される企業文化とは「企業内の組織の連帯感、会社の原点、理念、ミッション、記憶、進むべき方向性等を含む会社の風土、雰囲気、行動様式或いは企業のアイデンティティ、存在意義等を総称したもの」(20ページ)であることを述べる。さらに、「企業文化と言うと、企業が提供するオペラやコンサートみたいなものが企業文化だとおっしゃる方があるのですが、そうではなくて、企業が何を感じて、何を目指して、何を蓄積してきたかということが企業文化である、と私は考えています」(21ページ)という福原氏自身の言葉を引いて、文化庁の認識とのズレを指摘する。(5. 企業文化)

著者は福原氏の講演を参考にしながらさらに、「日常的に史料を収集・整理・保存・管理するにはどうすれば良いのだろうか」(21ページ)という問いを立て、そこに企業アーカイブズの必要性を見出している。著者は企業史料協議会が2013年に刊行した『企業アーカイブズの理論と実践』(丸善プラネット)第1章における組織アーカイブズとしての企業アーカイブズ、組織アーカイブズ+収集アーカイブズとしてのビジネスアーカイブズという考え方(と定義)を参照しつつ、「企業文化を体現したアーカイブとは、企業に置ける組織アーカイブだということになる」(21ページ)と指摘する。さらに著者は「企業アーカイブが企業経営にどのような効果をもたらすかを共同で研究」(21ページ)した結果、企業文化を伝える社史は編纂が終わると編纂のために収集された資料はほとんど利用されることもなく「死蔵」されるが、デジタルアーカイブ化し、インターネットを媒介として情報発信にもちいることによってさまざまな効果が期待できるという。だが、それにはひとつの条件が必要となる。つまり筆者によれば「このデジタルアーカイブの開発のためには、事前に企業アーカイブの存在が必要なのである」(22ページ)。そこから著者は「何をどのようにアーカイブするか」という問題について、前述の福原氏、佐藤正則麗澤大学教授(『社風に応じた企業アーカイブを:歴史資料を現在と将来に活かす』、筆者(松崎)の諸論、また著者のチームによる企業アーカイブ調査に基づいて、「企業アーカイブに何をアーカイブするかというアーカイブの内容に関しては、当該企業のことをよく知っており、資料の価値判断を行い、残すべき資料の選定をする能力を持った人材が必要である。また、アーカイブ化には資料の保存、整理、管理、提供等に関する技術や知識を持った人材が必要である。従って、基本的には社内にアーキビストの能力を持った人材を養成することが重要であると私は考える」(23ページ)と結論づけている。(6. 企業アーカイブ)

以上の考察から、著者は岐阜女子大学における「デジタルアーカイブ教育カリキュラムにも企業アーカイブの観点を導入し、企業アーカイブの開発を担う人材育成につなげることが必要になってきた」(23ページ)ことを導き出している。一方、教育カリキュラムを開発するための企業アーカイブ研究は始まったばかりであり、これを深めることが必要であるとも述べる。(7. まとめと課題)

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【松崎感想】

かねてより岐阜女子大学、また「日本デジタルアーキビスト資格認定機構」によるデジタルアーキビスト養成に関しては、その動向に注目していたのですが、企業における「このデジタルアーカイブの開発のためには、事前に企業アーカイブの存在が必要なのである」という指摘には、心の奥底から共感しました。

一方、企業アーカイブズの構築の具体的なあり方は、業界あるいは個々の企業の事業内容によって変わってくる部分が多々あります。そのような点からすると、効果的な教育プログラム・カリキュラムの開発のためにはさまざまな方面と協力しつつ、研究を深める必要があるわけで、本稿の「まとめと課題」は妥当なものであると思います。今後の前進に大いに期待したいと思いました。

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【本稿へのアクセスについて】

論文受理日は2014年11月20日、と記載されています。

Cinii Articles、J-STAGE、JAIRO等での検索ではヒットしないので、電子化はこれからのようです。国立国会図書館の複写サービスの利用がもっとも手近なアクセス方法ではないでしょうか。

NDL-OPAC
https://ndlopac.ndl.go.jp/F/?func=find-c&amp=&amp=&amp=&amp=&amp=&amp=&ccl_term=001%20%3D%20024612841&adjacent=N&x=0&y=0&con_lng=jpn&pds_handle=&pds_handle=

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【その他重要文献】

株式会社資生堂における企業文化事業、企業アーカイブズの考え方を知るには、本稿で資料として用いられた小冊子、福原義春『経営者のバイブルとしての企業史料と社史』(企業史料協議会発行、2012年)に加え、以下の文献が有用です。

資生堂企業文化部編『創ってきたもの伝えてゆくもの : 資生堂文化の一二〇年』(1993年)

NDLサーチ
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002225940-00

NDL-OPAC
https://ndlopac.ndl.go.jp/F/?func=find-c&amp=&amp=&amp=&amp=&amp=&amp=&ccl_term=001%20%3D%20000002225940&adjacent=N&x=0&y=0&con_lng=jpn&pds_handle=&pds_handle=

本書では企業文化の二つの要素、すなわち知的蓄積であるところの「知的資産」と感性的蓄積であるところの「感性的資産」に関する考察も行われています。それによると、前者は「歴史を持つ企業には必ず見られるもので、営業から研究開発部門にわたる企業における知的創造活動の歴史的集積─すなわち取引契約書や特許をはじめ、新しい製品技術などのすべてをさす」ものとされ、後者は「五官を用いて五感に訴える企業の感性的創造活動から生まれる歴史的蓄積をさす。代表例はポスターやパッケージ制作などの宣伝広告活動によるクリエーティブワークである。もちろん視覚に訴えるばかりがすべてではない。聴覚に訴えるCM音楽、味覚に訴える料理なども、感性的資産とみなしてよいだろう。」(17ページ)

