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松崎裕子「史料保存問題 いわて高等教育コンソーシアム・国文学研究資料館合同講演会『なぜアーカイブズは必要なのか : 文書保存の意義と実態』に参加して」本文PDF

23 金曜日 10月 2015

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地方史研究協議会会誌『地方史研究』第64巻2号(2014年4月)に掲載された「史料保存問題 いわて高等教育コンソーシアム・国文学研究資料館合同講演会『なぜアーカイブズは必要なのか : 文書保存の意義と実態』に参加して」の本文PDFを掲載します。

本文PDF

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[書誌情報]

タイトル:史料保存問題 いわて高等教育コンソーシアム・国文学研究資料館合同講演会「なぜアーカイブズは必要なのか : 文書保存の意義と実態」に参加して
著者:松崎 裕子
雑誌名:地方史研究 / 地方史研究協議会 [編]
出版者等:地方史研究協議会
巻号・年月日:第64巻2号・2014年4月
ページ:52-57
ISSN:0577-7542

[参考]

Cinii articles:
http://ci.nii.ac.jp/naid/40020063513

NDL-OPAC:
https://ndlopac.ndl.go.jp/F/?func=find-c&=&=&=&=&=&=&ccl_term=001%20%3D%20025456307&adjacent=N&x=0&y=0&con_lng=jpn&pds_handle=&pds_handle=

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2013年11月17日(日)に盛岡で開催された講演会は、わたしがこのブログを始めるきっかけになった思い出深いイベントです。当時、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)関東部会運営委員を務めておられた、地方自治体アーカイブズの方から紹介された講演会だったと記憶しています。企業アーカイブズの草分けとも言える虎屋文庫で長年アーキビストとして活躍してこられた青木直己さんの講演に加え、日本経済新聞社でアーカイブズに関する取材・執筆を重ねてこられた松岡資明さんもお話をなさるということで、生まれて初めて盛岡に足をのばしてみることにしました。この日のプログラムは、2013年11月20日のブログ記事に書きました。

わたしは同協議会の会員ではないのですが、講演会会場で前出の全史料協関東部会運営委員の方から『地方史研究』という雑誌に参加記を、と依頼され、お断りしようとしたのですが、押し切られてしまい、書くことになったのが上の一文です。

どのお話もよく準備され、この日のテーマである「なぜアーカイブズは必要なのか」に真正面から取り組んだ講演でした。とりわけ、加藤聖文先生のお話が実に実に興味深いものでした。加藤先生は、わたしが2004年に国文学研究資料館主催のアーカイブズ・カレッジ長期コースを受講した時の先生のお一人です。また、日本アーカイブズ学会の2008年~2009年度の委員の選挙の際に同時に選出されて、2年ほど同学会運営のための委員会でご一緒したこともありました。わたしは、2011年に開催予定の企業資料関係の国際シンポジウム事務局に専念しなくてはいけない、という事情もあったため、同学会委員は1期のみで退任、加藤先生はその後事務局長も担当されて、たいへんお忙しくなさっているご様子でした。加藤先生は戦前の満州関係を中心に数多くの研究論文・著書を執筆されており、アーカイブズ・カレッジの講師陣の中心人物であったにもかかわらず、歴史家、という印象がわたしにとってはたいへん強い方でした。歴史家が歴史資料の保存・利用提供に対して熱心に取り組むのは当然であり、それ(歴史家によるアーカイブズ保存利用活動)は、当時(そして今も)わたしが仕事の中で普及しようとしてきた「企業のアーカイブズは歴史研究のためだけに保存され、利用されるのではない。企業自身にとっても知的資源・資産である」という考え方とはちょっとギャップがあるように思え、「歴史家」のアーカイブズ論にはあまり魅力を感じない状況でした。さらに、一般論として、日本の歴史研究者は資料情報の組織化とその共有には、あまり熱心でない、というようなネガティブなイメージも持っていました。

そして、盛岡での講演を聞いたのでした。加藤先生のお話は、歴史研究のための資料探索のために各地の公文書館を利用するなかで明らかになった、現在の公文書管理体制の不備(歴史家にとっての不便である以上に、現場の職員、利用を求める市民にとっての不便)をご自分の経験に基づいて、具体的に訴えるものでした。そして、これをどうにかして他の人々にも伝えたい、そういう気持ちをわたしの中にもたらしました。結果、このブログ「アーカイブズ工房」の開設に至った、という次第です。

講演後、加藤先生には講演内容をぜひ文章として発表してほしい、と思っていました。そしてようやく今年春、国文学研究資料館の紀要に、盛岡での講演に関連する(講演と同一ではなく、さらに議論を深化させた)論稿「市民社会における『個人情報』保護のあり方:公開の理念とアーキビストの役割」が収録されました。この論文は同館の機関リポジトリに収められ、現在はインターネット上で自由に読むことができます。『地方史研究』掲載の拙稿は、加藤先生ご自身によって書かれたものに遠く及びませんが、わたしにとっては忘れることのできない大切な記録です。

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2015-10-13 14.34.46

『vanitas:ファッションの批評誌』No.004「特集:アーカイブの創造性」(2015年9月)目次

08 木曜日 10月 2015

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編集者兼アーカイブズ学研究者である齋藤歩さんが『vanitas:ファッションの批評誌』No.004「特集:アーカイブの創造性」に「アーカイブズはなぜ斯くもわかりにくいのか:ヨーロピアナ・ファッションから学ぶこと」を寄稿されています。筒井直子さんの「ファッション・アーカイブとその特殊性につ いて:美術館・博物館と企業アーカイブを事例に」、Europeana Fashion IPR Guidelinesの翻訳と併せ、アーカイブズとデジタル・アーカイブ関係に関心を持つ方々にはお勧めの1冊です。目次を紹介します。

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[書誌情報]

