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月別アーカイブ: 5月 2016

How I Started – Luciana Duranti

24 火曜日 5月 2016

Posted by archivesstudio in Uncategorized

≈ How I Started – Luciana Duranti はコメントを受け付けていません

This post was kindly written by Luciana Duranti, Professor of Archival Studies at the University of British Columbia in which she talks about her fascinating journey into the archives field.

情報源: How I Started – Luciana Duranti

『GCAS Report 学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻研究年報』Vol.5(2016)目次

16 月曜日 5月 2016

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This work is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
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学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻研究の年報『GCAS Report』最新号(Vol.5、2016年2月28日発行)の目次をご紹介します。

http://www.gakushuin.ac.jp/univ/g-hum/arch/02gcas-report.html

【書誌情報】
学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻 編. GCAS report =. 学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻, 2012- 冊 ; ISSN 2186-8778

【アクセス】
・所蔵大学図書館
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AA12568178

・所蔵公共図書館・・・公共図書館での所蔵はないようです(カーリルで検索結果)

・国立国会図書館
https://ndlopac.ndl.go.jp/F/?func=find-c&amp=&amp=&amp=&amp=&amp=&amp=&ccl_term=001%20%3D%20023403525&adjacent=N&x=0&y=0&con_lng=jpn&pds_handle=&pds_handle=

・学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻ウェブサイトにはVol.3まで掲載(2016年5月15日現在)
http://www.gakushuin.ac.jp/univ/g-hum/arch/02gcas-report.html

・学習院大学学術成果リポジトリにもVol.3まで登録あり(2016年5月15日現在)
http://glim-re.glim.gakushuin.ac.jp/handle/10959/3727

・ウェブサイトによるとVol.4までは有償で頒布中のもよう

・要問合せです
http://www.gakushuin.ac.jp/univ/g-hum/arch/02gcas-report.html

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【目次】

[講演]

松岡資明「より良き社会のために:「記録」が物語るもの」

白岩洋子「記録を残すために:写真資料保存修復の基礎」

[研究ノート]

大木悠祐「記録管理におけるレコードキーパーの機能と役割に関する一考察:オーストラリアの州公的記録法の事例から」

倉方慶明「アーカイブズ・マネジメント試論:業務の数値化を中心に」

[書評]

田中智子
菅真城『大学アーカイブズの世界』

川田恭子
安藤正人・久保享・吉田裕編『歴史学が問う公文書の管理と情報公開:特定秘密保護法下の課題』/
北海道新聞社編『特定秘密保護法を読む:全条文 反対声明・意見書』

藤村涼子
中野目徹『公文書管理法とアーカイブズ:史料としての公文書』

千代田裕子
三井文庫編『史料が語る三井のあゆみ:越後屋から三井財閥』/
企業史料協議会編『企業アーカイブズの理論と実践』

難波秋音
国立民族学博物館監修『渋沢敬三没後50年 屋根裏部屋の博物館 ATTIC MUSEUM』

高野彩香
石田佐恵子・村田麻里子・山中千恵編著『ポピュラー文化ミュージアム:文化の収集・共有・消費』

千葉功
佐藤元英・武山眞行・服部龍二編著『日本外交のアーカイブズ学的研究』

[報告]

齋藤歩
米国アーキビスト協会ワークショップ(2015)
「建築レコード:設計と施工の記録群を管理する方法」参加記

薬袋未夏
ICAが考えるアーカイブズとは──
『情報社会におけるアーカイブズ、記憶、そして民主主義』の紹介

青木祐一
ブラジル・サンパウロ人文科学研究所資料調査・中間報告

[コラム]

高埜利彦「青空のソウル訪問」

[彙報]

 

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これまで15年にわたり、取材・執筆活動を通してアーカイブズに関する問題提起と啓発に広く鋭く努めてこられた松岡資明先生(2015年7月~学習院大学客員教授)の講演録から2か所、重要であると感じた部分を引用しておきます。

「これは私が以前から感じていたことであるが、日本では『情報』と言うとすぐに思い浮かべるのはフローの情報で、ストックの情報に思い至る人が少ない。・・・(中略)・・・物事には原因があって結果があるのであって、何事も過去の経緯を知らずに取り掛かっても適切な対応ができない。例えば、日本の外交政策でしばしば、指摘されるのは『後手に回った』という批判だ。情報収集をする際、過去の経緯を十分に知ったうえで行うのと、そうでない場合では結果に大きな差が出る。当たり前の話ではないだろうか。」(9ページ)

「私は、アーカイブズがより良い社会、精神的に豊かな社会を目指すのに資するものではないかと考える。飛躍があるように聞こえるかもしれないが、アーカイブズとは『ひとの行(おこな)い』を記録として残し、『行い』に至った経緯を明らかにすることによって、新たな『行い』に生かす、ことではないだろうか。むろん、使い方によって良くも悪くもなる。そして必ず、『行い』の裏には『ひと』がいる。」(18ページ)

 