1993年段階で企業アーカイブズ(という言葉を使ってはいませんが)の価値と重要性を的確に認識し、これを管理する社内部門=企業文化部(1990年設置)を立ち上げていたことに驚嘆せずにはいられません。同書には、海外企業におけるアーカイブズの重要な役割に関する説明もみられ(19ページ、354ページ)、同社が企業文化活動に関して広く高くアンテナを張って、取り組んできたことがよく理解できます。

2015-12-17 15.27.20

帝国データバンク史料館編集・発行『別冊Muse2015』 「記憶と記録:紡ぐ、結ぶ、伝える」目次

帝国データバンク史料館編集による『別冊Muse2015』が刊行されました(B5判、202頁、2015年12月28日刊行)。

http://www.tdb-muse.jp/info/2016/01/muse2015.html

テーマは「記憶と記録:紡ぐ、結ぶ、伝える」。目次は下記の通りです。

【目次】

■はじめに■

■巻頭特別取材■

 

◇近くて遠い島、「樺太」から「サハリン」を訪ねて
「残された資料を集めて守り、伝えて役立てる
日本統治時代の”カラフト”アーカイブズ

国立サハリン州公文書館 館長 ラリーサ・ドラグノーワ
×
帝国データバンク史料館 館長 高津隆

敗戦時、1週間続いた文書資料の大量焼却
接収資料には王子製紙関係や一部、警察文書も

語り続けてこそ、やがて分かる記憶の価値
手書きメモや手紙は必ず残して保管

歴史が人から人へ受け継がれてきたサハリン
だからこそ歴史を保存することが何よりも重要

◇極東サハリンに刻まれた時代の記憶、誰に託して、伝えるか
:4つの国を生き抜いた、ある離散家族の記録

サハリン残留コリアン一世 趙応奎(チョウ・ウンギュ)

3歳で樺太に移住、家族8人の大所帯に
戦時下、東京に移った長兄と叔父は消息不明

ソ連軍が上陸、戦闘で町は焼け、養狐業も消滅
次兄はからくも樺太脱出、戦後41年目の母子再会

“元”日本人に厳しい監視の目、母は無国籍のまま
学歴で決まったソ連の仕事、25歳で通信制の大学へ

30歳、大学卒業後は国営の建築設計会社へ、建築部長で定年
ペレストロイカ、党員歴なくとも国営企業の支社長に再就職

人生80年、いちばんの苦労は安定したロシア人になるまで
再び家族離散? 残留一世の老後はサハリンから韓国へ

いまも忘れぬ日本語、ロシア文学を日本語訳で読む毎日
孫まで伝わらない記憶と思い、年齢差よりも時代の違い

家族の写真さえ飾れなかったソ連時代の経験
いまも語り継ぐこと、記録を残すことに抵抗

■クローズアップ■

◇ひめゆり学徒隊と沖縄戦:その記憶と体験を語り継ぐ重たい使命

公益財団法人沖縄県女師・一高女ひめゆり平和祈念財団
ひめゆり平和祈念資料館
館長 島袋淑子
副館長 普天間朝佳
説明員 仲田晃子
×
高津隆

あの日、艦砲射撃が始まる直前まで
普通の暮らしのあった”ひめゆり”たち

資料館で語り始めた元ひめゆり学徒
伝える気持ちはあっても、言葉にならないことも

“沖縄の痛み”とともに戦後を生きる
生身の戦争体験、その”思い”を次世代に託す

いち早く”次世代プロジェクト”に取り組む
非体験者が引き継ぐ”ひめゆりの心と思い”

若い世代が受け継ぎ、伝える記憶と記録
子どもの頃から身近にあった戦争の話題

どんなに伝えたいことがあっても、
ひとりよがりでは決して伝わらない

資料がなければ、その事実はなかったことになる
しかし、証言者のリアルな話を通して分かることもある

“モノ”と”ひと”が揃ってこその資料館
その場が存在し続けることの価値と意味

◇語り継ぐ《満蒙開拓》の歴史
:資料を集めて、証言を記録、不都合な史実も伝える

一般社団法人満蒙開拓平和記念館 専務理事 寺沢秀文
×
高津隆

国策・満蒙開拓、全国から約27万人が渡満
長野は全国最多の開拓民を送出、県内は飯田・下伊那が最多

満蒙開拓に特化した平和記念館の建設
完成まで約8年、強い思いに支えられて

資料、記録、証言映像を多数収集、展示
「満蒙開拓とは何だったのか」を考える

「不都合な史実」ゆえに
正面から向き合おうとしなかった満蒙開拓

満蒙開拓の事実に迫り、「パンドラの箱」を開ける
歴史に最後まで向き合う覚悟が必要

知るべきを知り、学ぶべきを学ぶ
「おかしい」と思う感性、想像力の大切さ

資料を残し、記憶を伝えて、後に続く人を育てる
負の遺産を正の遺産に転換することを願って

満蒙開拓と平和、身近な言葉で紡いでいく
学校教育だけでなく、親子の会話の中でも

◇被爆体験者”伝承者”、記憶を語り継ぐ役割とその責任
アクションを起こすきっかけをつくる、それが私の使命

「被爆体験伝承者」養成事業第1期生 保田麻友
×
フリーライター 藤田憲子

3年間かけて伝承者を養成する
被爆者の体験を継承する、広島市の取り組み

身内だけでなく身近に多くの被爆者がいる広島
ここで学べるものはたくさんある

被爆体験や講和を引き継ぐことだけが
伝承者に課せられた課題ではない

戦争を経験しない者が戦争を伝えていく難しさ

証言者が退場したとき、真価を問われる伝承者
子どもだけでなく、自分の同世代にも伝えたい

伝承者として為すべきことを模索し続ける日々

問題解決に向けて、全国の伝承者と連携していく

■異色対論■

◇記憶と記録を受け継ぎ、”あの日、あのとき”を伝える
私たちが”戦争とアーカイブズ”に向き合う理由(わけ)