タイトル:vanitas:ファッションの批評誌

著者:蘆田裕史、水野大二郎 編著

出版年月日:2015年9月25日

出版社:株式会社アダチプレス

ISBN:978-4-908251-01-6

カーリル:https://calil.jp/book/4908251010

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[目次]

forward

interview

スズキタカユキ
石関亮 南目美輝
ドミニク・チェン

paper

筒井直子
ファッション・アーカイブとその特殊性について:美術館・博物館と企業アーカイブを事例に

齋藤歩
アーカイブズはなぜ斯くもわかりにくいのか:ヨーロピアナ・ファッションから学ぶこと

Europeana Fashion IPR Guidelines
翻訳:水野祐/高橋由佳/岩倉悠子

筧菜奈子
密やかに生成する文様:現代ファッションにおける日本の文様の行方

松永伸司
なにがおしゃれなのか:ファッションの日常美学

international perspective

〈研究機関紹介〉
オランダ・ティルブルフ テキスタイル・ミュージアム

〈展覧会紹介〉
危険な関係:18世紀におけるファッションとインテリア
ファッションにおけるクィアの歴史:クローゼットからキャットウォークまで
アントワープに着陸したファッション2001
シック・クリックス:現代ファッション写真における創造性と商業性

〈書籍紹介〉
マリー・リーゲルス・メルキオール、ビルギッタ・スヴェンソン(編)
『ファッションと美術館:理論と実践』(2014年)

キム・K・P・ジョンソン、スーザン・J・トーントレ、ジョアン・B・アイシャー(編著)
『ファッション・ファウンデーション:身体と衣服についての言説史』(2003年)

キャロライン・エバンス
『メカニカル・スマイル:モダニズムとフランス/アメリカにおける最初のファッションショー(1900-1929)』(2013年)

ピーター・マクニール、サンダ・ミラーズ
『ファッションについて書くこと、批評すること:その歴史、理論、実践』(2014年)

〈研究者紹介〉
インタビュー ティモ・リサネン

critical essay

高橋梨理世
「名前がないブランド」の可能性:エレガンスとコンセプチュアルを巡って

柴田英里
ドラッグ&ドラッグ:あらかじめ封印された「女の子カルチャー」と戦うための戦闘服としてのMILK

NOSIGNER/太刀川英輔
(YET)UNDESIGNED DESIGN:デザインしないデザイン

山内朋樹
イメージをまとわせる:植物のコラージュがかたちづくる亜生態系

afterword

2015-06-14 17.23.47

松崎裕子「近年の海外における企業アーカイブズをめぐる動向と企業史料専門アーキビスト」(2011年)本文

05 月曜日 10月 2015

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ARMA, BAA, business archives

企業史料協議会の会誌『企業と史料』第7集「創立30周年特集」号(2011年5月発行)に掲載の拙稿「近年の海外における企業アーカイブズをめぐる動向と企業史料専門アーキビスト」の本文PDFをこのブログにて公開させていただきます。

本文

[書誌情報]

タイトル:近年の海外における企業アーカイブズをめぐる動向と企業史料専門アーキビスト
著者:松崎 裕子
出版年:2011-05
掲載誌名:企業と史料 / 企業史料協議会 編
掲載巻:7
掲載ページ:155~172

NDL-OPAC
Cinii

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掲載号(『企業と史料』第7集)の目次は下記の通りです。

<目次>

第1部企業史料協議会創立30周年記念特集

創立30周年を迎えて・・・・・・・・・・会 長 歌田 勝弘
私と企業史料協議会の30年(回顧談)・・・・・・・・・・副会長 中村 頼道
企業史料協議会の発足と企業博物館活動への取組み・・・・・・・・・・副会長 末吉 哲郎
企業史料協議会の設立前後と中国档案学会との学術交流・・・・・・・・・・副会長 河上 増雄
企業史料協議会活動の回顧(2003~2009) ・・・・・・・・・・前事務局長 入野 弘道

企業史料協議会の今後のあり方を考える(アンケート調査)
(1)専門家に訊く(回答)
小川千代子 橘川武郎 小谷允志 佐々木聡 田付茉莉子 松岡資明 山崎久道
(50音順)
(2)会員企業意見の集約(回答 21社)
企業史料協議会30年 略年表

第2部「企業の歴史と日本の近代化」を会員企業の史料活動に見る

A 企業アーカイブズ
花王        上田 一夫
アサヒビール    浮田 清孝
キヤノン      奥村 健治

B 会社史編纂
ダイキン工業    柚木 俊弘
味の素       竹内 良夫
清水建設(転載)  畑田 尚子

C 企業博物館
資生堂       岡田 恭子
パナソニック    杉谷 弘
トヨタ自動車    川本 常敬
帝国データバンク  高津  隆
山口銀行      田嶋 光輝

第3部  調査・論説

竹中大工道具館における社会活動の理念と実践・・・・・・・・・・・・・渡邉  晶
「会社史セミナー」事例報告より(会社史70点制作方法比較)・・・・・・ 松田 正人
企業アーカイブズ試論  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大谷 明史
近年の海外における企業アーカイブズをめぐる動向と企業史料専門アーキビスト
・・・・・・・・・・・松崎 裕子

資 料
企業史料協議会活動年表(2002~2010年度)/会則/2010年度役員/
『企業と史料』既刊総目次

2011年5月23日発行 B5判 185頁

頒価5000円(送料込、会員割引あり)

2008-01-15 12.17.26

ARMA東京支部総会併設セミナー(2015年7月15日開催)講演録を読んで

25 金曜日 9月 2015

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ARMA

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ARMA東京支部の会誌『RIM Journal』第29号に掲載の2015年度の総会併設セミナー講演録を読みました。同号の目次は、ARMA東京支部理事のわたなべ健さんがブログで紹介されています。

講演者は弁護士の牧野二郎先生、タイトルは「電子記録化を成功させるための新たなポイント:ファースト・ワンマイル問題」です。

講演録によると、講演ではまず電子化に関する政府の基本政策を確認しています。平成25(2013)年6月14日に閣議決定され、昨年(2014年)6月24日の閣議で改定され、さらに本年(2015年)6月30日の閣議で改定された「世界最先端IT国家創造宣言」です。講演では最初の宣言の「Ⅴ. 戦略の推進体制・推進方策 3.規制改革と環境整備」 の次の部分が講演スライド3に引用されています。

「現行制度は、インターネット普及以前のアナログ社会を前提に構築されたものである ため、時代の変化に合わせ、デジタル社会を前提とした改革を実行する必要がある。こ のため、IT の利活用を阻害している原因を明確にした上で、優先度の高い課題(規制・ 制度等)を解決するために、一点突破の精神で、集中的に取り組むこととする 」