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最新号には企業アーカイブズに密接に関わる記事が何本か掲載されています。千代田裕子氏による三井文庫編『史料が語る三井のあゆみ:越後屋から三井財閥』と企業史料協議会編『企業アーカイブズの理論と実践』の書評、高野彩香氏による『ポピュラー文化ミュージアム:文化の収集・共有・消費』の書評、そして齋藤歩氏によるSAAワークショップ「建築レコード:設計と施工の記録群を管理する方法」(2015年)の参加記です。

千代田氏の書評では企業史料協議会編『企業アーカイブズの理論と実践』に関して以下のような課題が指摘されています。今後のBAAの活動のためにも参考とすべき点です。(91~92ページ)

・実践編で示される事例が大企業ばかりである。中小・中堅企業の事例が望まれる。

・「なぜ企業にアーカイブズが必要なのか」という点で説得力が弱い。

・「従来、レコードマネジメントの導入において提唱されてきた見解の繰り返しにならぬような理論が必要」

・B to C ばかりでなく、B to B 企業の事例の紹介が望まれる。

高野氏が書評している『ポピュラー文化ミュージアム:文化の収集・共有・消費』第5章「化粧品のミュージアム」(著者・谷本奈穂)は花王ミュージアムを化粧品のミュージアムとして取り上げています。この部分に関する書評者高野氏のコメントは、谷本氏が論じる「来館者に寄り添った展示」に関して更に深く議論できたのではないか、という点と、企業や産業の負の側面を展示に加えることの是非について言及してほしかった、と述べています。非常に重要な点で、今後この分野の研究を期待します。

齋藤氏の報告は、GCAS Report前号(Vol.4)に掲載された同氏の報告「日本建築学会によるレコード・サーヴェイを分析する:アーカイブズ学の観点から」と併せて、建設関係業界、設計業界におけるアーカイブズ管理にさまざまな示唆を与えるものでしょう。

(参考)
齋藤 歩.   日本建築学会によるレコード・サーヴェイを分析する : アーカイブズ学の観点から.  GCAS report = 学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻研究年報 / 学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻 編.. (4):2015. 108-115 ISSN 2186-8778

http://www.gakushuin.ac.jp/univ/g-hum/arch/02gcas-report.html

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2015-05-20 15.32.25

検索手段、編成、記述と目録

14 土曜日 5月 2016

Posted by archivesstudio in BAA

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arrangement, 目録, 編成, description, 記述, 記述標準, finding aids, 検索手段

昨年7月の企業史料協議会(BAA)資料管理研修セミナーのテーマは「資料活用のための目録作成のヒント:資生堂企業資料館での資料整理を事例として」、そして二つの講演のタイトルは「目録の標準化とは何か」と「アーカイブズ資料記述および目録作成の一例:資生堂企業資料館所蔵資料を例に」でした。

しかし実は、アーカイブズに関する英語文献では「目録」catalogue、「目録作成」cataloging、という言い方はあまりせず、もっぱら「検索手段」finding aidsという用語を目にします。そしてこれは記録(レコード)の組織化のための行為である「編成」arrangement、「記述」descriptionという用語と密接に関係します。

これらの用語について、上述のBAA資料管理研修セミナーで講師を務めてくださった東京大学文書館准教授の森本祥子先生にうかがってみました(2016年5月14日)。以下、森本先生のお話です。

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まず、「目録」「編成」「記述」に対応する英語は次の通りです。

目録 = catalogue / list
編成 = arrangement
記述 = description

そして、編成と記述はセットで行われると考えられているので、英語圏だとA & D(arrangement & description)といったように省略して使われたりします。

検索手段 = finding aids

は、文字通り、情報を探し出すためのツール全体を包括的にいう呼び方です。

日本は伝統的に表形式の目録だけが検索手段でしたが、例えばイギリスだと、index(トピックスや固有名詞など、ものを探す手がかりになるキーワード一覧)とかcalendar(個々の資料の内容を詳細に説明したもの)などが伝統的に作られてきたので、そうしたものも含めた、すべての「情報検索ツール」を指す意味合いです。

それでは、なぜ「目録」ではなく「編成・記述」という言葉が(アーカイブズ学・実務関係者に)好まれるようになったかということですが、要は、「目録」というのはいわば「単なる形」をさすものであって、それがどのような作り方をされたものであれ、情報が書き連ねられていれば、目録である、ということになります。

他方、「編成」と「記述」は、資料の分析を経るものであって、結果としての「形」よりも、その過程に注目した言い方です。日本での定着としては、そうした資料分析が重要だという議論とともにそれが従来の「目録論」というような言葉から、「資料の編成・記述」という言い方に変わってきたという経緯があります。

資料の特徴を引き出していようがいまいが、とにかく「リスト」があればいい、というのではダメで、資料群を分析し、ひとつひとつの資料の関係が見えるように、それがどのように作られたのかがわかるようにきちんと分析しよう、というのがarrangement & descriptionにこめられた意味合いということですね。