株式会社データ・キーピング・サービス 常務執行役員 渡邊健
×
公益財団法人政治経済研究所付属東京大空襲・
戦災資料センター 主任研究員 山本唯人

戦争体験を繋ぐ役割を負った我々の世代
あの日あのときを知らないからこそ

阪神大震災、東日本大震災、
戦争を考える大きなきっかけになった

開かれた社会とのコミュニケーションに果たす
アーカイブズの可能性

異質な存在としての市民目線で考えるアーカイブズ

「戦争とアーカイブズ」という思想の否定
公文書の世界は戦争のテーマに背を向けてきた

民間だからこそできる社会への発信
博物館・アーカイブズの可能性

記憶の伝承、”語るべき”論の難しさ
文字化された記録は多く、問題はそれを受け止めること

受け手にどう共感してもらうか、その感性をどう育むか
教育の現場としてのアーカイブズ

日本ではまだ理解されないアーカイブズの役割
弱いアーカイブズからのメッセージ発信

高齢化の進む語り部たちの背後で
代わって語る役割を引き受ける若者の存在

歴史、時代、個人的体験をどう記録し、伝えていくか
結論の提示でなく、思考のプロセスをサポートする

◇~父から娘への伝言~
父の生きたあの時代、私が生きるこの時代
:世代を越えて語り継ぐ、仕事のこと、家族のこと

ゴルフダイジェスト社 主幹 中村信隆
×
小学館 児童・学習編集局『幼稚園』編集部 野田真菜

自立目指しても保護される、父と娘の関係性
父の背中を見て、娘は、早く大人になろう

子ども向けの会話なく、いきなり「俺の時代は…」
反発するしかなかった娘、暴れる心が原動力に

珍しく話の合う父娘、雑誌の編集は面白い
しかし、本をつくりたいなら、まず本を壊せ

どれだけ執念を持ち、徹底して考え続けるか
『WASIMO』、親子を近づける絶妙の崩れたバランス

本はその人の精神の歴史だ、ということ
気付きの数がキャリア、30代のベテランはいる

情緒を自分の中に確立し、ひとり、幸せの局面を味わう
父と娘が感応し合う瞬間、少ないからこそ実感できる

◇~作品を見る、著作で語る~
記憶に迫り、記録と資料をどう読み解くか

作家、前東京都知事 猪瀬直樹
×
フリージャーナリスト 岩瀬達哉

新国立競技場とエンブレム、その曖昧な事案処理、
『昭和16年夏の敗戦』のときと全く変わっていない

昭和16年、開戦前には分かっていた敗戦
理性で導かれた客観データ、資料による結論を無視

93歳、元企画院総裁、A級戦犯に直接取材
強烈な記憶は消えず、リアルな歴史証言に迫る

『ドキュメント パナソニック人事抗争史』
都合の良い条件を捻り出し、都合の良い結果を期待

先見性に富んだ戦略、画期的なイノベーション
しかし感情が理性を追いやれば、経営は危うくなる

東京オリンピック・パラリンピック招致、
情報を徹底的に収集、共有し、戦略を練り上げる

『東條英機 処刑の日:アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」』
戦後日本の再軍備、記録資料からひも解くエピソード

『戦争・天皇・国家 近代化150年を問いなおす』
1年間、ディズニーランドで過ごしてきた日本人

SNS時代を考える象徴的な出来事
『救出 3・11気仙沼 公民館に取り残された446人』

歴史認識を深め、歴史に自分を重ねる発想がない
観察者は外から見るが、当事者は内からの記憶を書き留める

■特別論稿■

◇クリオはいかにして戦争を伝えるか?
:ボスニアの戦後20周年を記念して

東洋英和女学院大学 専任講師 町田小織

プロローグ
1 当事者もしくは外交官の声
2 観察者もしくは外国人の声
3 記憶、メディア、歴史
3-1 記憶:文学が伝える旧ユーゴスラヴィア諸国の過去
3-2 メディア:旧ユーゴスラヴィア内戦・紛争を伝える映像
3-3 歴史:旧ユーゴスラヴィア諸国の歴史教育
エピローグ

◇記憶の声、記録の音:声の継承、音の保存

学習院大学大学院人文科学研究科
アーカイブズ学専攻博士後期課程在籍 宇野淳子

はじめに:ことばとして思いを受け取る
思いを込めた記録にふれる:時を超えた声の記録
日々の「思い」を音声で記録する:思いをつなげる最初のステップとは?
録音
整理・保管
反訳(文字化)
残された「思い」を活かす:音声記録の活用の可能性
おわりに:あなたの思いも、未来に伝わる

■Talk Session 白熱メッセージ■
記憶から記録へ:訊ねて、聴いて、紡いで、残して、伝えること

企業史料協議会理事、元花王ミュージアム・資料室長 上田和夫
企業文書館学芸員、アーキビスト 中臺綾子
公立博物館学芸員、アーキビスト 佐藤正三郎
公益財団法人渋沢栄一記念財団事業部情報資源センター 松崎裕子