このような基本政策の下、現在進行中の改革として、下の8つの点を上げています。(講演録27ページ掲載のスライド4参照)

1.会社法改正(平成26年改正・27年5月1日施行)

2.平成27年度税制改正大綱(平成27年1月14日閣議決定)における、これまでの税関係書類の電子化制限(3万円まで)の撤廃、契約書、領収書等のスキャナデータの保存推進など

3.電子帳簿保存法関連法令(施行規則)改正、電子帳簿保存法施行規則3条5項ロ、その他の改正等

4.番号法(マイナンバー法)運用開始

5.個人情報保護法ガイドライン(経済産業省)改定(平成26年12月12日)

6.個人情報が「営業秘密」に該当する方向性の提示と不正競争防止法関係で「営業秘密管理指針」が改定(平成27年1月28日全部改定)

7.個人情報保護法の改正案の閣議決定(3月10日)、個人情報の明確化と、個人データの匿名化による本格的データ解析、データ利用の推進等の動き

8.不正競争防止法改正

各項目の詳細な説明に続き、電子帳簿保存法施行規則改正のポイントとして財務省令36号に定められている適正事務処理要件を上げています。

四  当該国税関係書類の作成又は受領から当該国税関係書類に係る記録事項の入力までの各事務について、その適正な実施を確保するために必要なものとして次に掲げる事項に関する規程を定めるとともに、これに基づき当該各事務を処理すること。
イ 相互に関連する当該各事務について、それぞれ別の者が行う体制
ロ 当該各事務に係る処理の内容を確認するための定期的な検査を行う体制及び手続
ハ 当該各事務に係る処理に不備があると認められた場合において、その報告、原因究明及び改善のための方策の検討を行う体制

この適正事務処理要件とは「何を対象とする、どのような体制か」(講演録35ページ、スライド6参照)の説明に続き、会社法改正の概要、会社法改正のポイントが上げられています。詳しい紹介は省きます。ここまでがいわば本講演のある意味ではイントロダクションにあたります。

そこで、講演のメインテーマである「ファースト・ワンマイル問題」とは何か、です。講演録39ページ、スライド12が端的に語っています。それは「制限・障壁はなくなったのに企業内デジタル化が進まない!!」ということでしょう(講演を実際に聞いていないので、確言はできないのですが、講演録を読んで行くとそういうことだと思われます)。そして、先に上げた財務省令36号で電子帳簿保存に関して紙ではなくデジタル化が容認され、「9月30日からは申請するとすべてデジタル化が出来ます。デジタル化して、そして検査をしてから紙を捨てる。このルールだけ守って行けばデジタルデータ化文書、PDF等で一気通関システムが完成するはず」(40ページ)ですが、果たしてこのシステムがうまく動くのか、と言う点が問題視されています。

さらに講演ではこのファースト・ワンマイルを「システム段取り」とも表現し、次のような指摘が続きます。「アウトプットに必要な情報が適格にインプットされていますか、要するにこのシステムで何が実現出来るかということを分かっていますか」、「必要な情報を適格に入れるためには、客観的な事実、正確な把握、正確な標記、正確なインプットが全て必要です。要するに正しい事実を把握しない限り正しいインプットなど無いわけです」、「だからそういう意味で何を入れなければいけないのか真剣に考えなければいけません」(以上、講演録41ページ)。あるいは講演者の事務所ではデータを読み込む前に月別の識別用紙を用いて、データをグループ化するなどの下処理を施すことによってデジタルデータの整理が簡単になった、という例も上げられています(42ページ)。

以上、A4判二段組み22ページにわたる講演をひと言でまとめると、本講演の趣旨は「システムの段取り」を徹底的にできるかどうかが、ファースト・ワンマイル問題の核心部分であり、これがうまくいくことが徹底したIT化、合理化につながり、企業の競争力を生みだすことを可能にする、というものです。

本講演は最近の国のIT政策とそれに関わる具体的な改革内容を知るにはとても有用です。一方、講演者が「システムの段取り」と表現している部分は、レコードマネジメントの側から(あるいはレコードマネジメント的な発想で)言うと、レコード(記録)をどのように分類し、評価選別し、システムに取り込み、検索手段をどうするのか、あるいはどのようなメタデータを用いるのか、といった記録管理システムの設計の話をなさっているものと思います。このことは、見方を変えると、レコードマネジメントの概念はまだまだ一般化していないのであり、それら(分類、評価選別、システムへの取り込み、検索、メタデータ・・・といった語彙)は法律の専門家にとってさえも縁遠いことを示唆しているように思われました。

しかし紙にしろ、デジタルにしろ、レコード(記録)を真に効率的、効果的に管理するには、適切な分類、評価選別、システムへの取り込み、メタデータの付与、検索手段の提供、といったレコードマネジメントのexpertise(専門知識、技術・技能)が必要不可欠です。レコードマネジメントの言葉が、法律の専門家、ITの専門家、あるいは経営者、ベンダー・・・に共有される方向に進んでほしいと思います。

世界最先端IT国家創造をめざすなら、なおさら、です。

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【この定期刊行物の書誌情報に関して(再掲です)】

HPではRecords Information Journal (略称 「RIMジャーナル」)とあります。
http://www.arma-tokyo.org/rimjournal.htm

NDLの書誌情報では
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008915828-00

タイトル:Records & information management journal : the information management professionals
別タイトル:レコード&インフォメーションマネジメントジャーナル
別タイトル:RIM journal
別タイトル:Records and information management journal
別タイトル:RIMジャーナル

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2008-02-27 06.23.07

ポール・コンウェイによる『21世紀のアーカイブズを思い描く』(アン・ギリランド著、2014年)書評(2015年)

08 火曜日 9月 2015

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7月10日に開催された企業史料協議会主催の資料管理セミナーで司会をいたしました。テーマは「資料活用のための目録作成のヒント~資生堂企業資料館での資料整理を事例として~」でした。アーカイブズ資料の記述・目録の国際標準(ISAD(G)、オーストラリア・シリーズ・システム)の基本的なお話を東京大学文書館の森本祥子先生に、国際標準を用いて資生堂企業資料館所蔵資料の目録作成(記述)を行った実践例を学習院大学大学院アーカイブズ学専攻博士後期課程の清水ふさ子さんにご講演いただきました。