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森本先生ありがとうございました。

2015-11-27 15.34.38

2015年度BAA(+α)を個人的に振り返る

14 土曜日 5月 2016

Posted by archivesstudio in BAA, JSAS

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アーカイブズ, ビジネスアーカイブズ, BAA, business archives, 編成, 記述, 企業史料協議会

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再来週の金曜日(5月27日)、企業史料協議会(Business Archives Association: BAA)の第35回総会・記念講演会が開催されます。会場は四ツ谷駅そばの主婦会館。初めての会場です。
http://www.baa.gr.jp/news.asp?NoteAID=11
http://www.baa.gr.jp/syousai.asp?id=393

総会を前にBAAのこの一年(2015年5月~16年5月)を振り返りました(私が参加した範囲で、です)。

・総会(第34回:2015/5/29日本教育会館、第35回:2016/5/27予定)
・広報部会(7/14、9/2、11/30、2/9、3/2、3/29、5/10、5/17予定、すべてBAA事務所)
・理事会(5/29、10/2、12/4、3/18、5/27予定、5/27を除きスクワール麹町)
・資料管理研修セミナー:「電子データの長期保管:現状と動向」(10/9一般社団法人全水道会館)、「史資料のデジタル管理と活用」(3/1中央大学駿河台記念館)
・第4回BA(ビジネスアーカイブズ)の日打ち合わせ(9/8アジア歴史資料センター、9/28国立情報学研究所)
・第4回BAの日講演会・シンポジウム(11/5日本教育会館)
・広島地方見学研究会(11/26-27)
・ビジネスアーキビスト研修講座「多様な価値を持つ企業アーカイブズとは」出講(12/10東京大学本郷キャンパス小島ホール)
・博物館セミナー「これからの企業ミュージアム」(3/8中央大学駿河台記念館)

■7月11日の資料管理研修セミナー
「資料活用のための目録作成のヒント:資生堂企業資料館での資料整理を事例として」

企業史料協議会では30年以上にわたって企業史料の取り扱い、管理、活用等に関してセミナーを行ってきました。研修担当理事によると(不思議なことではあるのですが)「目録」(アーカイブズの用語としては「編成、記述」)に関するセミナーを開催するのはおそらく初めてではないか、ということでした。これは日本における企業史料の保存と活用が長らく社史編纂を目的としてきたことと関係するのかもしれません。

講師を引き受けてくださったのは東京大学文書館准教授の森本祥子先生(「目録の標準化とは何か」)と学習院大学大学院アーカイブズ学専攻博士課程の清水ふさ子さん(「アーカイブズ資料記述および目録作成の一例:資生堂企業資料館所蔵資料を例に」)のおふたりです。申し込み多数のため急きょ大きな会場を確保して約80名の参加者にお越しいただきました(当初の募集人員定員は20名弱)。この分野に関する学習・研修の機会が求められていることを痛感しました。

通常司会は研修部会担当理事が行うのですが、研修部会に企画を持ち込んだ関係で私が司会を担当させていただきました。

http://www.slideshare.net/Business_Archives_Association/ss-50534474
http://www.slideshare.net/Business_Archives_Association/ss-50596064
http://www.slideshare.net/Business_Archives_Association/201507105-50418367
https://www.facebook.com/kigyoushiryou/posts/744653425657162
https://www.facebook.com/kigyoushiryou/posts/744656185656886
■11月5日のビジネスアーカイブズの日
「デジタル時代におけるビジネスアーカイブズ」

このイベントは毎年広報部会が企画運営します。2015年は特別講演をアジア歴史資料センター長の波多野澄雄先生(アジア歴史資料センターセンター長)に、今年のBAの日のテーマ「ビジネスアーカイブズと情報発信」に関する基調講演を高野明彦先生(国立情報学研究所コンテンツ科学研究系教授、東京大学大学院情報理工学系研究科教授)にお願いしました。

パネルディスカッションでは「デジタル時代におけるビジネスアーカイブズ」をテーマに石川敦子氏(㈱乃村工藝社)、佐藤朝美氏(㈱資生堂)、渡邉淳氏(セイコーミュージアム)の三人をパネリストにお招きし、高野先生にはモデレータをお願いしました。資料のデジタル化による積極的な情報発信は各社の事業に貢献するのはもちろんですが、情報発信がアーカイブズへの関心を高めると言う点も非常に重要です。
https://www.facebook.com/kigyoushiryou/posts/803890816400089
■(+α)1月の全史料協近畿部会(尼崎市総合文化センター7階 会議室)
「東京大学文書館における資料管理のとりくみについて:理論の理解と実践の試み」

これは7月のBAAでのセミナーを聞きつけた(!)全史料協関係者から、関西でも森本先生のお話が聞きたいということで実現した企画であると聞いています。コメンテータとして参加させていただきました。