アーカイブズへの通り道
父親の記憶、老舗の記録、日本史研究から

記憶を語れば、記録と資料が残る
記録を消せば、全てが消える

沖縄・伊江島、”記録の人”が集めて、残した資料
書き込みぎっしり、重たい思いの詰まる手稿文書に

戦時の記録、祖母の記憶があってこそ
オーラルヒストリーは聞き手と一緒につくられる

公文書にはない”生の声”を聞く
聞き書きすれば、生きた記録ができる

オーラルヒストリーを歴史資料とするために
第三者が検証可能な生データの保存も必要

積極的に資料を作るアーキビストとしての仕事
足りない記録をオーラルヒストリーが補完する

オーラルヒストリーで全てを語ることの限界
語る人、聞く人がいて、アーキビストが情報化する

やがて消える記録を継承することの難しさ
時代の中で変容する日常性、どう伝え、残すのか

原体験を持つ人、持たない人、落差は歴然
繰り返し、記録を見返すことが必要

直接的体験、不在の時代を生きるには
大文字の歴史に個人の歴史を重ねて感じる

録音・録画、技術の進化が記録化を進める
技術に頼り過ぎて、記録化への姿勢は安易に

寺子屋講座で町の仕事人の言葉を伝える
資料化されず、埋もれた録音、録画の記録

家族の記録をひも解く、身近なアーカイブズ
会社史の原資料、一般公開には高いハードル

音声、映像記録はリアルな生資料
確実性の高い”書き起こし”、情報整理と資料管理がカギ

■Muse Special Guest 小谷充志さん■
記憶が消えても、記録は残る:この道4半世紀、思えば遠くに来たものだ

株式会社出版文化社アーカイブズ研究所所長、
記録管理学会元会長 小谷充志さん

大連生まれの青島育ち、8月15日は再び大連で
終戦でガラリと変わった環境

「母はたいしたものだ」、後になって知る母の恩
引き揚げて、たどり着いた神戸も港町

少年時代、身近にあった活字、読書に親しむ
やがて映画にはまり、音楽、美術、古都巡りへ

OA企業のビジネスマンに
経験重ね、人生を変えた異動

記録管理、レコードマネジメントの世界へ
渡米して知った彼我の大差に衝撃受ける

記録管理の世界大会で自ら発表
アーカイブズ分野とも深い親交

記録管理とアーカイブズを繋ぐために
現用、非現用のブリッジを強化

記録管理、アーカイブズの発展を阻害する要因
“今”中心主義、無責任体質、不合理な意思決定過程

電子時代の記録管理はさらに困難、多い課題
情報はどこに? 全てをハイブリッドで管理

後に続く人たちへの伝言
原点にさかのぼり、目的、理念を忘れず、広い視野を!

■編集後記■

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入手ご希望の方は、電話(03-5919-9600)かメール(shiryokan@tdb.co.jp)にて帝国データバンク史料館までお問合せください。

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わたくしは今号では座談会と巻末インタビューに参加させていただきました。よろしければご一読ください。
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資料の保存修復について

先週木曜日(2015年12月10日)、企業史料協議会主催第20回ビジネスアーキビスト研修講座で「多様な価値を持つ企業アーカイブズとは」というタイトルのお話をさせていただきました。内容は、企業内においてアーカイブズが持ちうる価値の多様性、そしてそうした価値を実現するための企業アーキビストの基本的な業務のあり方についてです。

毎年の受講者の方の中には、アーカイブズ・資料室に異動して間もない方もおられますので、アーカイブズ整理の基本的事項(原秩序の維持や出所の原則など)もお話するようにしています。そういった基本的な事項の一つとして、紙資料の保存修復について、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会監修『文書館用語集』(大阪大学出版会、1997年)123ページの「保存修復の四原則」の記述に基づいて、「可逆性の原則」「安全性の原則(資料に安全な方法であること)」「原形保存の原則」「記録の原則」をこの順番で、「国際図書館連盟の提唱による」(同ページ)ものとしてご紹介しました。

後日、受講生の方から、この「四原則」の順番は最近の資料保存の考え方とは少し異なるのではないか、とのご質問をいただきました。そこで、「国際図書館連盟(IFLA)資料保存の原則(1979年版)」原本の所在などについて資料保存に詳しい安江明夫先生(学習院大学大学院講師、企業史料協議会副会長、元国立国会図書館副館長)に問い合わせてみたところ、下記のようなお答えをいただきました(注)。

安江先生のご了解をいただきましたので、この場にてアーカイブズに関心をお持ちのみなさまがたと共有したいと思います。

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お問合せに対する返答

安江明夫

「IFLA資料保存の原則(1979年版)」は部分的ですが、『IFLA資料保存の原則』(日本図書館協会、1987年刊)に翻訳・掲載されています。

『文書館用語集』に示された原則の「IFLA資料保存の原則(1979年版)」原本での原則列挙の順序を知りたいということでしたら、上記図書を参照して下さい。

なお、「IFLA資料保存の原則(1979年版)」は1986年に改訂版、1998年に三訂版が刊行されましたが、改訂版、三訂版はコンサベーション(保存修復)の原則には触れておらず、改訂による保存理解の進展とコンサベーションの原則は関係しません。(とは言え、特に1990年代以降は多くの国で修復restorationという用語を使用しなくなっていますが。)

お問合せについて、私なりに論点を整理してみます。(以下の頁数は邦訳『IFLA資料保存の原則』の該当箇所。)

「1979年版IFLA資料保存の原則」は、まず「6. 修復に関する一般的所見」の項で次のように述べます。(以下、抜粋。)