その後、近年の記述標準の動向について勉強しようと思い、積読のままであった、アン・J・ギリランド『21世紀のアーカイブズを思い描く』を読み始めたところ、米国アーキビスト協会(SAA)の会誌「アメリカン・アーキビスト」に同書の書評が掲載されました。評者はミシガン大学情報学大学院のポール・コンウェイ Paul Conway氏。分量は3ページです。まずはこの書評で『21世紀のアーカイブズを思い描く』の概要を押さえておくとよいかな、と思いました。

Paul Conway (2015) Conceptualizing 21st-Century Archives. The American Archivist: Spring/Summer 2015, Vol. 78, No. 1, pp. 262-265.
doi: http://dx.doi.org/10.17723/0360-9081.78.1.262

http://americanarchivist.org/doi/abs/10.17723/0360-9081.78.1.262
http://americanarchivist.org/doi/full/10.17723/0360-9081.78.1.262
http://americanarchivist.org/doi/pdf/10.17723/0360-9081.78.1.262

※「アメリカン・アーキビスト」誌はオープン・アクセス・ジャーナルです。ただし最新号へのアクセスは会員限定。年2回発行なので、6カ月間は非会員は紙の雑誌を利用することになります。
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《ポール・コンウェイによるアン・ギリランド『21世紀のアーカイブズを思い描く』レビューの概要》

評者(コンウェイ)はまず次のような言葉で始めます。

「革命の渦中にあって、革命に感情的・知的な距離をとり続けるのは、心乱れることである」

‘It is mind-boggling to maintain emotional and intellectual distance while living through a revolution.’(262頁)

ここで言う革命とは、情報哲学者ルチアーノ・フロリディ(Luciano Floridi, ローマ出身、オックスフォード大学情報哲学・倫理学教授)が主張する第4の革命=情報革命を指しています。評者はフロリディの議論の説明のために、次の言葉を引用しています。

‘(humans) are “informationally embodied organisms, mutually connected and embedded in an informational environment, which we share with both natural and artificial agents similar to us in many respects.”‘(262頁)

「人間は情報が肉体の形をとった生命体であり、情報環境のなかで互いにつながり合い、互いが互いに埋め込まれたものである。そしてわたしたちは、情報環境というものを、多くの点で私たちに似た、自然のエージェントならびに人工的なエージェントと分かち合っている」

評者によると、このような環境の中、すでに21世紀も15年が過ぎようとしているにもかかわらず、アーキビストはまだこの革命と折り合いをつけるに至っていないし、あえてそれに立ち向かう同業者がいるならば、彼女/彼を抱擁する(讃える)必要がある、と言っています。もちろんその先駆者の一人がアン・ギリランドです。

『21世紀のアーカイブズを思い描く』はこれまでのギリランドの重要な著作に、米国外で彼女と同じように先駆的に現代のアーカイブズの課題に取り組む研究者と共同研究を数多く行った成果を取り入れたものであると評者コンウェイは評しています。アーカイブズに関わる考え方の変化を方向づける彼女のアプローチは、高度に選択的で、特定の概念的枠組みよりは、共同研究から得られた知見によると言います。(彼女はICAの中のアーカイブズ学教育専門部会SPAに深く関わるとともに、オーストラリアをはじめとする諸外国の研究者と数多くの共同研究を積み重ねており、この点で米国では他に比肩する研究者はいないのではないかと筆者=松崎も考えております。)本書では、アーカイブズの記述実務、電子記録とレコードキーピング、デジタルキュレーションの可能性を示すエビデンスを提供するけれども、将来を占うという誘惑は退けているので、情報革命を牽引するための助言を求めて本書を手に取る読者は失望するかもしれない、とも評者は語っています。

著者(ギリランド)はUCLAで研究者としてのキャリアを積み上げ、同大学情報学部学部長を務めるほか、「証拠(エビデンス)としての情報のためのセンター」Center for Information as Evidenceを立ち上げ、現在は正教授として大学院修士・博士課程の教育において並外れた実績を残している、とあります。前の段落にも出てきましたが、研究スタイルとしては、共同研究に力を注ぎ、国際的な広い視野を持ち、例えばオーストラリアのスー・マッケミッシュとの長い実りある共同研究、アーカイブズ記録の真正性に関するインターパレスInterPARESへの深い関与、エリザベス・ヤケルとともにアーカイブズ教育とリサーチ・インスティテュートの運営でリーダーシップを発揮してきたことなどを評者は上げています。

さらに、本書は20世紀におけるアーカイブズ分野の歴史が21世紀のアーキビストに提供すべき教訓、を引き出す試みであるという、序章における著者の弁を紹介し、2000年以降の彼女の研究は、アーカイブズに関する思考のコアな部分が、どのような継続的な意義・価値をデジタル世界に対して持つのか、を明確にすることである、とまとめています。さらに、21世紀のアーカイブズを考える上で議論の中心となる7つの構成概念を紹介しています。それは、postcustodial thinking(脱保管思考)、archivalization、communities of memory(記憶の共同体)、community archives(コミュニティ・アーカイブズ)、cocreatorship(共同制作)、digital repatriation(デジタル返還)、archival multiverse(アーカイブズの多元性)です。著者は序章でこれらの概念を定義するとともに、参照すべき文献を提示しているということです。

しかしながら、本書は上の7つの構成概念から構成されているのではなく、ポストモダン世界における脱保管アーカイブズ postcustodial archivesというコンテクストを明らかにしたうえで、アーカイブズの本質(第2、3章)、記述実務(第4、5章)、電子記録(第6、7章)という2章を一つのペアとして構成されている点を示します。第2、3章では、今日のICT革命の中でのアーカイブズの考え方、20世紀前半におけるドキュメンテーション運動の意義に関する歴史的扱いを議論し、約1世紀前に打ち立てられたアーカイブズ的見方、またその見方のある部分は依然として有効であるという著者の立ち位置を評者は示しています。