記録資料整理における国際標準に関する理論(ICAがまとめたISAD(G)とオーストラリアで採用されて利用されているシリーズ・システム)と、東京大学文書館での実践(既に完結した歴史資料はISAD(G)で記述し、現在も作成され続けている大学法人文書に関してはシリーズ・システムに依拠して記述する)について詳しいお話をうかがいました。
http://jsai-kinki.com/blog-entry-66.html
https://www.facebook.com/AmagasakiMunicipalArchives/posts/827267230719049
企業で資料整理をする場合「なぜ国際標準が必要なのか」という疑問を持つ方も多いと思います。つい先日も「日本では今のところ、どの資料管理システム・ベンダーからも、アーカイブズ記述の国際標準に依拠したシステムは提供されていないんですよね」とお話したところ、ある企業資料館の館長さんから「いま使っているシステムで全然問題がない。国際標準でなくてもいいんじゃないの」という趣旨のコメントをいただきました。現在のシステムによって必要な資料を的確に探し出すことができる、満足できている場合、そして相応の投資をしている場合原価償却するまでにシステムを変えるといった必要性はもちろんないでしょう。

ただし、企業も政府もいずれ担当者は異動したり、退職したり・・・つまり変わります。文書作成者や作成者に近い人が資料管理をしている間はその文書に関するコンテクスト情報を得ることは難しくないかもしれませんが、アーカイブズの担当者が代替わりしていくうちにコンテクスト情報が失われていくのは避けられません。アーカイブズ資料が標準(規格)に則って記述されていれば、このような代替わりによっても、正確なコンテクスト情報を継承していくことができます(以上、森本先生の講演での説明を要約。http://www.slideshare.net/Business_Archives_Association/ss-50534474 スライド14)。ですから、システムの更新などの時期を迎えるならば、目録作成において標準という考え方を取り入れていくことを考えるのは好ましいことであると言えます。

そして、森本先生がもうひとつ強調していた「アーカイブズ資料は、資料の数だけ個性がある」から「ゆるやかにうけとめることがポイント」という点も重要です(前記スライド22)。アーカイブズはひとつとして同じものがありません。企業でも、同じ業種のアーカイブズであっても所蔵資料はまったく異なってきますし、編成(一般的な日本語に置き換えると「分類」)・記述も違ってくるのは避けられません。マニュアルがない、とも言えます。そのため所蔵資料を自らが分析して、編成(分類)、記述する必要が生じるわけで、そこが難しいところでもありますし、また面白いところでもあります。

 

■(+α)ICAソウル大会
そして今年は4年に一度のICA Congressがお隣韓国ソウルで9月に開催されます。私が関わるICASBAのセッション・プロポーザルが受理されたほか、加藤丈夫国立公文書館館長が「日本のアーカイブズの伝統をグローバル時代の新たな需要と調和させる:日本のビジネスアーカイブズに焦点をあてて」というタイトルでプレゼンテーションを行われるという発表がありました。
http://www.ica.org/sites/default/files/ICA%20Congress%20Seoul%202016%20accepted%20papers%20by%20TOPIC.pdf
http://www.ica.org/sites/default/files/ICA%20Congress%20Seoul%202016%20accepted%20papers%20by%20subID.pdf

加藤館長にはBAAの第2回ビジネスアーカイブズの日記念シンポジウム(2013年11月5日)で特別講演「企業が語り継ぐもの」を行っていただきました。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.432643056858202.1073741826.223260084463168&type=3

国立公文書館館長がビジネスアーカイブズをテーマに掲げて講演すると知り、たいへん驚きつつ、BAA関係者にとってはうれしい知らせでした。

 

■(+α)『レコード・マネジメント・ハンドブック:記録管理・アーカイブズ管理のための』翻訳プロジェクト
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784816926112

私も編訳者の一人として参加した翻訳プロジェクトの成果物『レコード・マネジメント・ハンドブック:記録管理・アーカイブズ管理のための』が来月中旬日外アソシエーツから刊行されます。先日無事校了を迎えました。

この本は今年度のBAAの活動とは直接の関係はありません。しかし校了を迎えたのを機に、もう少し長いスパンで振り返ってみると、これもBAAの活動に連なるものであるなぁ、といささか感慨深く感じています。

始まりは東日本大震災があった2011年。前々年から公益財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センターが準備を進めていたビジネス・アーカイブズ国際シンポジウム「ビジネス・アーカイブズの価値:企業史料活用の新たな潮流」(2011年5月11日)に、この年設立30周年にあたるBAAも共催者として、準備に関わってくださいました(国際アーカイブズ評議会企業労働アーカイブズ部会 (ICA/SBL)も共催)。
http://www.shibusawa.or.jp/center/network/01_icasbl_Tokyo.html

大震災のため一時は中止かとも思われました。しかし、海外のビジネスアーキビストの参加キャンセルも少数にとどまり、無事に開催できました。この時のプレゼンテーションを基に、主催者の公益財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センターは『世界のビジネス・アーカイブズ:企業価値の源泉』を編集し、2012年4月に日外アソシエーツから刊行することができました。
http://d.hatena.ne.jp/tobira/20120215/1329283710