「・・・修復の過程にはそうした変更がつねに伴う(後略)。修復に際しては、修復後の資料にもとの資料の機能的、視覚的、触覚的性質をできるだけ多く残すことを目指すべきである。」(6.1, p.38)とし、修復は資料の原資料性(オリジナリティ)を必ず損なう、修復する場合には原資料の種々の性質をできるだけ多く残すべき、と記しています。それが次に続きます。

従って「どうしても避けられない場合以外は、修復はすべきでない。」(6.2, p.38)

とはいえ、それでも修復が必要となる場合があります。その時は「処置前の資料の状態と処置の詳細の記述や写真は、修復がもたらした変更の完全な証拠を示すものとして必須である。」(6.8、p.39)、と「記録」が不可欠と示します。

そのうえで次項「7. 資料本体と紙葉の修復」で、「修復の材料とその使用技術の選択に際しては、適合性、耐用性、安全性、可能な限りの処置の可逆性、をまず考慮すべきである。」(7.2. p.40)としています。ここで「材料の安全性」「適用する技術の可逆性」ほかの作業上の要点を指摘しているのです。

以上でわかりますとおり、「IFLA資料保存の原則」は「4原則」などとはしていません。また「原資料性の尊重」が言わば大原則であり、その原則を貫くために「できるだけ修復を避ける」「修復が避けがたい場合には必ず記録を作成する」と説き、その次に保存修復実務の作業上の留意事項として「材料の安全性」「技術の可逆性」ほかを示しているのです。この異なるレベルでの指摘を、『文書館用語集』等では「4原則」としてやや雑にまとめ、横並びにして提唱しています。この点は、特に「国際図書館連盟の提唱による」とするのでしたら、問題があるでしょう。

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『IFLA資料保存の原則』(日本図書館協会、1987年刊)について

国立国会図書館サーチ
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001882786-00

(注)問い合わせは、㈱TTトレーディング テクニカルアドバイザー 神谷 修治さんのおかげで迅速にお答えを得ることができました。記して感謝申し上げます。

 

2015-12-05 08.47.36

松崎裕子「見学会報告:合併による研究所図書室統合の現場を学ぶ:新日鐵住金株式会社君津製鐵所と技術開発本部研究所図書館(TIC)見学会に参加して」

情報科学技術協会INFOSTA 会誌「情報の科学と技術」2015年12月号に同協会主催の新日鐵住金株式会社君津製鐵所と技術開発本部研究所図書館(TIC)見学会参加記が収録されています。

★ ★ ★

《見学会報告》

「合併による研究所図書室統合の現場を学ぶ:
新日鐵住金株式会社君津製鐵所と技術開発本部研究所図書館(TIC)見学会に参加して」

松崎裕子

2015年10月6日開催の新日鐵住金株式会社君津製鐵所と同社技術開発本部図書館(Technical Information Center:TIC)見学会に参加した。本稿では同製鐵所概要について簡単に述べた後、見学会の模様を報告する。

■君津製鐵所について

君津製鐵所は旧八幡製鐵株式会社君津製鐵所として1965年に創業。1970年3月31日、八幡製鐵と富士製鐵株式会社の合併によって、新日本製鐵株式会社君津製鐵所となった。2012年10月1日には新日本製鐵が住友金属株式会社と合併したことによって、新日鐵住金株式会社君津製鐵所と名称変更し、今日に至っている。

東京湾岸に立地する広大な敷地は東京ドーム約220個分の広さがある、という説明であった。同製鐵所の敷地は大きくは二つの部分に分かれ、今回集合場所となった本館・君津製鐵所ビジネスセンターのある東側は木更津市、製造部門の各種工場が立ち並ぶ西側の地区は君津市に位置する。東側の地区と西側の地区の間に東製品岸壁が、西側の地区と富津市に位置する技術開発本部のエリアの間に西製品岸壁が設置されており、大型船によって製品が輸出できるように設計されている。君津製鐵所では関連会社も含めて15,000人の社員が4組3交代で働いているとのことである。

広大な敷地内の移動はマイクロバスを利用した。また、最寄りのJR木更津駅から本館・ビジネスセンターのある東側の地区までの距離は約5km、タクシーで10数分である。

■工場見学

工場見学は君津製鐵所の広報担当の方が案内してくださった。最初に自動車、家電、建材、その他に利用される熱延鋼板の製造工程を見学した。熱延鋼板は製鋼工場で造られたスラブを加熱炉で加熱し、粗圧延機と仕上げ圧延機で帯状に連続で長く圧延したもので、最終的には運搬しやすいようにコイル状に巻き取った熱延コイルになる。1600℃に焼けた厚さ24cmの鉄板が、500m以上の圧延機を通り、1cm ほどの薄さに延ばされていくのを間近に見た。工場内は鉄の熱気と水蒸気、鉄がベルトコンベア上を流れていく音が充満し、迫力があった。全ラインがコンピュータ制御されており、鉄板の厚さも顧客の要望に合わせてカスタマイズすると説明していただいた。

次にバスを利用して高炉が立ち並ぶ製銑エリアに移動し、現在稼働中の3基の高炉のうち一番新しい第4高炉の近くで、高炉の下から銑鉄と不純物(スラグ)が運び出される様子の説明を受けた。構内は写真撮影禁止であるが、このコーナーは撮影可であった。