第4章と5章は20世紀半ば以降現れたアーカイブズの記述実務のサーベイならびに、過去30年にわたるデジタル技術のイノベーションを通じて、アーキビストたちはそれらの実務を適用してきたのかに関して議論。第6章と7章ではデジタル・レコードキーピングと電子記録管理に関する深い学識に焦点を当てています。この部分はギリランドが2005年にAnnual Review of Information Science and Technologyのために準備した文献レビューを基にしたもので、本書ではこれをアップデートして、これからの発展への指針を提供するものになっています。電子記録管理における研究プロジェクトに関する大規模な表は、過去20年間のさまざまな試みを網羅したものであると評者は指摘しています。

第8章と9章は最近のデジタル技術をめぐる議論にあてられています。評者は、ここにおいて著者は議論の対象を広くしたために、逆に分析の深さを犠牲にしている、と厳しい評価を与えています。パーソナル・アーカイビング、ソーシャル・メディア、デジタル・フォレンジクス、クラウド・コンピューティングなど身近な話題を扱っているのですが、これらは一つ一つが章レベルの扱いを受けるに相当する内容であり、議論が深く掘り下げられていない、というわけです。同様に、レコードキーピング・モデルに関する議論も大雑把であり、著者の考える長期的な持続可能性に関する著作への橋渡しとしてはout of place(場違い)と評価しています。第10章はデジタル・スチュワードシップ、プリザベーション、キュレーションといったトピックを通じて、有益な議論を展開しているという好意的な反応を評者は示しています。さらに、この章での著者の貢献として高く評価されているのが、「時代を超えたアーカイブズの原則」と「非常に幅広い国内的国際的情報コミュニケーション技術」とを結びつけたこと、です。ただし、ここで評者は、アーカイブズの根本原則が世界のサイバー・インフラの中に埋め込まれていくにつれて、メタデータとデジタル記録の分野でアーキビストが確固として(かつて)行使していた影響力に対して、現在は逆にアーキビストが受け身に対応する立場にどんどん追いやられていくのは皮肉なことである、と述べているのが印象的です。

最後の章、第11章は「結論」のかたちをとっています。そして評者は、ここで著者はアーカイブズの実務家に対して重大な挑戦を突きつけているといいます。それは、著者が「アーカイブズの考え方と実務を概念化する=思い描く能力こそ、21世紀におけるアーカイブズの仕事の本質的部分である」と述べているからです。しかしながら、現実には今日アーカイブズ記録はビジネス(業務)にとって重要なものでなくなっており、にもかかわらずアーキビストとは記録recordの専門家として、その本質は証拠evidenceに関わるものであると著者が認識している点を指摘しています。さらに、著者は(そして評者も)また、デジタルでグローバルな世界においては、アーカイブズの原則を定義して実行するという権能をアーキビストは失ってしまった困難な状況にも気づいています。

そして、本書の最後で著者は、(過去1世紀にわたる歩みをいったん忘れて)もしアーキビストが今日の情報革命の真っただ中でゼロからスタートするならば、アーカイブズの原則はどのように見えるだろう、という大きな問いを発しています。これに対して、評者は次のように言います。

‘…the real answer to her question may lie a hundred years hence, when archivits will know whether their ideas changed the world or the fourth revolution rendered them unrecognizable.’(264頁)

「彼女の問いへの真の答えは今から100年後にあるだろう。その時、アーキビストは自分たちの考えが世界を変えたのか、それとも第4の革命がアーキビストの存在を消し去ってしまったのかを知る」

(書評概要はここまで)
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わたしが注目したのは最後の部分です。アーカイブズ、レコードマネジメント専門職が専門職として確立しておらず、そのような職務が職務として存在することがほとんど知られていない日本の状況は、「今日の情報革命の真っただ中でゼロからスタートする」ようなものではないでしょうか・・・。

過去1世紀にわたって国際的に発展してきたアーカイブズ、レコードマネジメントの原則のエッセンスを摂取・消化しつつ、他方で情報革命への参加の仕方(あるいは情報革命からの距離の取り方)を考えながら走り続ける、というのがわたしたちの置かれた状況であることを理解させてくれる書評でした。

書評末尾に下記の2つの文献が参考文献に上がっています。

(1)
ルチアーノ・フロリディ『第四の革命:インフォスフィア(世界規模の情報通信ネットワーク)は人間の現実をどのように変えつつあるのか』(オックスフォード大学出版、2014年)
Luciano Floridi, The Fourth Revolution: How the Infosphere Is Reshaping Human Reality (Oxford: Oxford University Press, 2014).
http://www.amazon.co.jp/Fourth-Revolution-Infosphere-Reshaping-Reality-ebook/dp/B00KB1BRSM/ref=sr_1_3?s=english-books&ie=UTF8&qid=1441588013&sr=1-3&keywords=Luciano+Floridi (Amazon Kindle版のページ)

(2)
E・ジェラルド・ハム「脱保管時代のためのアーカイブズの戦略」(『アメリカン・アーキビスト』44号、1981年)
E. Gerald Ham, “Archival Strategies for the Post-Custodial Era,” The American Archivst 44 (Summer 1981): 207-216.
http://americanarchivist.org/doi/pdf/10.17723/aarc.44.3.6228121p01m8k376 (PDF)
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【書誌情報】

タイトル:21世紀のアーカイブズを思い描く
Conceptualizing 21st-Century Archives

著者:アン・J・ギリランド
Anne J. Gilliland

(PDF版)
http://saa.archivists.org/store/conceptualizing-21st-century-archives-pdf/3834/
Published by Society of American Archivists (2014)
336 pp | PDF
ISBN: 978-1-931666-69-5

(Print版)
http://saa.archivists.org/store/conceptualizing-21st-century-archives-print/3833/
Published by Society of American Archivists (2014)
336 pp | Soft Cover
ISBN: 1-931666-68-7

【目次】
http://saa.archivists.org/4DCGI/store/PDFs/TOCs/BOOKSAA-0590.pdf (原文)

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企業史料協議会『企業と史料』第10集(2015年5月) 目次

08 月曜日 6月 2015

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企業史料協議会の会誌『企業と史料』第10集が刊行されました。(2015年5月29日)