本書刊行にあたっては日本のアーカイブズ界で活躍する方々に翻訳チームに参加してもらいました。英国国立公文書館のアレックス・リッチー氏による「ビジネス・アーカイブズに関する全国的戦略(イングランドおよびウェールズ)」を担当してくれたのが、学習院大学大学院人文科学研究科(当時)の森本祥子氏でした。またSBL議長でシンポジウム開催にリーダーシップを発揮してくれたフランスのサンゴバン社アーキビストであるディディエ・ボンデュー氏の部分を担当してくれたのが立教大学共生社会研究センターの平野泉氏。ボンデュー氏の章「フランスのビジネス・アーカイブズ、経営に役立つツールとして:サンゴバン社の例」の翻訳・編集にあたっては英語のみならずフランス語にも通じている方がどうしても必要で、平野さんはまさに適任でした。

この本の刊行もご縁となり、森本さんにはBAA編『企業アーカイブズの理論と実践』(2013年11月刊)第4章「機能としてのアーカイブズ」の執筆を担当していただきました。
http://www.baa.gr.jp/kankobutu.asp?NoteAID=32
http://www.amazon.co.jp/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%96%E3%82%BA%E3%81%AE%E7%90%86%E8%AB%96%E3%81%A8%E5%AE%9F%E8%B7%B5-%E4%BC%81%E6%A5%AD%E5%8F%B2%E6%96%99%E5%8D%94%E8%AD%B0%E4%BC%9A/dp/4863451768

一方、ちょうどこの時期(記録によると2013年11月13日)、日本アーカイブズ学会委員の平野さんから翌2014年年4月のアーカイブズ学会設立10周年記念大会企画研究会「私たちの『アーカイブズ学』をとらえ直す──批判・検証・展望」に森本さん、京都大学文書館の坂口貴弘さんとともに発表できますかという打診を受けました。

日本アーカイブズ学会2014年度大会(設立10周年記念大会)2014年4月20日(日)学習院大学
http://www.jsas.info/modules/taikai02/index.php?id=12

この時の発表は『アーカイブズ学研究』21号(2014年12月刊)に収録されています。
http://www.jsas.info/modules/publications01/index.php?id=35

この企画研究会や当時の出版状況を見渡す中で、アーカイブズ管理の実務をしっかり支えるテキストが必要なのではないか、という意識が高まり、それが『レコード・マネジメント・ハンドブック:記録管理・アーカイブズ管理のための』翻訳プロジェクトを立ち上げる動機ともなりました。

2011年の国際シンポジウム以前のBAAのアカデミック・コミュニティとの関わりは、もっぱら経済史・経営史研究者に限られていたように思います。ですので、過去5年の間にアーカイブズ学研究者とのつながりを深めたことは特筆すべきことかと思います。理論にガチガチにしばられて自由な発想でアーカイブズを運営できないのは論外でしょう。しかし、確固とした理論・研究活動から栄養をいただいていくことは、企業アーカイブズのレベルアップ、成長に不可欠であると思います。

『レコード・マネジメント・ハンドブック:記録管理・アーカイブズ管理のための』は組織における文書管理・記録管理・アーカイブズ管理のための包括的な手引書です。編訳者としては、企業の方々にもぜひ参照していただきたいと希望しています。

最後にBAAの話題に戻ると、今年が創立35周年ということは2021年の40周年(anniversaty!)まであと5年です。5年後、今回の翻訳プロジェクトに加わってくれた30代の若手アーキビスト・研究者がさらに活躍している姿は目に浮かびます。5年後のBAA、5年後のビジネスアーカイブズ、5年後の自分は一体はどうなっているでしょう。私個人としては、研鑽を怠らず、科学と技術の発展に取り残されないよう心がけるばかりです・・・

2015-11-26 13.06.41
広島地方見学研究会(11/26-27) にて

 

「ディスカバリー」をきっかけに考えたこと

12 木曜日 5月 2016

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Archivematica, Archon, AtoM, オープンソース, ディスカバリー, Calm, Discovery, 記述, 記述標準, ICA, ISAD(G), NRA, Omeka, TNA

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■TNAのディスカバリー・サービス導入

10年と少し前にビジネス・アーカイブズに関わる仕事を始めて以来、イギリス国立公文書館(TNA)のNRA(National Register of Archives、特にビジネス・レコード・インデックス)とアーカイブズ機関情報に関するARCHONディレクトリ、そしてアメリカ・アーキビスト協会(SAA)の企業団体アーカイブズ・ディレクトリは、私にとってずっと、ビジネス関連レコード/アーカイブズ(資料と機関)所在情報のデータベース化・組織化のベンチマークとなってきました。NRAに関しては、3年前に森本祥子氏による日本語文献が公刊されて、イギリスにおけるアーカイブズ所在情報組織化の歴史的な経緯の理解が格段に進んだと思います。その後国立公文書館の渡辺悦子氏によるイギリスでのアーカイブズ機関の連携に関する論文が公開され、TNAが管理する複数の検索システムやデータベースの統合による新たなサービス「ディスカバリー」の紹介も進みました。(TNAではディスカバリー・サービスの提供開始とともに、個々の検索サービスの提供は停止したため、以下ではウェブアーカイブズからのスナップショットを記載しておきます。)