その後プラスチックのリサイクル工場を見学し、最後に本館に戻り広報ビデオを見て製鐵所見学を終えた。

■技術開発本部研究所図書館(TIC)見学

君津製鐵所ビジネスセンター社員食堂での昼食後、バスで富津市にある技術開発本部に移動し、午後はTICを見学した。

最初にTICセンター長の山口様より技術開発本部(Research & Engineering Center:RE センター)とTICの沿革についての説明を受けた。それによると、TICは新日本製鐵時代の1991年にRE センターと同時に発足したものである。1991年当時、新日鐵には神奈川県川崎市に第1技術研究所(基礎)、同相模原市に第2技術研究所(製品)、福岡県北九州市に第3技術研究所(生産)の三つの研究所があり、順次移転し統合させたものである。北九州市八幡には設備技術センターもあり、こちらの一部も併せて富津市の現在地に移ってきた。最後の部隊が現在地に移ったのが1999年。この過程で四つの研究拠点それぞれが持っていた四カ所の図書室の蔵書(図書・雑誌)も、1990年から1999年にかけて順次、富津のTICに統合した。この時の統合では重複本と雑誌の処分が課題で、これらは国内と中国の大学、神奈川県資料室研究会(神資研)のデポジットライブラリー、研究者へ寄贈の他、廃棄を行ったという。

さらに、2012年に合併した住友金属は兵庫県尼崎市に尼崎研究開発センターと茨城県神栖市に波崎研究開発センターの二つの研究開発拠点を持ち、それぞれが図書室を備えていたので、新日鐵住金としては現在三つの研究開発拠点(富津、尼崎、波崎)に三つの図書室を持っていることになる。2年前より取り組んだ富津と尼崎の図書システムの統合は最近完了し、蔵書(単行本)は富津の約6万冊と尼崎の約4万冊を併せて、約10万冊になった。

TICは「研究所の図書館」としての業務をミッションの中核に据えており、公開資料は必要な情報をタイムリー、スピーディーに提供する一方、研究月報や報告書類などの一般に対する非公開資料は適切に保管管理を行い、全社に向けて公開することがそのミッションの具体化であるという。さらに「場」を提供すること、すなわち「情報と人との対話の場」「思索としての場」の提供もミッションの一つと考えており、レファレンスの充実・研究者が気軽に相談できる雰囲気作りにも意を注いでいるとのことであった。室内には写真同好会の方々による作品が各所に掛けられており、親しみやすい雰囲気作りに役立っていた。

TICの情報プラットフォーム「情報源あさり君」は千葉県富津市の名物「あさり貝」にちなんだという命名の由来も面白く、親しみやすさ志向の表れにも感じられた。発足当初より電子図書館化を推進しており、JDreamIII、その他工学分野、金属分野のデータベースを利用しているほか、電子ジャーナルも導入している。

2012年の新日鐵と住金の合併では、10月1日よりお互いのシステムの相互利用を開始し、2015年9月28日から互いのデータを統合した新蔵書検索システムの稼働を開始した。この間、2012 年7 月から18回にわたって実務者交流会で情報交換を行ったという。蔵書数(単行本)は、TICが約6万冊、尼崎が約21,000冊、波崎が約5,000冊、本社に5,000冊、計91,000冊。新日鐵ではUDC分類を用い、住金ではJICSTに沿った独自分類であった。統合にあたっては分類を統一することは行わず、検索でカバーすることにした。雑誌は書誌データを統合して、互いの所蔵データに繋いで運用している。外国雑誌は電子ジャーナルが多い。

TICは24時間365日オープンしており、貸し出しも自動化されている。1991年以来、REセンターの研究者向けに講習会を随時行っている。講習会には集合講習会、個別講習会、さらに端末実習集合講習というメニューを揃えて、利用者のニーズに応えている。そのほか、イントラネットによる情報発信、各部署に配置されている図書委員に対してメールで情報の送信を行っているということであった。

技報用の特注の棚など普段目にすることのない什器やスペースが、筆者には非常に興味深かった。

筆者が働く渋沢栄一記念財団では「渋沢社史データベース」を公開するとともに、社史作成の基になった社内報等企業資料の管理と利活用の振興を目的とする「企業史料プロジェクト」を進めており、TICの広報誌の棚に置かれた資料に関してたいへん興味を引かれた。質問したところ、TICには社内各所から広報誌が集まり、製本は行わないが紐で結束して保管に努め、廃棄は行わないということである。ただし、TIC はあくまで広報誌を閲覧に供することが業務であり、それらの保管保存は本社の担当である。さらに、PDFで作ったボーンデジタルな報告書など非公開資料は、現在は紙に打ち出し、上製本して保存しているという。筆者が専門とするアーカイブズでの「電子記録の長期保管」に関わる問題でもあり、この課題への一つの対処方法と筆者は理解した。

なおTICは新日鐵住金グループの日鉄住金総研株式会社が新日鐵住金から業務委託を受けており、日鉄住金総研内の知的財産事業部東日本知的財産推進部がTICの運営に当たっている。また、富津の技術開発本部は約70万㎡の広さで、これは東京ドーム15個分(完工は1991年9月)ということである。

見学会の質疑応答の最後にTICのみなさんが、日ごろ心掛けていることを分かち合ってくださった。「利用者に対しいつも笑顔で積極的に援助する。図書館機能をより発揮するためには、図書館員と研究者の間のコミュニケーションが何より大切」というお話であった。

今日、民間企業のみならず地方自治体なども含めて、組織の合併・再編は頻繁に起こりうる。それに対して、図書館機能や所蔵資料をどのように統合し、利用者に奉仕していくのかは誠に大きな問題であると思う。今回このような貴重な機会を提供していただいたことに対し、新日鐵住金TICのみなさま、またINFOSTAのみなさまに心より感謝申し上げて、本稿の結びとしたい。