頒価2000円です。お申し込みはこちらから。

目次は下記の通りです。

〈目次〉

ご挨拶
企業史料協議会 会長 歌田勝弘

企業史料協議会・第33回会員総会 記念講演
「文化発信としてのアーカイブズ」
トヨタ自動車株式会社 社会貢献推進部歴史文化室室長・トヨタ博物館館長 布垣直昭

第3回 ビジネスアーカイブズの日 記念シンポジウム
特別講演
「社史を生かす 『物語 岩波百年史』の経験から」
株式会社岩波書店 常務取締役 小島潔

基調講演
「社史からアーカイブズへ」
高千穂大学 経営学部教授 大島久幸

パネルディスカッション
「社史編纂から企業アーカイブズの構築へ」
アサヒグループホールディングス株式会社 資料室 鈴木芳彰
ダイキン工業株式会社 総務部総務グループ 柚木俊弘
ライオン株式会社 総務部社史資料室 吉弘実
モデレータ 高千穂大学 経営学部教授 大島久幸
総合司会 企業史料協議会 上田和夫

企業史料協議会・平成26年度の活動状況

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安藤正人、久保亨、吉田裕 編『歴史学が問う公文書の管理と情報公開:特定秘密保護法下の課題』目次

02 火曜日 6月 2015

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This work is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
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公文書の管理と情報公開に関する新しい文献が刊行されました。

本書は、公文書の管理と情報公開に関する、歴史家とアーカイブズの専門家とのコラボレーションによる文献です。これまで歴史家の側は「未来における史料」とも言える現在の公文書の問題にあまり関与してこなかったという視点に立って編まれています。本書からは、公文書の管理と情報公開をよりよいものとするために、両者(歴史家とアーカイブズの専門家)が共同で取り組むための基盤を作って行こうという思いが感じられます。

筆者(松崎)はアーカイブズ関係者として本書を読んだので、アーカイブズを資料として用いた研究に相当する章よりは、アーカイブズの制度に関する章に、どうしても関心が向いてしまいます。渡邉佳子氏執筆の「第4章 日本近代における公文書管理制度の構築過程」で、1890年3月27日に改正された各省官制通則において、記録局(課)の設置とその分掌を定めた条文、公文の取り扱いを定めた条文が、その内容に関しては「何一つ議論されないまま」(146ページ)に削除されたという経緯を知り、目を見張りました。

また、企業という組織体が業務の中で生み出す記録資料の管理・活用についての調査や助言などを行っている立場からすると、本書の中では、加藤聖文氏執筆の「第6章 日本の官僚制と文書管理制度」の指摘にたいへん共感を覚えました。本稿における加藤氏の主張は「公文書管理を議論するためには、まず、公文書を作成する側の習性や特性を理解する必要がある。そのうえで、問題点を抽出することが最も重要ではなかろうか」(210ページ)の部分に最もよくあらわれていると思います。記録が生みだされる組織体の特性を理解することが、組織体における記録管理システムの改善・刷新を可能にする、と言い換えることができるかもしれません。この部分は企業における記録・アーカイブズの管理にも当てはまることとして受け止めました。

一方、加藤氏は記録管理専門官の配置は「短期的には人件費の増加になるものの、長期的には最も合理的であって、組織にとっても業務の効率化につながるのである」と指摘しています。短期的コストを上回るリターンの回収に至る道筋のいっそうの究明、そしてそういった事例が積み重ねられることを期待します。

なお、本ブログの読者amano_kaeruさんから、加藤氏には公文書管理・情報公開に関する近著がもう一つあることをご教示いただきました。

加藤聖文
「市民社会における「個人情報」保護のあり方ー公開の理念とアーキビストの役割」
『国文学研究資料館紀要アーカイブズ研究篇』 (11) 1-14(2015年3月)
https://archiveskoubou.wordpress.com/2013/11/20/why-do-we-need-archives/comment-page-1/#comment-87

こちらもいずれご紹介できたらと思います。

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[書誌情報]
タイトル:歴史学が問う公文書の管理と情報公開:特定秘密保護法下の課題
編者:安藤正人、久保亨、吉田裕
出版社:大月書店
出版年:2015年
ISBN:9784272510108
価格:3500円

ndlサーチ
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026370139-00

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[目次]

総論 安藤正人・久保亨・吉田裕
はじめに
1 なぜ歴史家は十分に語ってこなかったか
2 なぜ情報公開と公文書管理は重要か
3 特定秘密保護法と歴史学
4 歴史学とアーカイブズ学の連携を
5 本書の構成

第Ⅰ部 「情報公開後進国」日本を問い直す─戦後・そして現在

第1章 公文書管理法と歴史学 瀬畑 源
はじめに
1 用語の定義
2 文書のライフサイクル
3 文書の利用
4 特定秘密保護法の影響
おわりに

第2章 沖縄返還をめぐる日本の外交文書─米外交文書との協働による史的再構成 我部政明
はじめに
1 沖縄返還交渉の開始
2 佐藤・ニクソン共同声明の実施へ
3 1971年3月までの日米交渉
4 未決着事項とは
5 取引から合意へ
おわりに

第3章 日韓会談をめぐる外交文書の管理と公開 吉澤文寿
はじめに
1 市民運動による情報開示請求訴訟の背景
2 「不作為の違法」を認めさせた一次訴訟
3 原告が全面敗訴した二次訴訟
4 「30年ルール」を確認させた三次訴訟
5 開示/不開示となった情報について
おわりに─日韓会談文書が開示されたことの意義

コラム 公文書公開から見た日本軍「慰安婦」問題

第Ⅱ部 公文書管理の日本近代史

第4章 日本近代における公文書管理制度の構築過程─太政官制から内閣制へ 渡邉佳子
はじめに
1 太政官制における文書管理
2 内閣制移行期の文書管理
3 内閣制における文書管理
4 各省官制通則の制定と文書管理
おわりに

第5章 戦前期日本における公文書管理制度の展開とその問題性─「外務省記録」を中心に 千葉 功
はじめに
1 公文書管理体制の基礎確定
2 内閣制・明治憲法と公文書管理体制
3 科学的記録管理としてのディシマル式
4 「一件一括主義」の復活
5 「防諜戦」下の公文書管理
おわりに

第6章 日本の官僚制と文書管理制度 加藤聖文
はじめに
1 公文書はどのようなものなのか
2 公文書はどのように位置づけられているのか
3 公文書の管理はどのようになされているのか
4 公文書の私文書化
おわりに