【TNA: NRAディレクトリのスナップショット(2013年9月20日)】
http://webarchive.nationalarchives.gov.uk/20130920012334/http://www.nationalarchives.gov.uk/nra/default.asp

【TNA: ARCHONディレクトリのスナップショット(2008年1月7日)】
http://webarchive.nationalarchives.gov.uk/20080108014935/nationalarchives.gov.uk/archon/

【SAA: 北米における企業団体アーカイブズ機関ディレクトリ】
http://www2.archivists.org/groups/business-archives-section/directory-of-corporate-archives-in-the-united-states-and-canada-introduction#.VzKBh9KLTcs

【TNA: Historical Manuscripts Commission】
http://www.nationalarchives.gov.uk/archives-sector/hmc.htm


【Royal Commission on Historical Manuscripts(1869年設置)についての日本語文献】
ノーマン ジェイムズ. 森本 祥子. 翻訳. イギリスにおける民間アーカイブズ : その保存へのとりくみ. アーカイブズ学研究 / 日本アーカイブズ学会 編.. (19):2013.11. 70-87 ISSN 1349-578X
https://ndlopac.ndl.go.jp/F/?func=full-set-set&set_number=852174&set_entry=000001&format=999

【TNA: ディスカバリー】
http://www.nationalarchives.gov.uk/about/our-role/plans-policies-performance-and-projects/our-projects/discovery/

http://discovery.nationalarchives.gov.uk/

【TNAディスカバリーについての日本語文献】
渡辺 悦子. イギリス国立公文書館の連携事業. アーカイブズ / 国立公文書館 編.. (54):2014.10. 50-60 ISSN 1348-3307
https://ndlopac.ndl.go.jp/F/?func=full-set-set&set_number=853312&set_entry=000001&format=999
(本文PDF)
http://www.archives.go.jp/publication/archives/wp-content/uploads/2015/03/acv_54_p50.pdf


さらに、昨年(2015年)10月に福岡で開催された国際アーカイブズ評議会東アジア地域支部(EASTICA)総会・セミナーにはTNA商務・デジタル関係担当ディレクターのメアリー・グレッドヒル氏が参加、ディスカバリーに関する詳しい説明もありました。

【「英国国立公文書館におけるボーンデジタル記録管理の課題」】
メアリー・グレッドヒル(英国国立公文書館商務・デジタル関係担当ディレクター)
(要旨・本文PDF)
http://www.archives.go.jp/news/pdf/151106gledhill_ja.pdf
http://www.archives.go.jp/news/20151106.html

※関連文献として下記も上げておきたいです。
 齋藤歩(学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻博士後期課程)
 「アーカイブズのデジタル化がめざすもの」(2016年1月5日)
 http://www.ameet.jp/digital-archives/digital-archives_20160105/

TNAの2015年11月4日付ブログ記事によると、この時点でディスカバリーはTNAと英国国内2500のアーカイブズ機関が所蔵する記録に関する3,300万件の記述へのアクセスを提供しています。

【More comprehensive Discovery】
http://blog.nationalarchives.gov.uk/blog/comprehensive-discovery/

TNAの新サービスを初めて耳にした当初(2012~3年頃)は、それはアーカイブズに関わる複数のデータベースを横断検索するシステムで、”Discovery”なる名称は単なる固有名詞だろうと素朴に受けとったものでした。しかし、どうももやもやしたものを感じたまま、「ディスカバリー」がずっと気になっていました。

 

■図書館界での「ウェブスケールディスカバリー」に触れて

そこで、思い立って手にとってみたのが『図書館を変える!ウェブスケールディスカバリー入門』です。これは大学図書館(佛教大学図書館)に勤務する著者が「ウェブスケールディスカバリー」と呼ばれるサービスを日本で初めて導入した事例を詳しく解説紹介した本です。

飯野勝則 著. 図書館を変える!ウェブスケールディスカバリー入門. ネットアドバンス ; 出版ニュース社 (発売), 2016.1. 270p ; ISBN 978-4-7852-0156-2 :
https://ndlopac.ndl.go.jp/F/?func=full-set-set&set_number=971079&set_entry=000001&format=040

http://www.amazon.co.jp/%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E3%82%92%E5%A4%89%E3%81%88%E3%82%8B-%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%90%E3%83%AA%E3%83%BC%E5%85%A5%E9%96%80-%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B8%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E9%A3%AF%E9%87%8E%E5%8B%9D%E5%89%87/dp/4785201568

本書によると、図書館業界における「ディスカバリーサービス」とは、電子コンテンツが増大するなか、「紙」と「電子」の多様なコンテンツを一元的に管理し提供するために生まれた新しいOPAC、ということです。と言いつつ、TNAのディスカバリー(Discovery=常に大文字のDで始まる名称)と図書館界のディスカバリーサービスの関係は今一つはっきりとはしません。”資料利用者の利便性を高めるために、発達しつつあるテクノロジーを使って実現した、より高度な検索サービス”というほどの共通項なのかなぁ・・・と思いつつ本書をひも解いてみたところ、この問題とは別な部分に目が釘付けとなりました!