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Nippon_Steel_Kimitsu_Works

By takato marui from Osaka, Japan [CC BY-SA 2.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0)%5D, via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3ANippon_Steel_Kimitsu_Works.jpg

■□■ リンク ■□■

「情報の科学と技術」誌公式サイト
http://www.infosta.or.jp/journal-top/

情報科学技術協会 INFOSTA サイト
http://www.infosta.or.jp/

 

 

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坂口貴弘「米国型記録管理システムの形成とその日本的展開」博士学位論文の詳細目次

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This work is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
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昨年12月に紹介した坂口貴弘さんの博士学位論文「米国型記録管理システムの形成とその日本的展開」の目次の詳細をご紹介します。学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻事務室にて閲覧させていただきました。いくつかの章については、すでに記録管理学会誌『レコード・マネジメント』誌他に発表されています。しかし一つの大きな論文としてみると、また別の価値を持ちます。日本においてレコード・マネジメントが未発達であり、アーカイブズが軽視されてきた経緯を、米国型記録管理システム生成との対比、日本における米国型記録管理システムの受容過程に注目してまとめたものということができます。一次資料に依拠した歴史学的手法による研究です。

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著者によると、この論文は近く公刊されるということです。米国型記録管理システムの形成過程を日本語で読めることになります。アーカイブズ学、記録管理学を学ぶ人たち、また教える側にとってもたいへん有用なテキストになるでしょう。
(2015.11.13追記)

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[著者・坂口貴弘さんについて]

以下のサイトをご覧ください。

Researchmapのページ
http://researchmap.jp/searchivist/

ブログ Daily Searchivist
http://d.hatena.ne.jp/searchivist/
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坂口貴弘「米国型記録管理システムの形成とその日本的展開」
(学習院大学大学院人文科学研究科 アーカイブズ学専攻 博士後期課程 学位論文)

[目次]

序章
第1節 研究の背景と目的
第2節 研究の今日的意義
1. 公文書管理制度の実効性確保
2. デジタルアーカイブの持続可能性
第3節 研究の特徴と視座
1. 歴史的視点
2. 欧米と日本
3. 研究史上の特徴
第4節 論文の構成
第5節 素材と用語
1. 使用する一次資料について
2. 用語について

第1章 記録管理システムの諸側面
はじめに
第1節 集中・独立型と分散・連携型
1. 集中・独立型
2. 分散・連携型
第2節 保管システム
1. レジストリにおける集中管理
2. 分散保管型施設としてのレコードセンター
3. 日本における保管単位論
第3節 評価選別システム
1. 外部独立機関による処分認可制度
2. 連携型評価選別法と処分スケジュール
3. 日本における評価選別論
第4節 探索システム
1. 集中・独立型探索手段からの展開
2. ファイリング法との連携とフォンド尊重
3. 日本における探索手段論
おわりに

第2章 情報探索システムとしての米国型文書整理法
はじめに
第1節 米国型文書整理法の形成とその前提
1. 19世紀末における文書整理法
2. ファイリング法の起源について
3. ローズノーと慈善組織協会
4. ライブラリー・ビューローの役割
第2節 文書探索システムの模索と図書館界
1. カード・システムと情報処理
2. 直接式探索手段の開発
3. 垂直式ファイリング用品の開発
第3節 文書整理法改訂の実際
1. 文書管理におけるファイリング法の位置
2. 鉄道会社における十進分類法
第4節 連邦政府における文書整理法改革
1. 陸軍省文書分類法の成立
2. タフト委員会の調査と勧告
3. 国務省の文書整理法
おわりに

第3章 文書整理者の拡大と学校教育
はじめに
第1節 探索システムから管理システムへ
1. 数字順からABC順へ
2. 科学的事務管理法の影響
第2節 専門化する事務管理と図書館界
1. ファイリング法とオフィスワーク
2. オフィスワーカーと商業学校
3. 図書館学校との関係
第3節 文書整理学校の誕生
1. 企業内部の研修制度
2. シカゴの文書整理学校
3. ニューヨークの文書整理学校
第4節 商業学校教育への展開
1. 商業教育におけるファイリング法
2. 『プログレッシブ・ファイリング』と実習教材
第5節 文書整理専門職の形成
1. コロンビア大学での教育
2. ファイル・クラークの独立と量的拡大
3. ファイリング協会の結成
おわりに

第4章 米国国立公文書館における資料探索システムの形成
はじめに
第1節 欧州型アーカイブズ原則の初期的受容
1. リーランドの「ガイド」と欧州の原則
2. 設立直後の「暫定的提案」
3. 目録部・分類部の試行錯誤
4. シェレンバーグの解釈と批判
第2節 国立公文書館資料の特性
1. 年代範囲
2. 数量
3. 利用件数
第3節 探索手段委員会の勧告
1. 探索手段の作成に関する指針
2. 探索手段の段階的精密化
第4節 出所の分散化とレコードグループ
1. 基本単位としての「局」
2. 省庁共通の「一般文書」
3. レコードグループの実際
第5節 原秩序としてのファイリング単位とシリーズ
1. シリーズ記述の原則
2. シリーズ記述の実際
おわりに

第5章 評価選別システムの成立と米国国立公文書館
はじめに
第1節 連邦議会による文書処分審査
1. 連邦議会による文書処分の統制
2. 議会図書館の関与
第2節 国立公文書館設立と評価選別手法の模索
1. 国立公文書館法の規定
2. 公文書に関する知見の蓄積
第3節 評価選別の制度化と変容
1. 連邦公文書の量的推移
2. 国立公文書館スタッフの資質
3. 1939年文書処分法の制定
4. 処分リストの改訂
5. 評価選別の実績と単位
第4節 共通処分スケジュールの開発
1. 1943年文書処分法の制定
2. 処分リストから処分スケジュールへ
3. 処分スケジュールから包括的スケジュールへ
おわりに