第7章 地方自治体における公文書管理とアーカイブズ 青木祐一
はじめに
1 日本における公文書管理、アーカイブズの歩み
2 法制度面での位置づけ
3 アーカイブズの諸形態
4 地方アーカイブズ機関の具体的事例
おわりに

第Ⅲ部 世界で進む公文書の管理と公開

第8章 情報重視の伝統に基づく公文書の管理と公開─イギリスの場合 後藤春美
1 公文書館法(1838年)制定の背景
2 公文書館の発展
3 イギリス公文書館を使う

第9章 台湾の公文書管理と政治─制度的先進性と現実 川島 真
はじめに
1 台湾の歴史文書群と国家檔案法の制定
2 国家檔案法の施行とその課題
おわりに

あとがき
執筆者一覧

2015-03-27 11.07.33 2015-03-27 12.41.38

追記:イギリスのアーカイブズに関しては下記のような研究もあります。こういった研究も歴史家とアーカイブズの専門家の間で共有されていくとよいのではないかと思いました。
Title: Archives and Archivists in 20th Century England
Author: Elizabeth Shepherd
Publisher: Ashgate
Published: September 2009
ISBN: 978-0-7546-4785-0
Short ISBN: 9780754647850
BL Reference: 027′.0942
LoC Number: 200901172
http://www.ashgate.com/isbn/9780754647850

青木直己「ビジネス・アーカイブズの現状と利用─社史から地域を知る─」目次

31 日曜日 5月 2015

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This work is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
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企業アーカイブズ、ビジネスアーカイブズに関心を持つ方々、そして関係者にとって必読の文献です。

本稿は2013年11月17日に盛岡で開催された国文学研究資料館・いわて高等教育コンソーシアム講演会 「なぜアーカイブズは必要なのか─文書保存の意義と実態」での講演「ビジネス・アーカイブズと地域社会」をもとにしたもので、国文学研究資料館2013年度アーカイブズ・カレッジ(短期)の修了論文として受理されたものに加筆・訂正を加えたものです。掲載誌は人間文化研究機構国文学研究資料館編『国文学研究資料館紀要 アーカイブズ研究篇』11号(2015年3月刊)。本文はこちらからリンク。

著者は長らく和菓子製造・販売の老舗虎屋の企業アーカイブズ「虎屋文庫」で企業資料の管理と活用に携わってこられた青木直己さん(現在は企業史料協議会監事)です。これまで、近世史、企業史、食文化史等に関して多くの論文、著書を刊行されています。

目次は下記の通りです。

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本稿の目的
1.日本におけるビジネス・アーカイブズの概況
2.企業における現用文書および記録史料保存の契機と目的
(1)会社史とビジネス・アーカイブズ
(2)社会的な存在としての企業とビジネス・アーカイブズ
─企業の社会的責任─
3.地域史とビジネス・アーカイブズ
(1)近代東京府における電力供給と鉄道事業
(2)東京府武蔵野地域における電力供給と地域社会
おわりに

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冒頭の「本稿の目的」には、「日本におけるビジネス・アーカイブズの置かれている状況について簡単に触れ、その利用について、特に会社史(以下、社史と略記)と地域史の関わりを中心に述べる」(96ページ)とあります。それは「ビジネス・アーカイブズが、その他のアーカイブズに比べて利用が極めて限定的である状況下、利用の方法を少しでも広げることを目的としているからである」とその意図を明らかにして、本論に進んでいます。

「1.日本におけるビジネス・アーカイブズの概況」では、現代社会における企業の影響力の大きさにも関わらず、企業アーカイブズの整備は公的機関のアーカイブズに比べて遅れている、としたうえで、比較的アーカイブズが整備されている例を紹介しています。三井文庫、住友史料館、三菱経済研究所付属三菱史料館といった戦前の三大財閥の流れをくむ企業グループのアーカイブズや花王、キリンビール、清水建設、明治安田生命相互会社、トヨタ自動車といった近代に入って創業した会社、そして日本の特徴として伝統産業でアーカイブズの管理・運用が進んでいることが指摘されています。(96~98ページ)

「2.企業における現用文書および記録史料保存の契機と目的」は本稿で、私がもっとも注目した部分です。ここでは現在の日本において企業が記録や文書を保存する契機・目的として、筆者は11項目を上げて、それぞれ実際に接した事例を基に説明を加えています。(98~99ページ)

①税務上の法定年限(申告・決算書類など)保存によるもの
②法務上の保存義務
③商標保護
④訴訟対策
⑤国際標準規格
⑥経営の参考資料
⑦経営資源
⑧社史編纂
⑨なんとなく
⑩残さない
⑪残せない

⑪の「残せない」とは何か? 筆者によると、ファイリングシステムの導入や社屋移転は記録や文書の保存を阻むものであり、それはすなわち「残せない」ことであると明快に指摘しています。(99ページ)

「2.(1)会社史とビジネス・アーカイブズ」では、社史とアーカイブズの「古くて新しい問題」を論じています。現状では「アーカイブズは社史編纂のための資料である」と認識されることもまだまだ多いのですが、近年の企業史料協議会の各種活動や渋沢栄一記念財団の取り組みなどを通じて、アーカイブズは決して社史編纂だけのために存在するわけではない、という認識も関係者の間で広まってきていることが述べられています。また、社史編纂が経営層からのトップダウンの全社的事業として行われることが多いことからすると、アーカイブズの基盤構築にとって、社史編纂を目的とした記録史料収集が果たす大きな役割も示唆されています。(99~101ページ)

「2.(2)社会的な存在としての企業とビジネス・アーカイブズ─企業の社会的責任─」ではアーカイブズを経営のための資源とのみ位置付けるだけではなく、社会に対する「説明責任」を果たすため、「企業の社会的責任」を担保するものとしての存在意義も見落としてはいけないと主張しています。それは、筆者が「1.日本におけるビジネス・アーカイブズの概況」で示したように(日本における企業数は433万8153社、法人格を持った組織としては日本最多)、企業の社会的影響力の大きさから導かれるものと言えます。(101~102ページ)

「3.地域史とビジネス・アーカイブズ」ではビジネス・アーカイブズの公開が進んでいない中で、「ビジネス・アーカイブズの利用のツール」として「社史」を利用する意義を探っています。そのための事例として、東京電力の社史である『関東の電気事業と東京電力:電気事業の創始から東京電力50年への軌跡』(2002年)、『京王帝都電鉄三十年史』(1978年)等を用いて、地域社会の電化の状況といった社会史を解明する上での社史のもつ資料的意義を説いています。(102~105ページ)