 

それは本書が「日本化」と呼ぶ取り組みです。「日本化」は本書のテーマそのものです。どう言うことかというと、ウェブスケールディスカバリーサービスを提供するベンダーは本書執筆時点では四つ、すべて海外のベンダーでした(OCLCのWorldCat Local、ProQuestのSummon、EBSCOのEBSCO Discovery Central、Ex LibrisのPrimo Central、同書35ページ)。佛教大学図書館ではこの4者のうち、ProQuestのSummonを日本で初めて導入、そしてローカラズ(日本化)=日本語に対応させることに取り組みました。(著者は日本化には二つの側面、一つはシステムの日本語化であり、もうひとつはコンテンツの日本化=すなわち日本語コンテンツを増やすことであると説明しています。同書99ページ)

一方、図書館のシステムはどうかというと、多くは国内ベンダーによって提供されているようです。例えば、ブログ「よしなしごと」(2016年1月11日)によると、国立大学法人26校の図書館システムのベンダーは2016年には、NTTデータ九州、富士通、NEC、リコー、日本事務機、丸善・京セラなどの国内企業です。

国立大学法人の図書館システム(2016)
http://otani0083.hatenablog.com/entry/2016/01/11/182900



■アーカイブズ機関の資料管理システム/ソフトウェア

翻ってアーカイブズに関わるシステムの状況はというと・・・。私が知るかぎり、日本国内の企業の資料室(アーカイブズ)で、アーカイブズ専用システム(ここで「専用」として念頭に置いているのは、アーカイブズの原理すなわち出所に基づく編成・記述という考え方を採用したものです)を利用しているという事例を耳にしたことはなく、図書館や博物館向けの資料管理システム、あるいは社史編纂のための年表作成ツールとして開発されたシステムを資料登録管理のために利用しているという例がほとんどです。エクセルやファイルメーカーといった汎用の表計算ソフトやデータベース・ソフトウエアで一から作り上げる、という方法をとっているところも多いと思います。

 

【イギリスの例:Calm】

そこで海外に目を向けるとどうでしょうか。イギリスの場合、アーカイブズ機関の多くが利用するAxiell ALM社提供のプロプライエタリなシステム、Calmがあります。自治体や大学アーカイブズに加え、イングランド銀行、HSBC、ガーディアン、マークス&スペンサー、ユニリーバ社、ウェルカム財団といった企業・団体アーカイブズでもCalmは利用されています。ユーザ機関は400を超えます。

Calmの特徴は ISAD (G)、EAD、EAC、ISAAR (CPF)、OAI-PMH、RDF、SPECTRUMといった国際標準に準拠したつくりになっており、アーカイブズ資料の持つさまざまな階層性をシステム上に再現し、コンテクスト情報を提供できる点にあります。画像ビュー、典拠ファイル(名称、場所、主題、事項、事件、期間)、主題シソーラス、貸し出し管理、修復状況管理、アクセス提供(CalmView)、アクセス権限管理、分類、検索、EADインポート/エクスポート、その他の機能を備えています。

(Axiell ALM社)
http://alm.axiell.com/solutions

(ユーザ一覧)
http://alm.axiell.com/customers/client-list?field_country_tid=17&field_collection_type_tid=All&field_product_tid=9&items_per_page=500

(Calmに関する説明:PDF)
http://alm.axiell.com/sites/default/files/Calm%20ALM.pdf

Calmを利用しているイギリスのアーカイブズ機関は非常に多いのですが、ロンドンの著名な銀行アーカイブズのアーキビストに直接聞いた話によると、同行アーカイブズではファイルメーカーを利用しているということでした。このようなアーカイブズはもちろん他にも存在するでしょう。

【韓国での取り組み:オープンソース・ソフトウェア】

韓国での記録管理学・アーカイブズ学教育の中心機関のひとつ、韓国国家記録研究院副院長であるイム・ジンヒ氏の講演(2014年6月21日、学習院大学にて)は、オープンソース・ソフトウェアを利用して民間アーカイブズを普及するという活動に関するものでした。わたしもこの講演会に参加しました。その講演内容は、学習院大学大学院アーカイブズ学専攻が発行する年報『GCAS Report』第4号(2015年2月28日発行)に全文収録されています。

任 眞嬉. 元 ナミ. 訳. 金 甫榮. 訳. 講演 韓国におけるオープンソース・ソフトウェア記録システムの普及活動 : 〈記録文化〉を浸透させるために. GCAS report = 学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻研究年報 / 学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻 編.. (4):2015. 6-22 ISSN 2186-8778
https://ndlopac.ndl.go.jp/F/?func=full-set-set&set_number=976026&set_entry=000001&format=999
http://www.gakushuin.ac.jp/univ/g-hum/arch/02gcas-report.html