第6章 集中管理概念の変容とレコードセンター
はじめに
第1節 第二次世界大戦前の文書保管単位論
1. ファイリング法における集中保管論
2. 国務省文書管理の分散化
第2節 記録管理事業の開始とエメット・リーヒー
1. エメット・リーヒーについて
2. 国立公文書館の特別調査官
3. 米国アーキビスト協会の設立と調査活動
4. 記録管理事業の開始
第3節 レコードセンターの成立
1. 米国アーキビスト協会委員会の調査
2. 海軍省レコードセンターの設置
3. 第一次フーバー委員会の勧告
4. 連邦レコードセンターの整備
5. 第二次フーバー委員会の勧告
第4節 レコード・マネジメントにおける文書保管単位
1. 集中管理・分散保管方式の提唱
2. レコードセンターの位置づけ
おわりに

第7章 日本における米国型記録管理システムの受容
はじめに
第1節 西洋式文書整理法の初期的受容:欧州型から米国型へ
1. 西洋諸国の記録法に関する情報の入手
2. 国務省索引アーカイブズ局の文書編纂法取調べ
3. 民間における米国式ファイリング法の紹介
第2節 大正期外務省の文書集中管理強化策とディスマル式
1. 外務省における文書整理法改正と米国視察
2. 集中管理方式としてのディスマル式導入
3. 文書整理法の修正と改訂
第3節 科学的事務管理法の導入と文書集中管理論
1. 科学的事務管理における集中保管論
2. 占領下の行政改革と文書整理法
第4節 集中・分散併用方式の成立
1. 完全集中型から併用型へ
2. 米国における集中管理・分散保管論の受容
おわりに

第8章 日本占領行政の中の記録管理システム
はじめに
第1節 占領計画におけるアーカイブズの位置
1. ポズナー・リストの作成
2. ロバーツ委員会と国立公文書館
3. 民政ハンドブックにおけるアーカイブズ
第2節 GHQ/SCAPによる日本のアーカイブズ調査
1. コラス・ハリスの日本着任
2. 日本のアーカイブズ施設調査
3. 民間情報教育局における文化財保護活動
4. 史料館設置との関係
第3節 在外部隊のレコードセンターとGHQ/SCAP
1. 海外軍文書の「退役」と中間保管庫
2. 第8軍の横浜文書保管庫
第4節 陸軍省文書の処分と保管
1. 陸軍省における文書処分スケジュールの成立
2. GHQ/SCAP解散と文書処分プログラム
おわりに

第9章 戦後文書管理における保存と廃棄
はじめに
第1節 「文書管理」の登場と文書処分
第2節 公務能率研究会における文書管理
1. 人事院の発足と公務能率
2. 公務能率研究会議
3. 公務能率研究会
第3節 文書管理論の変容と国立公文書館
1. 米国の文書処分手法の受容
2. 行政管理庁とO&M運動
3. 国立公文書館設立計画と行政管理庁
4. 国立公文書館設立計画と各省庁
第4節 「レコード・マネジメント」の受容
1. 各省庁統一文書管理改善週間の開始
2. 実施要綱の分析
3. レコード・マネジメント研究会
おわりに

終章

謝辞
参考資料一覧

[図表目次]

表0-1 米国国立公文書館文書の編成
表0-2 コラス・ハリス文書の編成
表0-3 外務省記録分類表(ABC式)におけるN門

表1-1 レジストリ・システムとファイリング・システム
表1-2 集中・独立型と分散・連携型
表1-3 保管単位の比較

表2-1 ファイリング法の主な構成要素
表2-2 デューイ十進分類法とウィリアムズ式十進分類法
表2-3 国務省文書十進分類法

表3-1 英数字による主題表現方式の比較
表3-2 通信教育コースのカリキュラム構成
表3-3 オフィスワーカーに占めるファイル・クラーク等の比率(1940年)

表4-1 各国の国立公文書館における所蔵資料の数量(1975年)
表4-2 米国連邦政府各省の「一般文書」
表4-3 米国国立公文書館におけるレコードグループの規模
表4-4 米国国立公文書館における「クラスター」

図4-1 米国国立公文書館における受入資料の推移
図4-2 米国国立公文書館における来館者数と閲覧点数の推移

図5-1 米国国立公文書館における受入文書量と職員数の推移
図5-2 米国国立公文書館における評価選別業務の実績
図5-3 米国陸軍省の処分スケジュールの見本(一部)
図5-4 米国海軍省の処分スケジュールの例

表6-1 部門別ファイルと集中ファイルの比較

表7-1 外務省最初の記録局文書類別表(明治19年)
表7-2 外務省の八門式文書分類表と組織機構
表7-3 米国国務省と日本外務省の文書分類法
表7-4 外務省における八門式及びABC式文書分類表

表8-1 ポズナー・リスト一覧
表8-2 ポズナー・リストにおける日本のアーカイブズ施設
表8-3 民間情報教育局による日本のアーカイブズ調査
表8-4 民間情報教育局が調査した関西地域のアーカイブズ施設
表8-5 民間情報教育局文化資源研究班の調査結果(1947年7月)
表8-6 第8軍文書保管庫の活動
表8-7 陸軍省特別規則における文書類型と処分措置
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2015-06-14 17.30.19