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神戸大学大学院人文学研究科地域連携センター編『「地域歴史遺産」の可能性』(岩田書院、2013年)を読んでいます。

目次はこちら。 http://www.iwata-shoin.co.jp/bookdata/ISBN978-4-87294-816-5.htm

「自治体史は専門の研究者と一般の人々との接点となるものである。しかし、その自治体史が、一般の読者にほとんど読まれていないという指摘が以前からしばしばなされている。読まれない理由としては、大部であることや内容が専門的で難解なものになってしまっていることなどが挙げられる。これに対し、近年では自治体史を親しみやすいものにするさまざまな試みもなされている。・・・」(同書105ページ)

これはなんともなじみ深い響きがあります。「自治体史」を「社史」に代えると、そのまま社史・企業史料関係者の文章としてもまったく違和感のない文章です。

アドホックな社史編纂業務から恒常的なアーカイブズ機能の構築へ、というのは企業だけでなく自治体やその他の団体に共通するテーマですね。

本書は序章、終章を含めると全体では3部構成、全23章、5つのコラムからなります。その中で企業アーカイブズに通じる問題を論じているのは、

第Ⅰ部 第4章     自治体史編纂事業の役割を考える     村井 良介
第Ⅱ部 第6章     地域における伝統企業の史料と活用  石川 道子
第Ⅲ部 第1章     「在野のアーキビスト」論と地域歴史遺産     大国 正美
[コラム] 自治体史編さんの果実と「その後」  印藤 昭一

あたりです。

これまでずっと、「草の根文書館」や「在野のアーキビスト論」というのは、市民運動などの記録とその保存・活用に関わるもので、企業アーカイブズとは関係ない、と思っていました。しかし、「アーキビスト専門職確立すべし」という最近の議論は人事・採用・雇用・賃金慣行からすると、日本の企業アーカイブズの議論としてそのまま受け入れることが難しいものです。そのような観点から「在野のアーキビスト論」を眺めてみると、企業アーカイブズ・アーキビストに関わる議論と案外交わるところがあるのを発見し、驚いたのでした。