韓国では日本より10年早い1999年に公文書管理に関する法律「公共機関の記録物管理に関する法律」が制定され、これを嚆矢として公共部門における電子記録管理、アーカイブズ管理が飛躍的に進展したのでした。イム先生の講演によると、近年アーキビストたちは民間におけるアーカイブズ構築に着手し、その中でシステム構築の方向性が議論になったといいます。

「民間アーカイブズ(※)では、システムを構築するにあたって、さまざまな困難に直面していました。サーバーの確保やソフトウェア購入費用などは、民間アーカイブズにとって大きな負担でした。システムを構築するとしても、持続的に維持することが可能なのかという問題がありました。また、記録システムをまったく扱ったことのないアーキビストが、備えていなければならない機能要件を整理することは不可能でした。私は多くの民間アーカイブズをコンサルティングする中で、このようなシステムの問題の存在を知ることができました。

結局、私は2013年春、一つの決心をします。オープンソース・ソフトウェアを利用して記録システムを構築してみようということでした。そうすればまず、システムの構築費用は安くすむでしょう。そして、多くのアーカイブズが共通のオープンソース・ソフトウェアを使うことによって、技術的な問題を共同で解決していくことも可能となります。さらに、アーキビストたちがシステムを経験することによって、今後、高度なシステムを設計する能力を身につけることもできるでしょう。」(8ページ)

(※)ここで言う民間アーカイブズとは、欧米でcommunity archivesと呼ばれるようなものと考えられます。日本で「民間」というと企業なども含まれることが多いのですが、ここでは企業のアーカイブズは想定されていないようです。

イム先生たちは、記録の登録と記述のためには「AtoM」、長期保存には「Archivematica」、「基本目録の管理とオンライン展示のためには「Omeka」をオープンソース・ソフトウェアとして選びました(9ページ)。(AtoMに関しては後述)

 

■オープンソース・ソフトウェア

日本でもオープンソース・ソフトウェアの利用の試みの事例があります。2011年7月11日に開催された全史料協(全国歴史資料保存利用機関連絡協議会)近畿部会のテーマは「オープンソースのアーカイブ資料管理情報システム:日本語化の取り組みと試用実践の一例」で、講師は京都大学研究資源アーカイブ・デジタルコレクションアーキビストの五島敏芳氏でした。最初に五島氏の講演があり、続いてワークショップ形式でオープンソース・ソフトウェア(Archon)を用いて実際に参加者が資料登録を行いました。
http://www.jsai.jp/iinkai/kinki/e20110702.html
http://togetter.com/li/974084

五島先生の講演でも触れられていたように、当時はArchonのほか、Archivists’Toolkit(AT)やICA-AtoMなどのオープンソース・ソフトウェアが利用可能でした。その後2013年の9月に、ArchonとATを統合し新たな機能を付加したArchivesSpaceがリリースされています。ArchivesSpaceはウェブ上の次世代アーカイブズ情報管理システムであり、紙・電子・紙と電子のハイブリッド状態での記録の収集・記述・編成、典拠と権利の管理、レファレンス・サービスのための機能を備えています。加えてオーサリング・ツールの機能では、EAD, MARCXML, MODS, Dublin Core, and METS 各フォーマットでメタデータを生成することもできます。
http://www.archivesspace.org/overview
http://archivesspace.org/programtimeline

一方、イム先生の講演で言及されていたAtoMは、もともとはユネスコの資金を得て、2005年から国際アーカイブズ評議会(ICA)がカナダのArtefactual社と共同で開発、無償で提供してきたアーカイブズの記述とその目録のオンライン公開用ソフトウェアです(多言語対応)。当初はICA-AtoMというブランド名でした。しかしその後Artefactual社は独自に開発を進め、ICA-AtoMとAtoMという二つのバージョンが併存する状況となりました。結局、2015年以降ICM-AtoMの開発・バージョンアップは停止し、現在はArtefactual社のAtoMのみが継続的に更新されています。AtoMはICAが定めたアーカイブズに関わる国際標準(ISAD(G)等)に完全に準拠したソフトウェアです。
http://www.ica.org/en/ica-statement-access-memory-atom-0
https://www.artefactual.com/ica-publishes-position-statement-on-atom/

■おわりに

ここまでややまとまりなく書いてきましたが、私がささやかながら主張したいことは、事業活動の証拠と組織の記憶の保存・継承・活用のためのアーカイブズ管理を支えるシステムやソフトウェアの開発がこれからもっともっと盛んになってほしい、ということです。その際、記録資料の特性を最もよく活かすような資料の組織化・公開を可能にするものが必要だろう、ということです。オープンソースでもよいですし、プロプライエタリのものでもよいです。使いやすく、安定したものがいいですね。場合によっては海外製品のローカライズ(日本化)であってもよいのでは。TNAのディスカバリーは3,300万件のアーカイブズ記述情報へのアクセスを提供しているそうです。記述情報(つまりメタデータ)のデジタルなシステムへの登録を増やし、アクセスの対象を広げるためにも、使いやすいシステムが必要であろう、と考えた次第です。

20140621gakushuin

 

 

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