「おわりに」では本稿を①企業とアーカイブズ、②企業と地域との関係、③社史の活用、とい三つの点からまとめています。③では社史の利用が経営史的研究に偏重しがちであるが、地域研究や関連業界からの利用が増加することによって、「社史の新しい姿が生まれる可能性を生」み、「社史の社会的な価値を高めることにつながる」と指摘しています。(105~106ページ)

最後に、わたしの感想をひと言で述べるならば、本稿は企業アーカイブズの現場で長年働かれた経験をベースに、近世史・アーカイブズ学研究者としての確固とした視点から、日本のビジネス・アーカイブズの現状と、その利用のためのツールとしての社史について考察した、極めて重要な論文です。

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[書誌情報]
タイトル:ビジネス・アーカイブズの現状と利用 : 社史から地域を知る
著者:青木 直己
出版年:2015年3月
掲載誌名:国文学研究資料館紀要. アーカイブズ研究篇 / 人間文化研究機構国文学研究資料館 編
掲載号:11
掲載ページ:95-106

ndlサーチ
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I026272930-00

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2015-02-11 16.34.59

松崎裕子「企業アーカイブズを持続可能なものとする:日本的経営におけるアーキビストとは?」本文PDF

31 日曜日 5月 2015

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日本アーカイブズ学会会誌『アーカイブズ学研究』21号(2014年12月刊)に掲載された「企業アーカイブズを持続可能なものとする : 日本的経営におけるアーキビストとは?」の本文PDFを掲載します。

本文

これは同学会2014年度大会企画研究会 テーマ「私たちの『アーカイブズ学』をとらえ直す──批判・検証・展望」での報告を加筆・修正したものです。

目次はこちらをご覧ください。

ndlサーチ
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I025998006-00

同学会機関誌投稿規程第6条4には「著作者による転載等は、原則として本誌掲載から1年経過後とし、あらかじめ委員会の了解を得る。また、出典を明記する」とあります。本稿は会誌掲載後1年未満ですが、学会報告から1年を経過したため、同学会委員会にブログ掲載に対する検討を依頼いたしました。その結果、同学会の委員会の了解を得て、ここに掲載するものです。

2015-04-20 15.31.22

カトリック・アーカイブズ協会(英国・アイルランド)

16 木曜日 4月 2015

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カトリック・アーカイブズ協会(英国・アイルランド)
Catholic Archives Society

アメリカ・アーキビスト協会(SAA)のビジネス・アーカイブズ部会(BAS)で知り合ったアーカイブズ関係者にシカゴやテキサスのカトリック教会大司教区記録管理アーカイブズ部門の責任者の人々がいます。彼らはSAAの宗教アーカイブズ部会メンバーであるとともに、BASにも属しているということでした。その理由は、自分たちのアーカイブズは組織(機関)アーカイブズであるが、政府・地方自治体のそれではなく、民間の機関であり、その点では企業アーカイブズと共通する部分が多いから、ということでした。

さて、今週イギリスのアーカイブズ関係者のメーリングリストに投稿されたメールのひとつにカトリック・アーカイブズ協会(Catholic Archives Society: CAS)の年次大会の案内がありました。https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind1504&L=archives-nra&F=&S=&P=73543

同協会のウェブサイト http://catholicarchivesociety.org/home によると、この協会は1979年にイギリスとアイルランドのローマ・カトリック教会のアーカイブズ保護のために結成されたボランティア組織で、現在約200名の会員が所属しているとのことです。会員はカトリック団体のアーカイブズ担当者のほか、アーカイブズ専門職やカトリックの歴史・アーカイブズに関心を持つ人などです。

所属する会員が所属する国における司教協議会と直接のつながりはないボランタリーな団体です。ただし、コーマック・マーフィー=オコーナー枢機卿や、ジョン・マコーマック・ソルフォード司教が顧問で、会長はジェフリー・スコット・ベネディクト会修道院長です。さらに、会員の所属する国の専門アーキビスト団体や、ローマ教皇庁の文化財担当部門とのコンタクトも保っているとのことです。

今年の年次会合は5月18日から20日の3日間、イングランド東部サフォーク州ノリッジ近郊のディッチンガムにあるベルジー・ブリッジ・カンファレンス・センターで行われます。http://catholicarchivesociety.org/trainingevents/conference

1日目は修道会・宣教会・信徒団体といったグループ史の書き方に関する多角的なアプローチに関するセッションがあります。夜はテーマ別の集まりです。

2日目は朝食前のミサから始まります。朝食後の最初のセッションは、カトリックの諸団体のアーカイブズで8年間働いた経験のあるフリーランスの有資格専門アーキビストによる、専門的な教育研修の機会に乏しいアーカイブズ担当者向けのアドバイスを中心としたものです。もうひとつのセッションもアーカイブズ管理初心者向けで、英国の国立公文書館が定めたガイドラインを十分に活用して、収集方針と寄託契約書を作成する仕方を学ぶセッションです。午後は近隣のマナーハウス、オックスバー・ホールへの遠足http://www.nationaltrust.org.uk/oxburgh-hall/ 夜は会員総会です。

3日目は1日目夜のテーマ別の会合のフィードバックによるオープン・フォーラムと、ピーター・フィリップ神父による「アーカイブズの司牧的機能」のセッションがあり、その後ミサ、昼食後に解散となります。

参加費は会員が155ポンド、非会員が170ポンド、日帰り参加は1日当たり25ポンド、申し込みの締め切りが5月1日(金)です。

・゜・☆。・゜。・。・゜・☆。・゜。・。・゜・☆。・゜。・。・゜・☆。

1日目、2日目のプログラムは、専門的な教育研修を受けていないけれど、組織のアーカイブズ管理を担当することになった人々を支援する性格のセッションです。これを見ていると、アーカイブズの担当者はその団体の構成員ではあるけれど、必ずしも専門的な教育・研修を受けていない人が当たっていることも多いようであり、多くの日本企業のアーカイブズ・資料室担当者と似た状況にあるなぁと感じた次第です。

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